履歴書を転職サイトに送っていた。ドイツの老舗のワイン会社が人材募集をしていて、俺にも興味を持ってくれたらしい。申し込むか少し迷った。

 

仕事でワインに詳しくなるってことは人生全体を考えると決して悪くない気がした。そして、海外への出張もあるだろうなあ、なんてことを考えた。それはかなり楽しそうだ。

 

問題は収入が今の半分とは言わないまでも、それに近いところまで下がることだった。

「どうしようか。」俺には相談できる相手がいなかった。

 

木曜日になって、突然、俺は上司に呼び出され、上田市に転勤になった。正確には左遷なのかもしれないが、俺は嬉しかった。給料は下がらない。仕事の内容は今とは全く違うが、肉体的に厳しいといった仕事ではなさそうだった。

 

金曜日は送別会があり、俺はそのあと一人で2時くらいまで飲んでいた。

 

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土曜日の朝起きたとき、腕と足に大きな打撲跡があった。この痛みはなぜ?酔っぱらって喧嘩でもしたんだっけ?それとも転倒した?昨日の記憶を呼び戻す。

 

起きてジャケットを見たが、特に擦ったような跡は見つからなかった。ズボンに穴が開いているということもなかった。外でケガをしたのではないということか。

 

そういえば、パジャマに着替えようとして、足がもつれてベッドに激突したことを思い出した。カーペットの上でしばらく悶絶して、骨が折れてはいないことを確認して、それからベッドに潜りこんだ。そうだった。しばらくカーペットの上で動けなかったんだ。そのときのカーペットの匂いを思い出した。

 

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土曜日の昼過ぎから、二日酔いの快復期に入り、断続的な吐き気が襲ってきた。一時期は便器を抱えるようにトイレに座り込んでいた。

 

夕方から葉加瀬太郎のコンサートに友達と行く約束をしていた。彼女が迎えに来てくれて、車に乗り込む。

 

車の中でもまだ気持ちが悪く、吐き気をこらえていた。

 

俺一人では葉加瀬太郎のコンサートに行くわけがなかった。「すごく面白いから。」と彼女は言った。羽根つきの扇子とシェーカーも必要だという。扇子は彼女のものを1本借り、シェーカーは会場で買った。

 

実際、葉加瀬太郎のコンサートは楽しかった。しゃべりがうまく、何度も笑った。シェーカーは正直言って不要だったが、羽根つき扇子は重要なアイテムだった。

 

帰りにラーメンを食べて別れて帰ってきた。上田に行ったら彼女とも会わなくなるよな、と思った。今までも1年に2回くらいしか会ってなかったから、なおさらだ。

 

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日曜日の今日は、上田に行って、アパートの契約を結んできた。一時金が随分とかかったが、仕方がない。

 

これから、ガスコンロを買ったり、今度のトイレにはウォシュレットも取り付けられるので、それも取り付けたりするんだと思う。冬のボーナスを待ちたい。

 

午後には引っ越しの見積もりをしてもらい、いろんな裏話を聞いた。なかなか面白かった。

 

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佐藤正午の「鳩の撃退法 上巻」(小学館文庫)を読み終わった。

 

俺の理解力が低いのか、上巻を読んだところでは、ほぼ鳩は出てこない。

 

1つの家族が失踪し、その家族にも、その家族の不倫相手にも、主人公が絡んでいる。そしてこの主人公は大量の偽札も持っている。

 

俺がこの本を読んだのは糸井重里が思わせぶりなキャッチコピーを書いていたからだ。俺は、どこか、彼の言うことをなんとなく信じてしまうところがある。いろいろで、彼に対して残念だなあと思うことも多いけれど。

 

しかし、そんなにはこの本はそれほど面白くもなかった。下巻も買ってしまい、たぶん読むとは思うけれど、下巻になってもそんなに面白くもなさそうだと、今は思っている。