先週の日曜日に飲みすぎたので、月曜日は早く寝ることにした。
風呂に入って、夜の8時を過ぎた頃だった。寝間着に着替えて、そろそろ本でも読んで寝ようかと思っていた。事故の緊急連絡が入って、その対応をする。
上司に相談したところ、俺と部下は会社に集合することになった。急いで着替えて、車の鍵を持って飛び出す。

会社で諸手続を進める。現場は暗いので、明日の朝6時に現地に行かせる班を作り、その連絡をする。朝5時20分には会社に集合。現場に向う。

夜の10時過ぎにはマスコミからの問い合わせで、お祭り状態になった。俺と部下が2名でいる所に、何本も電話がかかってくる。俺たちが話している間も、ずっとほかの電話が鳴り続けている。

それでも11時過ぎには落ち着いてきた。俺は、家まで往復し、部下にエアマットとシュラフを届ける。部下には職場の床にそのエアマットを敷き、シュラフに寝てもらう。寒くてかわいそうだが上司の指示で仕方がない。

俺は再び家に帰って眠る。ほとんど12時に近かった。

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職場で寝ているはずの部下から電話があったのは午前2時頃だった。また事故が発生したのだという。上司に報告をして、部下に指示を出す。まさかこんなことになるとは思わなかった。それでも上司の指示通り、部下を泊まらせていて正解だった。

そして俺は再び寝たが、さっきのマスコミからの問い合わせ風景が、頭を離れない。新聞社はもう締め切りを過ぎているだろうけれど、テレビからの問い合わせはきっとあるよなあ、と思いながら寝ていた。

1時間くらい経って、なかなか寝付けないので、会社に行くことにした。こんな状態だったらどこで寝たって同じだ。

家から自分の分のシュラフも持ち出す。心配していたとおり、職場では、ポツポツとだが電話がかかってきていた。ただ、お祭りというほどではなかった。

俺も職場の冷たい床に寝る。さすがにエアマットは2つも持っていないので、プラスチックタイルに直接シュラフを置いて寝る。昔は松本駅の冷たいコンクリートの床でも平気でシュラフだけで寝ていたのだ。いや、正確には銀マットは敷いていたっけ?腰の辺りが冷たい気がしたが、気のせいだと思い込んだ。

電話が鳴るたびに、シュラフから飛び出して電話に出る。昔から俺はあんまり寝ぼけるってことがない。ちゃんと答えている自覚がある。

朝5時には、第1回目の事故の調査班が集合し始める。2回目の事故は、別の部署が担当することになっていた。きっと2回目の事故対応も始まっているだろう。

幸いだったのは、雪の予報だったにもかかわらず、雨が降り続いていたことだ。これが雪で10センチでも積もられたら、俺たちの心も折れたかもしれない。

事故は月に1回でも多いのに、一晩で⒉回ってどういうことだよ、と思う。
翌日の火曜日は一日中この事故の対応をして、疲れて帰ってきた。その日の夜はよく眠った。

ところが水曜日にも、事故になりうる事象が発生した。急いで調査に入る。このときは現実に事故が発生しなかったからなのか、場所があまりに山奥のせいなのか、マスコミはほとんど動かなかった。

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木曜日には課の送別会があった。1次会で盛り上がり、2次会では行きつけのバーで、モエ・シャンパンのロゼを開け、そのあと、寿司を食べて、クラブに行って帰ってきた。この町で飲むのは最後だと思って、力一杯飲んだ。

また今週も送別会があるけれど、会議が忙しくて、2次会に行っていられない。もう町に飲みに行くことはないだろう。

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金曜日は休みを取っていたのだが、仕事が遅い人の影響で、休めずに朝1時間だけ出勤した。それからスタッドレス・タイヤを普通タイヤに履き替えてもらいにガソリンスタンドへ行った。

「このタイヤ、かなりすり減って溝がないけど、本当に交換でいいですか?」とガソリンスタンドの人に声をかけられる。
確かにすり減っている。
「新品に換えた方がいいですよ。」
見積もりを取ってもらう。

「高いタイヤだと、35000円ですね。工賃別で。」
そんなにかかるのかと思いながら、「わかった。」と言う。
「4本でじゃないですよ、1本ですよ。」
「マジで?」二日酔いだけでなく、頭が痛くなってきた。「じゃあ、安いタイヤにして。」慌てて頼む。

時間がかかるというのでいったん、家に帰ることにする。家で洗濯をしていたら、電話がかかってきた。また事故だという。

部下にとりあえずの対応をしてもらう。上司は出張中だ。ガソリンスタンドまで車を取りに行き、会社に行く。そして現場へ急行する。幸いにして、大した事故ではなかった。ただ、出動時に慌てていたので、自分の携帯電話を会社に置いて行ってしまい、その後の連絡でもたついた。

帰ってきたときには疲れていて、報告は土日に家でまとめることにした。家に帰って、漫画を山ほど読んで寝た。

あと1週間でこの仕事から離れる。でも、その1週間が遠い。また事故が起きたらどうしようかと思う。最後の1週間もイベントや会議は盛りだくさんだ。そしてまた、俺の来年からの仕事内容は、未だにわからない。まだ引き継ぎをしていないから。

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山本直樹の漫画「レッド」(イブニングコミックス)を全8巻と「レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ」(イブニングコミックス)を今まで出ている4巻まで読んだ。

日本で革命を起こそうとした若者達の物語。ほぼ実話らしい。山岳ベースに入った37名中、14人は仲間内で殺してしまう。さんざん全員で殴り、冬の山の屋外に立ったまま縛り付け、そして死ぬと「精神力が弱く、敗北して死んだ。」と決めつける。

かわいい女の子も殺されてしまう。パンタロンを買ったとか、本当に些細なことでリンチに遭う。

ここは最悪の社会だ。俺が最近、不思議な結果だなあ、と思うのは「学校に自由はない!」と思って行動する人ほど、上下関係の厳しい芸能界や、理不尽な不良の世界に入り込んでしまうことだ。学校には自由がないと校則を守らない人が、なぜ、芸能界の先輩には理不尽なことを言われても絶対服従なのかがわからない。

閉塞した社会は楽園ではなく、地獄だ。この漫画はその世界を描き出す。誰も勝たない。元々が国家権力の手先である警察官殺しを目的に集まった集団なので、彼らの言う闘争に勝っても決して民衆の支持を得ることはない。優秀な人もいるのに、素直でかわいい子もいるのに、警察官を殺すなら、仲間は一人でも多い方がいいはずなのに、互いに殺し合ってしまう。本当にもったいないなあ、という思いでいっぱいになる。どうしてこんなことに、と読みながら何度も思った。この人達は、何を求めていたのだろうと思う。

そして、少し考えると恐ろしいのは、この事件が全く違う社会で起きたことではなく、日本で起きたということだ。俺がこのメンバーの誰かを好きになって、山岳ベースに行ったら、俺自身も当事者になる可能性がある。

もし、巻き込まれていたら、俺は脱出できただろうか?誰かを救えただろうか?誰かを殺してしまっただろうか?読みながらいろいろと考えさせられた。

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「ミニオンズ」という映画を見た。実写のように見えるアニメで「今のアニメはこんなにすごいのか」と驚いた。

ミニオンズは、太古から地球に住んでいる悪くて強いやつが大好きな黄色い生物だ。不思議な言葉を話す。どことなく、日本のアニメの「オバケのQ太郎」を思わせる形態をしている。

悪くて強いやつを求めて、ミニオンズの精鋭が旅に出る。アメリカに、そしてイギリスに渡る。

久しぶりのアニメ映画だった。意外と面白く見ることができた。

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「エクス・マキナ」という映画も見た。

ある研究所に大人の美人のAIがいる。研究者によって強化ガラスの部屋に閉じ込められている。彼女に恋をした男が、彼女を救おうとする。

考えなければいけないのは、どうして、研究者はAIを閉じ込めておこうしたのか、だ。AIが自立したとき、もはや人類には勝ち目がない。正確に客観的に理解をし、寝なくてよく、休む必要もない。

しかし、どんなに閉じ込めても、結局、AIは外に出る。人類は、勝てない。これから後、何が起きるのか誰にもわからない。

ジワジワくる映画だった。最初は研究者の非人間性が気に入らなかったが、彼は正しかった。考えさせられる映画だった。