先週の土曜日の打ち上げで、いったい僕は何時に帰ってきたのかまったく記憶がなかった。
月曜日に上司に「何時まで飲んでいたんだ?」と聞かれて、「1次会が2時30分からで、そこで2時間飲んだとして、4時30分。あと2次会に行っただけだと思うので、6時くらいには帰ったんだと思います。」なんて答えていた。
「俺、6時頃に帰ったんだよね。」部下に聞いてみる。
「違いますよ。1次会で3時間くらい飲んで、2次会で3時間くらい飲んで、それから3次会で3時間くらい飲んだんですよ。1軒ずつが長くて、僕が帰って家の時計を見たら11時30分でした。」
「俺、2次会にいた?1次会と最後の店以外、まったく記憶がないんだけど。」
「いましたよ。まだ飲みに行こうとしていたのでタクシーに放り込みました。」
「放り込んだ?」
「すみません。もうこれ以上飲めなかったので。」
「大正解。次回からもそうしてくれ。」
そういえば、1次会で飲んだハイボールがやたら濃くて、「酔いそうだな」と思ったのを覚えている。でもそんなに飲んだのにどうして翌日の二日酔いは比較的軽くて済んだのだろう?
「3次会はロックを聞かせる店で、ずっとビールを飲んでいたんですよ。でも3人で1万2千円もかかりました。」
「あの店で?どうして?ぼったか?」
「いえ。1人5、6本は飲んでましたから。」
「5、6本?じゃあ、しょうがないか。」
「しょうがないです。」
なんてこった、と思った。酔ったあとの自分は、大学時代、ワンゲルにいた頃から飲み方が進化していない。
「翌日、ずっと具合が悪くて、寝てました。」
部下がそう言うのを聞きながら、俺もこういう飲み方をそろそろ変えていかないといけないな、と当たり前のことを思った。
それで、翌日の日曜日には午後11時30分まで職場にいたので、俺は今週の土曜日まで、ずっと休みがなかった。
+++
水曜日に、長野まで出張があった。片道3時間もバスに乗らないと行けないので、乗車している間に勉強をするつもりだった。しかし、勉強道具をすべて自宅に置いてきていた。「何をやってんだよ、俺は。」行きのバスのなかではふてくされて寝ていた。
長野での会議は思ったよりも順調に進めることができた。思わぬ人が僕の主張を助けてくれて、会議の最中にも少し嬉しかった。
本を作っている友達から「危機管理」について文章を書ける人を探して欲しいと以前から言われていた。出張先でも、いろんな人に頼みに行ったけれど、思い当たる人にはことごとく断られたので、諦めて帰ろうと階段をくだっていた。そのとき、ばったりと、昔、机を並べていっしょに仕事をした同僚に会った。
「こんなところで会うなんて。私、この前、姿を見かけたとき涙が出そうになりました。」なんてことを彼は言った。それで彼に、「危機管理」に詳しい人を探しているんだ、しかも文章が書ける人。って聞いてみた。
「私、知っている人がいます。」
忙しそうだったのに、わざわざその人のところに案内してくれた。結局、その人は無理だったが、その人の同僚が書いてくれることになった。既に何本か書いていて、自信がありそうだったのでほっとした。
+++
帰りのバスのなかでは、善光寺のからの道沿いにある本屋で買った、池井戸潤の「オレたちバブル入行組」(文春文庫)をずっと読んでいた。今、話題になっているドラマ「半沢直樹」の原作で、売れているらしい。
バブル期に入行した主人公の仲間の1人は、銀行でも最難関の司法試験コースに入る。「大学4年で司法試験の短答試験に合格した秀才だ」なんてのを読んで、「俺だって、大学4年で司法試験の短答試験に受かってるから「秀才」だ」なんて思った。銀行に入ればよかった、なんて思った。
でもその秀才の苅田くんは通常の銀行勤務から解放されて、2年間勉強だけしていればいいという夢のような生活をしたあげく、合格できずに、それからずっとヒラという苦役を科せられることになる。
「俺もこうなってた、きっと。」
銀行に行かなくて、よかった、と思った。
ストーリーは、小気味よく、僕も読みながら本当に自分自身のことを考えさせられた。このドラマなら確かに見る価値がありそうだ。それも堺雅人が主人公というのもいい。賢そうだから。
+++
土曜日は数年ぶりに松本パルコにジーンズを買いに行った。朝の開店と同時にお気に入りの店に行って、試着をさせてもらい、裾上げを頼んだ。
以前はこの店に、気さくできれいなお姉さんがいて(お姉さんといっても、年は俺より相当下だとは思う)、そのお姉さんに勧められるとバカみたいに勧められた商品を片っ端から買っていたのだが、そのお姉さんもいなくて、少し残念だった。色黒で、どこか帰国子女のような明るさをもった人だった。
いろんな用事を済ませて、午後1時頃、松本パルコに再び、裾上げしてもらったズボンを取りに行った。「色の白い、きれいな店員がいるなあ」と思いながらカウンターまで行こうとしたら、「久しぶり。」とその店員が話しかけてきた。
よおく見たら、あのきれいなお姉さんだった。「久しぶりだね。随分と色が白くなったね。」と言ったら「ファンデーションよ。」と笑われた。「今日は1人?」「うん。」
以前は、よく女の子と来てたからなあ。何人かの女の子の顔が目に浮かぶ。すべてが遠い昔の思い出だ。
久しぶりに会えたので、記念に1枚、そのお店でシャツも買った。僕は本当にいいお客さんなのだ。
+++
土曜日の夜は、松本パルコで買った、池井戸潤の「オレたち花のバブル組」(文春文庫)を読み始めて、すぐに最後まで読んでしまった。
こちらも面白い本だし、強敵と出会ったとき、サラリーマンはどう対処するべきなのか、本当に考えさせられる。勉強ができる「ぼっちゃん」は打たれ弱い、なんて指摘も、「俺も以前はそうだったからなあ」と頷くところが多い。俺はそんなに勉強ができない「ぼっちゃん」だったけど。
+++
日曜日は暑くて、何をする気も起きなかった。
朝からずっとクーラーの効いた部屋で、寝ていた。
何度か起きて、起きるたびに食事をして、また寝た。
とにかく眠たくて仕方がなかった。
+++
ウッディ・アレン監督の「人生万歳!」というコメディ映画を観た。
http://www.youtube.com/watch?v=7VeTEP3xoXo
どうでもいい映画で、心も全く打たなかったが、40歳近く年下で美人の妻が、ほかの若い男の元へ走り、悲観した主人公が突発的に自殺するシーンでは「それはそうだろう」と思った。そこだけは共感した。
ただ、この主人公の圧倒的な自己肯定力には、ほれぼれしたし、僕も中学時代はこんな子どもだったような気がした。
せっかく生きているんだから、自分のことは肯定しようと、そんな気に、どこかなるような可能性がある映画であることは認める。


