日曜日の運動会は、台風19号の影響を恐れていたものの、無事に終わった。
僕は「むかでリレー」に出た。第一走者だった。
4人1組になって走る。僕は組のなかでは3番目だった。スタートしてから50メートルほどで、4番目の仲間が「ヒモが外れた」と言いだし止まってしまった。レースはどんどん進んでいく。
そのうちに、先頭のリーダーも「俺もヒモが外れた。」と言いだし、ヒモを縛り直した。最終的には周回遅れにまでなった。第一走者がこれでは勝てるわけがない。
ただ、変な話しだけれど、リーダーがヒモを縛り直している間、グランドの砂埃や、応援の声が印象深く、まるで夢のなかにいるようで、なんだか楽しかった。
運動会は地区対抗という形式を取っている。得点の高いレースなので、地区にとっては重要な競技だった。失敗したので責められても言い訳のしようがない。レース後、すこしびくびくしながら地区のテントに向かうと、応援をしてくれた皆さんが温かい拍手で迎えてくれた。
試合後、慰労会が地区の集会場で行われた。大会の実行委員長が「成績を発表します」と言うので、一応みんな聞いていた。
「豚汁、完食!」
「おお!」という声とともに拍手の音が響く。
「その他、旗や賞状等、この地区だけは何もありませんでした!」
「おお!」
さっきよりも大きなどよめきがわき、拍手の音がさらに大きくなった。
みんな幸せそうにビールを酌み交わしていた。どこか誇らしげでもあった。別の地区では、運動会の後、本気の反省会をやって、糾弾大会になるという。俺はそんな地区の住民でなくて本当によかったと思った。
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診療情報管理士の試験では、当然のことながら身体の基本的な構造を理解している必要がある。ちょうど雑誌のNewtonが400号記念で人体の特集をしていたので、コンビニで買ってきて、暇なときにダラダラと読んでいる。
潰瘍性大腸炎については、写真も載っている。症状を抑える薬があるらしいが、今の医学では完治はしないらしい。
気になったのは「喫煙者に潰瘍性大腸炎患者が少ない」ということだった。そして、最近、潰瘍性大腸炎患者が増えているという事実にも考えさせられる。もしかしたら、喫煙にもいいことがあるのかもしれない。
運動会の間も、仲間達がずっとタバコを吸っているのを見て、「そんなに必要なのかなあ」なんて思っていたのだけれど、「俺、こうやってタバコを吸って潰瘍性大腸炎を予防しているんですよ」って主張しているのだと思えば、なるほどなあ、なんて思ったりもしてしまう。
俺自身はタバコはあってもなくてもいい。めったに吸わないが、たまに吸うと衣服や携帯していたもの全てが臭くなるので、臭いがつかなくなるタバコを希望したい。
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10月13日は体育の日だったので、午前中にジムに行った。筋トレをしたあとランニングマシンで30分ほど歩いた。いつも思うのだけれど、ジムに行くと体調がいい。
何よりメニューがほどほどなので、長続きできそうだ。スタッフは若いが、ジムに通っている人は年配の人が多く、そこのところもほっとする。
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13日の夜、台風19号の接近で職場に呼び出された。そして、そのまま徹夜になった。注意報が解除になって、家に帰れたのは朝の5時近かった。疲れ果てていたので、そのまま寝たら、10分も経たないうちに電話があり、さらに50分ほど経ったところで電話があった。なかなか寝かせてもらえない。まあ、仕方がない。災害なんだから。
翌朝9時30分に出社した。眠たくて仕方がなかったが、コーヒーを過剰摂取して目を覚ました。思いのほか懸案が多く、眠ってなんていられない状況だった。
夕方、帰る前に苦情の電話が来た。まともにとり合えないような内容だったが、謝って電話を切った。腹が立って仕方がなかった。寝不足のせいもあるのかもしれなかった。
昔ラジオで誰かが「悩み事は友人に話すことで半分なくなり、スポーツをすることでもう半分がなくなる」というなんとなくいい加減な助言をしていたのを思い出した。それで無理なのは承知でスポーツジムに行った。
一通りのメニューをこなした。でも最後のウォーキングは20分くらいしか続かなかった。
このスポーツジムに、知り合いの息子さんがトレーナーとして勤めている。体を振動させる機械を使って休んでいたら、その息子さんが来て「これから筋トレのスタジオをするので参加してください。」というので参加した。
以前、長野市にあるスポーツジムに入っていたとき、客層は20代から30代が中心だったが、今度のジムは40代から60代が中心だ。スタジオでも、みんな気軽にトレーナーに声をかけている。場所によってこんなに雰囲気が違うものかと思う。
1時間ほど筋トレをして、ストレッチをしたら、もう腹が立ったことも、ほとんどどうでもよくなっていた。「客観的に見て、俺は全く誤っていないんだから。悩むのもばかげている。」と思った。
家に帰ったら診療情報管理士の専門過程の科目試験結果が届いていた。心配だった分類法も含めて合格していた。過去の自分が少し救ってくれたような気がした。
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木曜日の夜に飲み会があった。金曜日にはとても重要な会議があるので深酒は厳禁だった。俺がいないと会議が進まなくなってしまう。
それで1次会の時には気をつけていた。「絶対に2次会には行かないぞ」と思っていた。
ところが、ちょっと偉い人に誘われて2次会に行き、自分から誘って3次会まで行ってしまった。3次会では、スコッチをストレートで飲んでいた記憶がある。
翌朝、起きたとき、体がすごく重いことに気がついた。鏡を見たとき、そこに映っていたのは酔っ払いの顔だった。
電車にも乗れないほど酔っていたので、タクシーで職場に行った。決裁を済ませた後、1時間休みを取って仮眠室で寝た。昼休みもすぐに仮眠室に行って寝た。コーヒーを飲んだら、吐きそうになったので、それからは水も喉を通さなかった。
会議は午後1時30分から4時過ぎまであった。3時からは僕がしゃべり続ける必要があった。会議の参加者は納得はしなかっただろうが、とりあえず説得ができた。最後はみんな笑顔で話ができてよかった。
その段階でも、実はまだ気持ち悪かった。夜はカレーを食べたが、全部食べきることができなかった。
土曜日の朝、10時間近く寝た後に起きた。胃がまだ荒れている感じがした。土曜日は天気もよかったが、家の中でダラダラとムダに過ごした。
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仕事上で登記の問題が出てきたときに、法的な助言を依頼する司法書士がいる。大学の同級生ということもあって、いつも無料で助言をしてもらう。
法的な助言をしてもらった後、彼女が「ところで、エル・スールっていう映画を知ってる?」と聞いてきた。「エル・マリアッチっていう低予算の映画なら知ってるけど。アクション映画だよ。」どうもそれではないらしかった。
アマゾンで探してみたら、「エル・スール」のDVDは中古が8千円を超える値段で取引されている。なかにはは3万円を超える値段をつけている人もいるらしい。
「なんでこんな希少な映画を見たいなんて思っちゃったんですか?」「原作がよかったから。いい映画らしいし。」「やっかいなものを好きになりますねえ。」「私が好きになるものはみんなやっかいなものばかりなの。」「ふーん。アナ雪にしとけばいいのに。」
「でも3万円でしょ。高給取りの先生なら夕食1食分じゃないですか?買ったら?」と言ったら怒られた。「もう相談にも乗らない」なんて子供みたいなこともおっしゃる。電話も切られてしまった。
「エル・スール」はスペイン映画で、スペインの内戦が生んだ悲劇を描いている。
いろいろ見ているうちにほしくなったので、買ってしまった。8千円以上した。DVDとしては破格の値段だ。
この映画は哀しくて美しい。エル・スールは「南へ」という意味らしいが、主人公が南へ行くのは、映画のあとの物語だ。
優しい父親は、孤独で哀しい父親でもあった。スペインの内戦が、彼をそうさせたらしいが、そのあたりの描写はない。一人娘の成長の記録に、いくばくかの影を落としているだけだ。
この映画は、映像の光と影のバランスが絶妙で美しい。ストーリーそのものは大したことはないのだが、歴史や背景を知った人が見れば、こんな哀しい映画もないのだろう。僕にはそのあたりはわからない。
見終わった後、僕は孤独を身に沁みて感じた。僕の親族はどういうわけなのか、皆、孤独に対する耐性が強いように思うけれど、この映画を観たあと、寂しさといったものを感じた。
そのうちに、このエル・スールのDVDも司法書士の先生に送ることになるのだと思う。彼女は愛知県に住んでいる。俺が住んでいる長野県よりは南だ。だから一応、「南へ」ってことになるのかなあ、なんて思ったりする。
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SF映画が見たかったので、トム・クルーズ主演の「オブリビオン」をDVDで見た。
実は全く期待していなかったのだが、始めから最後まで楽しく見ることができた。これだけの映画を、どうやって脚本を作り、役作りをし、設定を考えるのか、あまりに膨大な作業過ぎて圧倒された。
そもそもどうやってスタッフ全員にこういう映画を作るのだとコンセンサスを得られるのだろう。あまりに圧倒的すぎて、そしてまた日本ではあり得ない映画過ぎて、ハリウッドってすごいんだなあ、と思った。
ただ、この映画は楽しく観られるけれど、この映画を観て人生観が変わるとかそういう映画ではない。
僕はトム・クルーズが、婚約相手に言った言葉「これからの人生、一緒に年を取って太ろう。そしてケンカをして、酒を飲んだときは度を超そう。」ってのが気に入った。このセリフは「やがて死を迎えて、湖畔に埋められる。そして忘れられる。でも僕らの愛は永遠だ」って続くんだけど、後半は俺には関係ないからどうでもいいや。

