最近、中国人と仕事をすることがある。毎日、驚きの連続だ。
今回は、羽田空港から長野までバスで中国からの客人を連れてくる予定だった。予定時刻は12時。ところが9時になって、客人は成田空港に向かっているという連絡が入った。飛行機の便も確認したが、予定の飛行機と違い、その飛行機なら確かに成田空港に到着する。
慌てて旅行会社と、バスを羽田空港から成田空港に向けられないかの交渉をする。そして、交渉の最中に、成田空港行きの便に乗ったという情報が間違っているという連絡が入った。「なんでそんなことを間違うんだ!」
「飛行機に乗せた担当が、成田空港に行くと勝手に思っていた、そして担当は頭がおかしいからです。」という回答だった。そんな理由かよ。そして、そんな理由でいいのか?旅行会社の人にも呆れられた。
それから、ここにはとても書けないような出来事が次々と起きた。日本側の担当としては、毎日「マジで?」という思いでいる。
通訳の人と話していたら、「でも、そういうことは、中国では当たり前です。中国はズルいことを悪いことだという認識はありません。」と言う。「でも、李下に冠を正さずってことわざは中国のことわざでしょ。日本では、周りの目を気にして悪いことやズルいことはいけないって習うんだよ。」「そのことわざは、中国では習いません。周りの目を気にする人もいません。ズルい人は賢い人です。」「そう?」「中国にいる日本人はみんなズルかったですよ。そうでないと中国では生きていけません。日本の外交官もズルい人がいっぱいいる。」「そうなの?」「はっきり言って、日本人ほど真面目で正直な国民は、日本にしかいないと思います。」
「そうなのか。」と思った。でもズルいことを悪いことだという認識がないということは驚きだった。「周りの人も批難しないの?」「しません。最近は北京ではだんだんと列を作ったりもするようになりましたけど。今までは、列も作らなかったので、横入りとかの問題もありませんでした。」
周りの目を気にしないといえば、去年の7月に北京市内をバスで移動しているときに、信号待ちでバスが止まった。一人の女の子が、車道に向かって走ってきたので、どうしたのかと思ったら、突然、スカートをまくり上げて、車道の側溝におしっこをし始めた。バスに乗っていた俺たちは思わず笑ってしまったが、そのときも、すごいな。と思ったことを思い出した。
宅配便の荷物も路上に投げ出して、分配しているし、なんだかいい加減だなあ、と最初は思っていたけれど、だんだんと気にならなくなってきた。
そのうちに、中国のいい加減さが心地よくなってきた。果物屋さんでスイカを買って、半分だけでいいからと言って切ってもらい半額にしてもらう。さらに3人で食べるからと3等分してもらう。それを店先で食べながら帰る。なんてことも中国では普通にできた。
共産圏の国に行って自由を感じるなんて、なんだか信じられない話だけど、細々としたところまできっちりとルールがあり、間違えると怒られる日本の社会の方がよっぽど窮屈に思った。
確かに、中国流に切り替えてしまうと、日本のビジネスも効率はよくなるだろうなと思う。今回も偉い人の席順や写真撮影の位置でいろいろと揉めたけれど、揉めているのは日本側だけで、中国側からは何の文句も出なかった。位置とか礼儀とか、あまり気にしていないみたいだった。確かに。日常の振る舞いを見ていると、とても礼儀や順序を重んじているようには感じないからなあ。
スキー場に行ったとき、北京の子どもが思ったよりもスキーが上手なことに驚いた。「あの子たちは裕福で、休日には片道3時間の時間をかけてスキーに行って、そこで、半日7万円の個人レッスンを受けているんです。」と聞いて、「はあ。そうですかあ。」と思った。経済力では、もうとっくに中国に抜かれているんだなあ、と思う。
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それで、そんな仕事は、まあどうでもいいって言えば、どうでもいい仕事だけど、他の日本人相手の仕事が、ますます状況がめんどくさくなり、俺はますます仕事を辞めたくなった。日本人の自分を過信した凡人が、どうしたらこんなに面倒な事態を引き起こせるのか、そして、未だに英雄気取りでいることが理解ができない。
来月半ば過ぎの人事異動次第では、本当に辞める。
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まあ、そんなこんなでいろいろと忙しかったけれど、姉から電話があり、「たまたま実家に帰ったら、小便器のバルブが凍結して壊れて、家の廊下が水浸しになっていた。」と言う。「玄関から外に水が流れ出していた。」そうだ。
水道管の工事の業者を手配してもらう。元栓を閉めてもらって、水漏れは止まったけれど、これから修理もする。最悪の場合は小便器の取り替えが必要なのだそうだ。また余計なお金が掛かる。保険会社とも折衝しないとなあ。
本当に、ついていないときって、どこまでもついていないものだと考えてしまう。姉は「よかったね。家がバリアフリーじゃなくて。水が玄関に向かって流れたから畳は大丈夫だった。」と言う。仕事を辞めたいと言ったら「バカなことはやめときなさい」と言う。説得するつもりはないが、また貸しを作ってしまい。めんどくさいなあ、と思った。