夏休みを5日取れる。気象予報士の勉強を本格化する必要があると思ったので、ちょうど仕事がぽっかり空いた火曜日に休みを取ることにした。

月曜日の夜、明日は休みだからと、職場近くのハンバーガーショップに行き、チキンマサラのハンバーガーと生ビールを飲んだ。マスターと話しているうちに生ビールを何杯か飲んだ。ポテトも食べた。

それからバーに飲みに行って、ワインを1本開けた。知り合いの人が来て、日本酒をおごってくれたので、それも飲んだ。そのあとまた1軒飲んで、帰ってきた。

翌日は当然2日酔いで、勉強はほとんどしなかった。雨がぱらつく日で、雨の音を聞きながら、kindleで漫画を読んだだけだった。

「何やってんだよ。俺は。」ため息しか出なかった。

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俺の家は部屋はいっぱいあるのだが、広い部屋がない。俺としては、家の中でバットの素振りをしたいのだが、本当に素振りをしたら、片っ端から家具を破壊するだろう。

それでネットで探してみたら、素振り用バットというものが世の中にはあるのだった。実際のバットよりは短く、そして、可動式のおもりが付いている。

swingmachine

この可動式のおもりが、自分の前の方で、カチッと鳴るといいスイングということになっている。そのためには、ミートまではコンパクトに振る必要がある。腰もちょっと極端なくらい早めに開いた方がいい。

あるとき、フォロースルーを大きく取ることを思いついて、力一杯スイングした後、左手一本になるくらい振り抜いてみた。

案の定というか、当然というか、素振りマシンの先端が部屋にぶら下がっていたペンダントタイプの電灯にぶつかった。そしてバラバラに分解された電灯のかさが部屋中に飛び散った。電灯が一斉に灯り、ぶらんぶらん揺れていた。

「世界一、めんどくせえ。」と言いながら、飛び散った電灯のかさの部品を集める。必要な部品は接着する。多少のヒビは入っているものの、なんとか元通りになった。

しかし、体が驚いたのだろう。それ以来、自分のスイングがどこか小さくなったような気がした。

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手術を受けてからソフトボールの試合は禁じられていた。でも、そろそろ手術から半年が経つ。医師から特に許可を得たわけではないが、今週、久しぶりにソフトボールの試合に行った。

試合前の練習時、キャプテンから「出られるか?」と聞かれたので「どうなのかなあ。少しくらいなら。」と曖昧に返事をしていた。

バッティング練習のとき、腰を早めに開くことを意識してスイングをした。打球の方向が定まらず、おまけに随分とボールが上にあがる。意外と力のない打球で、下手になっている実感があった。本当の球を打つのは10か月ぶりくらいだしなあ。

先発メンバーの名前が読み上げられるとき、「俺は関係ねえや。」と思いながら聞いていたら名前を呼ばれた。8番セカンドだった。

守備は超へたくそなので、セカンドに球が飛んでこないことをひたすら祈っていた。あまりに下手で見かねたのだろう。ショートのおっさんが俺の分まで守ってくれて助かった。

守備も緊張したが、打席も緊張した。第一打席で、打席に立ってボールを見ていたら、すごく打てる気がしてきた。こんなへなちょこな球、絶対に外野まで運んでやる。普段ならボール球でも振るのだが、バットを長く持ち、打てる球も3球ほど見逃した。ドストライクを待っていた。「ホームラン・デビューだ。」なんてことを考えていた。

ドストライクが来た。力一杯スイングをした。ボールは、バットの先端をかすって、ボテボテのゴロになった。慌てて走ったが、ピッチャーゴロでアウトになった。「久しぶりの打席がこんな打席かよ。」少しショックだった。

それから俺の後のバッターがアウトになって守備につこうとしたら、ベンチから呼ばれた。「何ですか?」「頭、頭。」言われて気がついた。俺はヘルメットを被りっぱなしだった。

2打席目は、家での素振りのことはすべて忘れた。打てる球を力一杯打ち返すことだけ考えた。バッターボックスでボールを選ぶこともやめた。俺は駆け引きなんかできない。さっさとケリをつけたいタイプだった。

だから初球から打ちにいった。長打を求めずに、バットは短く持った。スイングを速くすることだけ考えていた。

芯からは多少ずれたけれど、十分な手応えがあった。ボールはきれいにライナーでショートの頭を越えて、レフト前に落ちた。スピードのある打球だった。走りながらバットを投げるとき、「ああ、こんな感じだったな。」と昔の記憶が蘇ってきた。

ベンチから拍手と「ナイ・バッチ」と声がかけられた。一塁ベースの上で声をかけてくれたベンチを見ることができなかった。嬉しくてどんな顔をしたらいいかわからなかった。ヒットを打つってこんなに嬉しいことだったんだ、と思った。

それから、ヒットが続き、僕は生還した。その次の打席で、友達と交代した。2打席1安打だったけれど、久しぶりのヒットで嬉しかった。

敵のチームの打線は超強力で、1番から5番までは全員がホームランバッターだった。打つタイミングもフォームも強打者のスタイルだった。しかし、フライが多く、外野の守備にかなり助けられた。

そして、この強い相手に、最後は3点差で競り勝った。とても嬉しかった。その日の夜の飲み会は盛り上がった。最後に締めをまかされて、した。

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今日の日曜日は、12時間連続試合というイベントをするらしい。僕は午後に呼ばれている。どんなルールで何をするのかさっぱりわからないけれど、楽しみたい。

夜は当然飲み会。飲み過ぎないように気をつけたい。

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杉本亜未の「ファンタジウム」(モーニングKC)を全9巻読んだ。

fantasium

読み書きができない障害を持つ天才マジシャンが主人公。読み書きができないので、成績は悪く、学校でいじめられている。

芸能界に華々しくデビューするが、深い挫折も味わう。

なかなか読ませる漫画で気に入ったが、作者はこの作品の執筆が相当なストレスだったらしく、苦しんでこの世界を生み出していることがなんとなくわかった。

主人公は勝負やコンテストというものが大嫌いで、それは敗者を作るのが嫌いだからということらしい。きっと作者がそうなのだと思う。

基本的に漫画で少年が主人公の場合、「勝負に勝つ」ということはお約束だ。だから勝負から逃げまくる主人公というのは物語としてのハードルが高い。これは苦しくて当然だよなあ、と思った。