北京から戻ってきて、この1週間は休みがなかった。
仕事の忙しさはそれなりだったが、気象予報士試験へのモチベーションが下がりっぱなしだ。もう試験日まで1か月を切っている。そしてまた、試験勉強のスケジュールは目を覆いたくなるほどに遅れている。

木曜日には、ついつい後輩と飲みに行ってしまった。抑えて飲んでいたのだが「もっと強い酒を飲みに行きませんか?」という後輩の誘いに乗ってしまう。記憶が飛ぶほどに飲んだ。わずかに残った記憶をつないでみると、俺はさんざん後輩と飲んだ後、どうやら一人でも飲みに行ったらしい。その後の記憶はそれこそ全くない。

朝5時30分に起きる。部屋には、コンビニで買ってきたと思われる餃子の容器が散らかっている。
「馬鹿野郎が。」寝不足の頭を振りながら容器をゴミ箱に投げ捨てる。

パソコンを起動し、エクセルで表を作る。表自体は20分ほどもあればできる。朝のうちに送らなければならなかったので課長に送った。そして金曜日は、朝から研修で、職場には顔を出さなかった。

研修先では昔の仲間にも会えてそこそこ楽しかったが、昼頃から二日酔いの回復期に入り、猛烈に気持ちが悪くなってきた。昼は食べることができなかった。昼休みには休養室を見つけて寝ていたが、昼休みだけでは回復しなかった。午後は気持ち悪さを押さえながら、研修をこなした。

金曜日の夜は、出張先から直帰した。疲れていたので午後8時台に寝た。夜の12時頃に目を覚まし、そして「俺は、朝、半分寝た状態で仕事をして、本当に課長に書類を送ったのだろうか?」ということが気になった。送付先アドレスを確認してみたら、微妙に間違っている。

ショートメールで課長にお詫びのメールを打つ。俺はいったい、何をやっているんだ、と腹が立つ。せっかく無理して起きて仕事をしたのに、すべて無駄にしてしまった。せめて、研修の途中に、課長に電話で届いたかどうか確認すればよかったのに。

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土曜日も朝から出張だった。課長にも会ったので、謝った。「自分で作った。」と言われた。まあ、あの程度の書類は、誰だってすぐにできるよな、とは思ったけれど、そうは言わずに謝った。この日も帰ってきて、とても疲れていたので寝てしまった。
日曜日がやってきた。

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日曜日は、横浜で気象予報士の模擬試験を受けることになっていた。申し込みをした当時は、8月6日にもなれば、それなりにできるようになっているだろう、という思惑があった。

しかし、全く自信がない。朝、過去問を解いてみたが、自信を失うだけの結果に終わった。よっぽどサボってしまおうかとも思ったが、模擬試験の方が実際の試験よりも高額で無駄にしたくなかったし、この落ちきったモチベーションを上げるためにも、受けに行くべきだと思った。今更、自分ができないことを自覚したからといって、特に傷つくこともないだろう。

新幹線のなかで、今の俺にとって必要だと思われる気象予報士試験に向けたメモをまとめた。

模試は、2問出る。1問あたり90分の実技と、1時間の解説がついている。質問の時間も含めると、6時間近くなる。久しぶりに勉強した気がした。

そしてまた、トラフの位置づけなど、俺は今までずっと間違っていたことを知った。人に習うことも必要なんだ、ということがわかった。

1問目は完璧に時間配分を誤り、残り25分になってもまだ問題が半分も残っていた。久しぶりに冷や汗が流れた。問題のレベルが高く、考えても答えに結びつかない。1問目が終わったときは少し呆然としていた。

「問題が多くて、時間が足りなかったですか?わざと問題を多めにしているんですよ。」講師が優しく声をかけてくれるが「そんなことじゃなくて、問題のレベルが高くて解けなかった。」と正直に言った。

しかし、その後、自己採点をしてみたら、思ったよりはできていた。2問目は、時間配分を間違わないよう、はじめから全力で解いた。1問目は「慌てないように、ゆっくり、ゆっくり。」と自分に言い聞かせていたのだ。あほだ。

2問目は15分くらい余った。ただ、まだまだ考えが足りないこともよく理解できた。

俺はまだ天気図の示す重要なサインを見逃してしまう。何が原因で現象が起きたかは説明できるが、それがなぜ起きたのかのツメが甘い。講師の説明を聞くと、答えはすべて天気図の中にある。俺はそれを見逃していたか、まだ理解できていないのだった。

久しぶりに勉強をして、モチベーションも少し戻ってきた。自分自身が思ったよりもちゃんと勉強できることに驚いた。もっとちゃらんぽらんな奴だと思っていた。

もう試験日まで残り少ないが、これからは頑張って勉強したい。合格までの距離は果てしなく遠いと思っていたが、頑張れば届かない距離でもないような気がしてきた。若干、自暴自棄になっていたが、なんとか修正できそうな気がする。

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そういえば、北京からの飛行機のなかで、「ゴールド 金塊の行方」という映画を見た。
 

鉱物採取業者が、どんなに掘っても鉱脈にたどり着けず、銀行から匙を投げられる。会社は破産寸前。しかし、ある大学教授の理論に飛びつき、インドネシアで金鉱脈を探し当てるという一発逆転を狙う。

もちろん、世の中は甘くない。そんなうまい話はない。しかし、その大学教授は、金鉱脈を見つける。一発逆転がかなう。

鉱物採取業者は一流ホテルに居を構え、妻とは別れ、自堕落な日々を送る。しかし、その逆転劇は幻だった。

客観的な視点で、映画館の観客としての視点の俺から見ると、こんな馬鹿げたことが現実に起こりえるのかと不思議に思えるが「そうであってほしい」という男たちの目からは、幻が真実にも見えるのだろう。

なかなか深みのある映画で、俺ならどうしただろうなあ、と思いながら見た。でもまあ、人に勧めるような映画ではないかな、と思う。