転勤が決まって、先週末はアパート探しに行った。職場の近くに1か月5万円のアパートを見つけて、そこを借りることにした。広さは2LDKもあるが、とても古く、下見に行ったときには押し入れのなかに虫がいた。網戸もボロボロだった。正直、ボロアパートだった。
水曜日に、職場の引継ぎのあと、不動産屋に行って本契約をしてきた。
「部屋はクリーニング済みですので、アパートを出るときにはクリーニングをしてください。ふすまも全部張替え済みですので、それも張り替えて。まず敷金は返らず、実費がさらにかかると思っていてください。」
不動産業者の話は胡散臭かった。クリーニングをした気配がなかった。仮にしていたとしても、どれだけの日が経っているんだろう?その不動産業者は経年劣化分も借主の負担だと言い切った。今どきこんな不動産業者がいるんだと、かなり呆れたし、24時間サービスとかで万単位の金を取るくせに、水漏れがあったら自分で業者に連絡して自費で直せなど言いたい放題だった。よっぽど別の業者にしようかとも思ったけれど、時間もなかったし、妥協した。
明日の日曜日の夜はもう引っ越しで、それからはホテル住まい。長野の職場には水曜日までいて、木曜日から上田の職場に行く。水曜日はガスの開栓があるので、午後は休みを取る予定だ。
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自分の仕事の引継ぎもほぼ終わった。俺はそんなにいい仕事を持っていない。どれも手間ばかりがかかって、文句を言われる割合が多く、報われないことが多い。なんだか爆弾をパスしたような気がする。
金曜日の夜に帰るときに、いくつか荷物を持ち帰った。職場にいた人たちから「まだ3日もいるのに、もう明日転勤かというくらいに引っ越しモードになっている」と指摘された。
「転勤できてうれしそうだね。」
「そんなことないよ。」
「声に張りがある。」
正直言って、転勤したくて仕方がなかった職場だった。言われて気が付いたが、俺は仕事上であまり怒らない。だけど、嫌いにはなる。俺は今の職場が嫌いだった。
水曜日に次の仕事の引継ぎに行ってきた。決して楽そうではなかったし、正直、自分に務まるのか不安だが、なんとか頑張りたいと思う。
来週の今頃は、別の場所で別の仕事をしているのかと思うと不思議な気がする。そういう運命なのだと思うしかない。うまくいくように祈りたい。
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西加奈子の「サラバ 中巻」(小学館文庫)を読み終わった。
この本が圧倒的に優れているのは、映画と音楽に対する作者の造詣が深いことだ。俺が知らない映画や音楽が描かれているが、知っている映画や音楽から逆算して、相当にセンスがいいものを紹介している。俺もいつか、そういう音楽を聴き、映画を観てみたいと思う。
俺は一時期、自分の音楽センスがわからなくなって、迷っていたが、その間に聞き逃した音楽が相当あることを、この本を読みながら痛感していた。俺の周りにはもう映画を見たり音楽を聴いたりする友達がいなくて、いてもセンスがスットコドッコイだったりして、なかなか話せる友達がいないことを、この本を読んでいっそう残念に思った。
この本を読むと、俺はもっといい人間になれるような気がする。この本には、人生の失敗例も多く載っている。
どういう人間がダメで、どういう人間が優れているのかが至極、真っ当な判断で描かれており、この本を中学、高校生時代に読んでいれば、俺の人生ももう少しマシになったように思う。
ストーリー的には、主人公同様、怪しい姉に腹立たしさばかりを感じるが、この複雑な物語がどのように最後に収れんされ、落ち着くのか、とても気になっている。下巻は手元にないが、買いたいと思っている。
