家の庭におそらくデザインとして、枕木が埋まっているのだが、どうも腐っているようで、踏むとポコポコと軽い音がする。シロアリでも食っているのではないかと思う。
「その枕木を捨てたいんだ。」
そう職場で話していたら、工事現場に詳しい同僚が「俺が手伝ってもいい」と言ってくれる。
手伝ってくれると言っても、基本的に僕は何の能力もないので、取り外し方から始まって、取り外した枕木の処理まですべて彼任せだ。
枕木は9本もある。一応、事前に僕の家の庭を見てきてもらった。
「抜いたあと、穴だらけになってしまうから、砕石を軽トラいっぱいくらい積んでくる。」
「そういうものなのか。」
火曜日の休日に、砕石を積んだ軽トラで同僚が来てくれる。
2人で枕木を掘り出し、砕石で埋めていく。
僕は風邪を引いていて、喉が痛かった。前日の夜も、咳をする度に胸に激痛が走り、なかなか寝付けなかった。死んでしまうのだろうか?なんて思った。
作業をして汗をダラダラと流しているうちに、気分がよくなってきた。姉がコーヒーを買ってきてくれたので、庭に面したウッドデッキに座り、同僚と2人で飲んだ。
「昨日の夜は、死ぬかと思ったんだけど、結構、作業できるもんだな。」
「気分が晴れたんじゃない?」
「そうかも。」
作業が終わると、彼は枕木を積んで帰って行った。僕はホームセンターに行って、踏むと音が鳴る白いガラス繊維でできた砂利のようなものを100リットルほど買ってきて、庭に撒いた。
まだ全く風景になじんでいないが、そのうちになじむのだろう。
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木曜日には課の忘年会があり、泊まりだった。
仕事が終わったあと、バスで温泉に行き、翌朝、バスで温泉から出社する。
今年の忘年会の演し物は全て僕が企画した。シナリオも全部僕が書いた。
偉い人や部下の顔写真を総務からもらってきて、JIBJABを使って動画にした映像を流したり、「イケメン大賞表彰式」等を企画した。
「凝りすぎだ」という声もあった。でも、僕とチームを組んで司会をしてくれた部下もうまくやってくれたし、かなり盛り上がった。
チームを組んでくれた部下が「司会ってこんなに楽しいんですね」と言ってくれたことが、何よりも嬉しかった。
その後、カラオケも行ったけれど、12時前に強烈な睡魔に襲われて、そのまま爆睡してしまった。おかげで翌日の仕事にも全く支障がなかった。酒はこのように飲みたいものだ。
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土曜日は誕生日だった。でも、もう誕生日なんてあまり関係がない。
よく晴れていたので、他部署の部下をバイトで雇って、僕の家のウッドデッキに防腐塗料を塗る仕事を手伝ってもらった。午前中には終わってしまった。
素人がいい加減に塗るものだから、雑な完成になってしまったけれど、基本的には見た目よりも防腐重視だったので、まあいいやってことにした。
それから、クリーニング店に服を持ち込んだり、アクセスの勉強をしたり、診療情報管理士の勉強をしたりした。年賀状を書いたりもした。
誕生日だからと言って、もう祝うようなことは何もない。でも、いつもより、ましな1日を過ごせたような気がした。
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ダニエル・フリードマンの「もう年はとれない」(創元推理文庫)を読み終わった。
主人公は87歳の元刑事(話の途中から、誕生日を経て88歳になる。)。戦友が臨終の際に彼を呼んでも、「すぐに葬式で会えるんだから」と行きたがらないような男だ。
後半になって、大人しそうだった孫のテキーラの意外な暴走に驚いたが、結末はさらなる驚きで「ほほお。」と思った。こういう国民がいる限り、アメリカが銃社会でなくなるなんてことはないな、と思った。
犯罪が先なのか、銃が先なのかわからない。殺人事件が日常的に起きるという環境が、僕にはよく理解ができない。アメリカでは個人が銃を所有せざるを得ないという現状があるんだろう。
加害者をでっち上げることに、刑事があまり抵抗を感じていないことにも違和感を感じた。作家は弁護士だから、それなりに真実もあるのだろう。刑事司法はかなりいい加減に感じた。
ただ、総じて面白かった。88歳の骨のあるじいさんの活躍を読んでいると、俺もまだまだ多くの可能性があるように感じる。
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ジェフリー・アーチャーの「死もまた我等なり(下巻)-クリフトン年代記 第2部-」も読み終わった。
この本は勉強をし続けることに対して勇気がもらえる本だ。信じられないような幸運が続くことに「ありえないだろ」とは思うものの、読むのをやめようとは思わなかった。
未だにこれだけの魅力ある作品を書き続けることのできる、ジェフリー・アーチャーという作家の能力に驚くばかりだ。そして、おそらく、僕は第3部も読むのだと思う。第2部のあの終わり方で、第3部を読まずにいられる人は少ないだろう。
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出口治明の「仕事に効く教養としての「世界史」」(祥伝社)も読み終わった。
内容的には実に興味深い本だった。奈良の大仏の開眼供養をしたのはインド人だったとか、文書行政の起源、神の考え方、気候と人の流れ、アジアのGDPはどのようになるか、等々、歴史はそうやって眺めるものなのかと勉強になった。
アメリカの独立戦争の時、英国はフランスとも戦争をしていた。それで、フランスが、アメリカの独立戦争の後押しをした、という話は興味深かった。
アメリカは憲法を定め、社会契約説に沿った人工社会を作り上げる。フランスは、アメリカの独立戦争を後押ししているうちに、感化され、今度は自国でも革命を起こす。
今まで、断片的だった人権発展の歴史がつながったような気がした。
それから、日本に未だに憲法が馴染まないのも、人工国家であるアメリカほど憲法の必要性を感じないからではないかとも思った。
むしろ、英国のようなコモン・センスタイプの憲法の方が、しっくり来るような気がする。もっとも、アメリカ型の方が単純でわかりやすく、判断しやすい利点は相当あるとは思うけれど。
面白そうなことも平板に書いてあるので、ワクワク感はない。そういう面では、竹村公太郎の「日本史の謎は「地形」で解ける」(PHP文庫)の方が、謎解き感ががあって、相当に優れている。
これだけのネタがあるのだから、もう少し展開を工夫すれば、もっと多くの読者を獲得できるのに、と少し残念にも思った。