ダイエットを始めて14日が過ぎた。今日が15日目だ。最初の1週間で簡単に3キロ落ちたが、その後は停滞し、そこからは2キロしか落ちなかった。

ホメオスタシーというか、人間の身体は外界の状況に簡単には反応しない。ある程度、食べなくても、その間は体内に蓄えている脂肪を使って通常通りの活動ができる。

この脂肪はかなり効率がよく、なかなか減らない。ラクダほどの脂肪のコブがあるわけではないけれど、それなりに脂肪の溜まっている部分はある。そんなわけで、俺はかなり食事制限をしたにも関わらず、なかなか体重が落ちなかった。もっと脂肪が少なくなれば、ダイエットが体重の減少に直結するのだろうけれど。

今回のダイエットでは、そんなに食事の誘惑には惑わされなかった。完全に食べなかったのは3日間だけで、他は1食か2食は普通に食べていた。

正確にいうと、14日間だと、朝昼晩の食事回数が42回ある。そのうち、まともな食事をしたのが13回で、そのうち3回は飲み会だった。あとは、基本的にネイルのお店の子が勧めてくれた酵素を水で薄めて飲んでいた。

ゴールデンウィーク後半は、ほぼ家の中にいた。映画を見たり、本を読むだけで時間が過ぎていく。明日からニートになれそうだった。そして、よく眠った。

14日の最後の夜に復食した。復食用のおかゆは以前から買ってあった。久しぶりに食事をしたら、身体に力がみなぎるのを感じた。食事としては物足りない気分もしたが、それで満足したことにした。

そんなに苦労を感じなかったダイエットだが、人に薦めるかは微妙だ。ただ、努力なしでどうしても痩せなければならないのなら、そして時間があるのなら、極端な話、睡眠薬を飲んで、食わずに水だけ飲んでひたすら眠っていれば、やせると思う。ちなみに、ナイシトールという笑っちゃうような名前の小林製薬のお薬は、ちゃんとした漢方の薬が入っていて効果があるらしい。

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今日の日曜日は15日目に当たる。今日も朝と昼は食事をしなかった。朝早起きをして、2時間ほど車を運転して実家に帰った。いろいろな冬物を置いてくる。それから昼前に実家を出て、マッサージに行った。

初めて行くお店だった。でも、マッサージしてくれる人は以前からの知り合いだ。

全裸になって、薄いパンツを穿く。
スリムになるマッサージをしてもらった。俺は下半身の筋肉の付き方がおかしいという。

「つま先で歩いていません?」

「うん。確かに。」

「それから、左足が内股です。」

「それで、俺、革靴にすぐに傷がつくのか。左足で右足を擦っている感じがするんだよね。」

踵をつけずに歩くのは、たぶん、剣道の影響のような気がする。左側が内股なのはなぜかわからない。

 

それから、上半身もゆがんでいるそうだ。捻れているといってもいいほどらしい。

「歩くときは、腹筋に力を入れて、腰で歩くといいですよ。」と言われた。

よくわからなかったが、説明を聞いているうちに、なんとなく感覚ではわかったような気がした。

高速道路を運転していると、サービスエリアなどでいろいろと食べたくなるので、その誘惑に負けないように、できるだけ寄り道は減らすように心がけた。

マッサージの帰りに、ネイルのお店に寄った。トリプルカッターという、食事をしてもこれさえ飲めばなかったことになるという謎の粉末を買う。俺には摂取したカロリーが消えてしまうなんてことはあり得ないように思う。でも、自分がダイエット中だという意識付けにはいい。それから、今回、とても御世話になった酵素ドリンクもまた1本買った。他にもいくつかサプリを買った。効くかどうかはわからない。

明日からは、また通常のご飯も食べる。

ダイエットは続ける。1日、1食か2食にして、食事の量を抑える。時間はかかるかもしれないが、再び同じくらい体重を落としたい。俺はそれでようやく適正体重になる。今までデブすぎたということだ。

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寝転がって、高校生が読むようなZ会の英熟語の本を読んでいたら、「観劇のように面白いけれど、同時に何も身体を動かす努力を必要としない快楽は、たまにしか与えられるべきではない」そうだ。興奮したときに身体が動いていないのは本能にも反するのだとか。

俺は、やたらと映画を見ている。キンドルで見るドラマも含めたら大変な数だ。きっといろいろとまずいんだろう。自覚はある。愛がない生活は間違いだ。

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「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」を見た。

推理よりもアクションがメインのホームズだったが、それはそれで悪くはなかった。ただそんなに面白かったわけでもなく、最後にモリアーティと滝壺に落ちるところを見て「あの場面かあ。」と大昔に読んだはずのストーリーを断片的に思い出した。

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「ヴァイブレータ」という映画も見た。

もし脚本だけを読んだら、俺は2分でゴミ箱に叩き込んでいる。俺は映画の脚本がわかっていない。

すごくいい映画だった。コンビニで男を見て「あなたにさわりたい。」と思ったおかしな女と、気分のいいトラックドライバーの恋だ。

手っ取り早く「恋」なんて書いちゃったけど、恋なのかも俺にはよくわからない。愛なのだろうか?

俺は見ながら、俺は結局のところ「愛」が嫌いだったんだな、と思った。俺はこういう女に好かれるのが嫌だった。でも、それは逃げだったような気もする。

この脚本から、どうしてこんなにすごい演技が、寺島しのぶも大森南朋もできるのだろう?話としてはつまらない話なのに、画面から目が離せなかった。音楽もいいセンスをしていて、たまらんなあ、と何度も思った。

どこかで予感は持っていたけれど、トラックドライバーはモテる。俺も心のどこかで、あんなでっかい車を動かしてみたいという気持ちを持っていることに初めて気がついた。

今までは高速道路に止まっているトラックを見ると「大変な仕事だな」としか思えなかったけれど、あのなかでセックスしている人もいるんだと思ったら「すげえな」という思いも持つようになった。

トラックドライバーの大森南朋がとても気分のいい男を演じていて、すごく好感を持った。俺もこういう人にならないとな、と考えさせられた。

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「凶気の桜」という映画も見た。

若者達が新しい右翼団体を結成し、正義を盾に、渋谷の街中で目に余る行動をする者に制裁を加える。その力に、既存の右翼や暴力団も目をつける。

最終的に、若者達は力を奪われ、行き詰まる。それはそうだろう。いくつもの分岐を、間違った方向に進む。もったいない、という気がしてならなかった。

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リュック・ベンソン監督の「アンジェラ」を見た。

橋から飛び込み自殺を試みた男がふと横を見ると、そこにも飛び込み自殺をしようとしている女性が。

彼女は男のために神が遣わした天使だった。

男の熱量が高く、フランス語とよく合っていた。俺にも天使が来てくれないかと思うが、それはない。ドラえもんが味方についたのび太を見ているような気分だった。ひたすらうらやましかった。

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「愛のむきだし」という3時間を超える長い映画を見た。

俺は、この映画のどこが優れているのか理解ができない。たぶん愛が足りないからだ。

神父の父親に罪を報告して懺悔するために、息子は一生懸命罪作りをする。そして、盗撮に目覚め、ひたすらパンチラを撮る。
なんて、あらすじを書こうと思ったけど、長すぎるんでやめた。

この映画を見ながら、そう言えば俺、9年間もカトリックの学校に通っていたのに、聖書を一回も読んだことないなあ、と考えて、見ている途中で画面を止めて、本屋に新約聖書を買いに行った。英語と日本語訳が併記されているものを買った。よくビジネスホテルに置いてあるので安いものだと思っていたら、意外と高くて驚いた。

そして、本屋で驚いたと言えば、司法試験六法。昔の8冊分くらいある大きさだった。今の受験生は大変だ。もちろん、買わない。遠い日の花火を見た気分だった。

英文併記の聖書では、マリアがMaryになっている。そう言えばジョン・レノンもレット・イット・ビーで「マザー・メリー」って歌っているもんなあ。マリアのアはどこから来たんだろうと思いながら、主に英文で読み始めた。

見終わった後は疲れた。さすがに、もう映画はいいや、と思った。