金曜日に起きたら、まだ酔っ払った顔をしていた。それでもシャワーを浴びて仕事に行った。

職場に電話が掛かってきたので、出たら、得意先の偉い人だった。
「昨日は大丈夫だった?」
「ええ。ありがとうございました。」飲み会の礼を言う。

電話はそれだけだった。記憶を辿ってみたが、かなりの部分が消えていた。
こんなに正体を無くすほど飲んだのは、久しぶりだった。カラオケのせいなのか飲みすぎのせいなのかわからないが、声もつぶれている。

午後になると、二日酔いの回復期に入ったせいか、午前中よりも体調が悪くなった。何をする気もわかないし、心臓の動悸がすごい。まずいことになったと思った。そういえば、身体のあちこちが痛かった。見ると、擦過傷が身体のあちこちにある。
 

そういえば足がもつれて、激しく転んだことを思い出した。朝、電話をくれた得意先の偉い人が、昨日の夜「大丈夫?」と声をかけて、手を取って助けてくれたのを思い出した。立ち上がろうとしてもバランスが取れず、それからも、なかなか俺は立ち上がれなかった。

こんなに飲みすぎるなんて、俺もよっぽどいろいろと嫌なんだろうなあ、と記憶のなかの自分のことながらかわいそうに思った。

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日曜日に、伊那の方まで行って、漢方系のマッサージを受けてきた。

最初に説明を受ける。「大丈夫ですか?車から降りてきたとき、顔が死んでましたよ。」
「まあね。いろいろとあってね。」

マッサージは3時間近くかかった。帰るとき、マッサージをしてくれた人が「元気出してくださいね。みんな心配してますよ。」と声をかけてくれた。少しだけ、心も軽くなったような気がした。

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今週は、ホリエモンの本を4冊も読んでしまった。

最初に読んだのは「錬金」(徳間書店)だった。

SFの仕掛けが「今時、こんなタイムスリップの装置考えられる?」と思うほどにへなちょこで笑ったけれど、この話はSFがメインではなくて、1980年からのパソコンに関する様々な群像を描いている。

 

知らない話が多かった。俺は同じ時代にいたはずなのに、全く違う道を歩いてしまったことを、残念に思った。


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次に「拝金」(徳間書店)を読んだ。

何も持っていない若者が、金持ちの野心家に拾われて、金の儲け方から全てを学ぶ話だ。
俺の人生にはこういうことがないよなあ、と思いながらも最後まで読んだ。

読んでいて何度も思ったのは、本当にホリエモンは何も知らないままライブドアの責任を取らされたのではないかということ。もちろん、代表取締役だったんだから、会社がマネーロンダリングをしていたことを「知らなかった」で済まされるわけがないのだが、まじで知らなかったのかも、と思った。何の助けにもならないけど。

そういえば、俺、ホリエモンがどうして捕まったのか、理由を知らなかった。彼はずっと「はめられた」と言っていたけれど、本当のところを理解してもらうために、こういう小説を書こうと思ったのかもしれないな、と思った。

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それから、「成金」(徳間書店)も読んだ。

重要な役回りのサルの能力が、超能力過ぎて、あり得ないと思ったが、書いてある内容は興味深く、最後まで読んだ。IT産業と言うよりはマネーゲームの話だったが、俺にはどれも縁遠い話で、ただ野次馬根性で読んだ。

俺が、主人公の立場に立ったとき、どう動くかは俺自身わからないけれど、そんなに感心するような、立派な行いをするわけでもなく、こういうこともあるだろうな、といった気持ちで読みおわった。

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キンドルで無料で読めることになっていたので、「多動力」(幻冬舎)も読んだ。

成功した人の自慢話なので、そんなものかと思いながら読んでいた。「ハワイに別荘なんてもつな!」という説教話に、俺は真面目に頷いている読者を想像して笑ってしまった。ハワイに別荘を持つかどうか悩むような人は、こんな本を読まないと思う。ただ、「恥をかいた分だけ自由になれる」だけは、心に残った。

「一歩踏み出したせいでみっともない失敗をしたとしても、そんなことは3日もたてば誰も覚えてはいない。」確かに。

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「小さいおうち」をようやく見た。

その昔、とある女性からもらったのが、この「小さいおうち」のDVDだった。俺は全く見ずにいた。

今回、キンドルで見た。

とてもいい話で、いい映画だった。飾らない、本当に素直ないい映画だった。考えさせられるし、登場人物が皆、優しいのもよかった。

本当にいい映画で、こういう映画を世の中の人がいっぱい見るようになるといいなあ、と思う。

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高倉健の映画「冬の華」も見た。

理由あって殺したヤクザの娘を育てた男の話だ。
殺した相手の娘ということもあり、彼女は、男に会いたがるが、男は会わない。

そして、また、似たような状況に追い込まれ、彼はまた決断を迫られる。

重い映画だったが、極限状態でも自分を失わない高倉健の姿に、俺もこうなれたらなあ、と思わずにはいられなかった。

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「凶悪」という映画も見た。

死刑囚に頼まれて、事件を追っていくと、より凶悪な男が浮かび上がった。
老人に保険金をかけて殺す。老人はいなくなり、お金が増える。そんな錬金術を生み出した男の話だ。

事件を追う記者は、だんだんとこの事件の深みにはまり、この事件から抜け出せなくなっていく。

「死刑囚」は裁判で「死刑までの時間稼ぎを記者にさせた」と言い放つが、それでも記者の燃え上がった正義の炎は消えない。
でも、その炎はいったい誰のための、何のための炎なのか?

正義をとことん追求していくと、不正義にも染まらなければならなくなることも、この映画は描いている。複雑でわかりづらく、そしてまた見ていて気分のいい映画ではないが、考えさせられる映画ではあった。