部下に開催するイベントの詳細を教えろと言ったら、「忙しい」と言う。「じゃあ、3時から教えろ。」と言ったら、3時に年休を取って帰ってしまった。もう笑うしかない。


どうしても、俺にイベントに来させたくないらしい。しかし、課長からは、「来てくれ」と言われている。まあ、行くしかないと思っている。


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土曜日は、午前中にはそれなりに掃除や洗濯をしたが、午後は全てのことが嫌になり、ずっと寝ていた。日曜日も午前中は髪の毛を切りに行って、午後はまた寝ているつもりだった。


映画とドラマだけはベッドに寝たまま腐るほど見た。どんなに見ても満足できなかった。


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カリフォルニアに住んでいるクリスからメールが来たのは、そんなときだった。「今、日本にいる」と言う。会えないか?と言うので、会いに行くことにした。


「俺と会ってる時間があるのか?」クリスにメールで聞くと「ある。」と言う。東京行きの新幹線に乗っていたら「今日は6時から横浜の友達の家で鍋パーティーだ。」と言う。


てっきり、俺は六本木か赤坂で2人で飲むものだと思っていた。でもまあ、仕方がない。俺もその鍋パーティーに行くことになった。行き先は東京から、横浜に変更だ。日帰りができるのか、少し不安になった。


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クリスとは桜木町の駅で会った。考えてみたら、クリスと会ったのも10年ぶりだった。友達の家まで歩いて行く。


行った先にクリスの友達は、3人いた。全員、柔道家だった。気分のいい友達ばかりで、楽しかった。何の話をしていても、最後には柔道の話に戻ってきてしまう。俺も柔道は嫌いではない。ほとんどの知識は、小林まことの「柔道部物語」や「女子柔道部物語」のマンガで得たようなものだけど。


1月に73キロあった体重が、2月に毎日、道場に通っていたら62キロになったと、ごく当たり前のように話しているのを聞いて、「なんだそれは?」と思った。柔道は随分とやせるスポーツらしかった。


柔道のいろんな話を聞いた。同じ階級だったら、相手が高校生だったら負ける気がしないとみんなが言う。それだけ、技というものを身につけるのは時間がかかるものなのだろう。


しかし、柔道は頭がよくないと強くなれないが、さらにそのなかでトップになるには、どこか狂気が必要だとも言う。そんな話を聞きながら、作ってもらったフグ鍋を食べ、フグ酒を飲んだ。


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気づいたら10時だった。ネットでホテルを探していたら、横浜で1泊8千円くらいのホテルが見つかったので、そこに行くことにした。


そうクリスに言うと「8千円は高すぎる。」と言う。今から、スーパー銭湯に行って、仮眠すればいい、と言う。「俺も行く。」


それで、クリスと2人で万葉の湯というスーパー銭湯に行った。


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7階の露天風呂からは、東京湾が見え、8階の足湯からは大観覧車が目の前に見えた。風呂に入って暖まった後は、6階の食堂で酒を飲んで、つまみを食べた。こういう幸せな気分というのもここのところ感じていなかった。


食堂には、深夜だというのに、若い女の子がいっぱいいた。「こんなに若い女の子がいると思わなかった?」クリスが言うので「おっさんしかいないと思っていた。」と正直に言った。


夜は仮眠室で寝たが、まわりのいびきが大きくて、なかなか寝付けなかった。


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翌朝、一緒に食事をして、風呂に入った。そして、スーパー銭湯から横浜行きの無料バスが出ていて、俺はそれに乗った。クリスは、友達の家まで、歩くという。


バスの乗降口で握手をして、そこで俺たちは別れた。次はいつ会えるだろうかと思った。「本当に来てくれるとは思ってなかったよ。でも、会えて嬉しかった。」クリスが言った。俺も無理してでも会いに来てよかったと思った。いい友達だ。


東京湾の横をバスが走っているときに、昨日の午前中には、こんな所にいるなんて想像もしていなかったよな、と思った。考えてみれば、踏み出さないだけで、世界は広がっている。俺も近い将来、カリフォルニアにも行かないとな、と思った。


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ドラマも映画も山ほど見た。


「男はつらいよ」を俺は今まで、何本か見たことがあるけれど、どれもそれほど感心していなかった。俺には寅さんが嫌な男にしか見えず、なぜ、寅さんが愛されているのか理解ができていなかった。


今回、「男はつらいよ」の第1作から第3作まで見た。

 

それで俺は初めて、寅さんというのは、「バカですぐ調子に乗る男である」というそもそもの約束があることを初めて理解した。今まで、まともな男だと思っていたから、すぐに天狗になる嫌な奴だと思っていた。


そういう目で見ると、寅さんは、本当に愛すべき存在であることがわかる。よかれと思って、やり過ぎてしまう。怒られて、喧嘩して、家を飛び出す。「バカだねえ。」と呆れられる。


この映画から50年経っただけなのに、日本は変わったなあと、この映画を見ながら思う。ますます寅さんには住みづらい世の中になった。昔は寅さんでも受け止める社会の優しさがあった。

 

今では、腹巻き姿で町を歩くことさえはばかられる。めんどくさい社会になった。


インテリに、どこかあこがれを持っていた寅さん。実際に、インテリだらけになった今の世は、思ったほどいい世の中じゃないよと当時の日本人に教えてあげたい。いいような悪いようなそんな世の中になっちゃったよ、と。


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ドイツのドラマ「ユー・アー・ウォンテッド」も全6話見終わった。


ドイツの大規模停電を引き起こしたテロの犯人が、いつの間にか自分にされていて、次々と殺人などの罪も重ねたことにされてしまう。


最後まで面白かったが、今ひとつ、解決した理由がよく理解できなかった。かといって、もう一度見直すほどのドラマではなかった、。


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映画「ハード・パニッシャー」も見た。


元英国軍の特殊部隊の隊員が、両親をギャングに惨殺され、ギャングに復讐をする話。秘密裏に動けばいいのに、随分と派手に殺していくものだから、警察にもマークされてしまう。「当然じゃん」と思いながら、最後まで見た。それなりに面白かった。


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映画「山猫は眠らない2」も見た。


「山猫は眠らない」を見たのはいつのことだったろう。スナイパー映画としてすごくよかった印象がある。この2は、舞台が都会。


相変わらず、見事な狙撃だが、ジャングルのなかでのイメージが強く、都会での狙撃は今ひとつ凄さを感じられなかった。


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映画「トリプルX:再起動」も見た。

これはアクション映画の王道で、ひたすら敵をやっつけまくる映画だ。最後まで、楽しく見た。こういう単純に楽しめる映画を、子どもっぽいなあ、とは思いながらも、俺はなかなか卒業ができない。

 

実は、これ以外にもドラマをたくさん見た。でもとても書き切れない。つまんねえ人生送っているんだな、と我ながら思う。