俺の家には、浴室が2つある。そのうち1つは深夜電気温水器で水を温める仕組みになっている。今年1年全く使わなかった。古い浴室なので、何か怪しげな昆虫がいそうで使うのが嫌だったからだ。

もう冬が近づいてきたことだし、虫もいないだろうと浴室のドアを開けてみた。特に何もなかった。使っていないので、カビも生えておらず、今使っている浴槽よりもかえって清潔な感じがするほどだった。

深夜電気温水器はウッドデッキに置いてある。俺がウッドデッキに出るたびに、ものすごい音を立てて、ネコが逃げていく。丸々と太っていて、どこかの飼い猫か、餌を与える誰かがいるんだと思う。

あいつはいつもどこにいるんだろうと思った。深夜温水器の配管を見ると、まわりに貼ってあるテープがところどころ破れている。あのやろう、深夜電気温水器の上にいたのか。

実際に上ったことはないので、どうだか知らないけれど、イメージ的になんだか温かそうな気がする。配管をむき出しにされては凍結などの被害が出る。ネコに家を破壊されないように、深夜電気温水器の下に、フマキラーの「猫まわれ右 びっくりスプレー」をセットしてみた。

この「猫まわれ右 びっくりスプレー」はあまりにも感度がよく、目の前の葉が揺れただけでも反応してしまい、缶の中身がすぐになくなる。以前、庭のネコのトイレらしいところに仕掛けてみたが、すぐに中身がなくなってしまった。もう少し感度が低くてもいいのになあ、というのが正直なところだ。

効果があるのかないのかわからないけれど、何もしないわけにもいかないので仕方がない。ネコは飼っていなくても、金がかかる。

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金曜日に飲みに行った。最近、忙しくてなかなか飲みにも行けなかった。

ボージョレ村のワインが解禁になったのでワインセラーを持っている店に飲みに行く。「7時30分には開けます。」という店の人からのメールを頼りに、俺はしつけの行き届いた犬のように、店の前で待っていた。普段は7時に開くのに、どうして今日は7時30分からなのだろう?ああ、同伴なのか、と思った。

ビールを3杯飲んで、ジャガイモ3個分のフライドポテトとハンバーガーを食べていたので、何も食べたくなかったし、飲みたくなかった。それでほかの店で時間つぶしというわけにはいかなかった。あとはワインだけ飲んで帰るつもりだった。

さっそく、新酒を飲む。なんだか薄っぺらい味だった。ワインの新酒なんてこんなものだろうと思う。ママが、知り合いの醸造家から譲ってもらったというワインの原酒も飲ませてくれる。どこかセメダインの香りがする、酸味の強い味がした。

店の女の子が同伴で出勤してきた相手は俺の地元の友達だった。その友達と一緒に、ついついワインを3本も開けてしまい、11時過ぎまで飲んでいた。友達は、先に別の店に出かけていった。

俺もあとから行こうかと思ったけれど、店を出た瞬間に、意外と酔っていることを自覚したので、タクシーに乗って帰った。はしごせずに帰ってくるなんて、俺もようやく大人の階段を上りだしたような気がした。

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母が亡くなったときに、いろいろと励ましてくれたおばさんが亡くなった。
9月のお祭りのときに、おばさんの家の前で会った。そのときは元気だった。
亡くなったと聞いて、仕事帰りにおばさんの家に寄った。1か月ほど入院をしていたそうだが、知らなかった。膵臓ガンだったらしい。わかったときにはもう手遅れだった。

仕事で葬儀には出られなかった。姉が俺の分も行ってきてくれた。葬儀場はいっぱいで、普通のイスではなく丸いすまで使ったほどだったと聞いた。みんなから愛された、いいおばさんだった。

仕事帰りにおばさんの家に寄ったとき、おばさんによく似たおばさんのお姉さんから「本当に御世話になりました」と頭を下げられたので、「俺は御世話なんかしてません。してもらっただけで。」と頭を下げた。俺は恩返しもできなかった。涙が出てきて、止まらなかった。

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地元に天皇陛下が来られた。陛下が通られる沿道には、2時間も前から出迎えの人でいっぱいだった。仕事の関係で、沿道を何度か通ったけれど、年配の人たちが警察の指示に従って、立って待っているのを見ていると、なんだか気の毒な気がした。

陛下が来られた3日間はずっと天気がよかった。俺は出迎えに行けなかったけれど、その様子は断片的に聞いた。

出迎えの人たちをまとめる警察は、実際に陛下の乗った車が来る瞬間には、隠れるのだそうだ。だからどうというわけではないけれど、警察の人だって、間近を通るんだから見たいだろうになあ、ということを思った。

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「ミスター・ロボット」のシーズン2を見終わった。
評価はシーズン1が高くて、シーズン2は低い。でも、僕はシーズン2の方がずっと楽しめた。

エリオットと仲間達が、銀行やクレジット会社のデータをハッキングして、予備のデータもすべて破壊した。シーズン2ではその後の世界が描かれている。

銀行の口座にいくら預金しているかがわからなくなったら、そして誰にいくら貸しているのかもわからなくなったら、世の中は混乱するだろう。しかし、それは幸せなのか?

主人公は精神疾患で、何が現実でどこからが虚構かも理解ができていない。ドラマを見ている僕たちもどこから虚構なのかがわからない。何が真実なのかも、何を主人公がしでかしたのか、そして何をするのかもわかっていない。
FBIの捜査網は狭まり、追い詰められて殺される人も、殺してしまう人もいる。

本当にたまらんなあ、と思いながら見た。シーズン3を早く見たいと思っている。