7月10日の昼に地震があった。
ゴゴゴゴゴというトラックが走るときのような音が聞こえて、それから揺れが来た。
初めて感じる、縦揺れと横揺れが混ざったような地震で、「おおっ」と思った。
揺れている時間は短かった。
緊急地震速報は鳴らなかった。
緊急地震速報というのは、縦揺れのP波を感じてから、メインの地震であるS波が到達するまでの間に出るものなので、鳴らずにこれだけ揺れるというのは、きっと震源が近いんだろうと思った。
インターネットに震源が中野市辺りだと表示されたとき、いろいろと「なるほど」と思った。
一つは縦揺れのP波は「固体のみならず、液体や気体も伝わる」と今まで本で読んだことはあったけれど、地震が空気を振動させるというのが今ひとつ理解ができていなかった。
あのゴゴゴゴゴが、地震の音だったのか、と納得した。
それから、近距離だと縦揺れと横揺れがほぼ同時に伝わる、というのも実感した。距離が短かったせいか、縦揺れの方が大きく感じた。
女性の職員の何人かは、早速、子供に電話をしていた。
「大丈夫?」心配そうに聞いていたが「体育館にいた」とか「まだカラオケ中」なんて返事が多かったらしく、あきれていた。
翌日、震度5だった中野市や木島平村の人にどうだったか聞いてみたら、タンスの引き出しが開いていたとか、食器が落ちていたとか、部屋が散らかっていたと言う。
「部屋が散らかっていたって地震のせいなのか?」
「地震のせいですよ。」
「ふーん。引き出しも?」
「そうですよ!」
地震はいろんなことをするんだなあ、と思った。
今週末は3連休ということだが、僕は月曜日が出勤になってしまったので、普通の週末だった。
それで、久しぶりに実家に帰った。
電気代やガス代の領収書などでポストが郵便物でいっぱいになっている。
誰も住んでいなくても、郵便物はたまるものだ。
近所の人を見かけたので挨拶をしたら、「この前、タヌキがお宅の家に入っていくのを見た」という。
「タヌキ?」
正直、タヌキという動物をきちんと見たことがない。
念のために、縁の下とかを見ようかと思ったけれど、見たってどうせわからないと思ったので、そのまま放っておいた。
庭の草はもう暴力的に茂っている。庭の手入れをお願いしているのだが、実際にいつになったら取りかかってくれるのかは、僕もよくわからない。
エアコンがよく効く部屋で、1泊して帰ってきた。
日曜日の朝方、叔母さんから電話がかかってきて、長いことガンと闘っていた叔父が、朝亡くなったことを聞いた。母は4人姉弟だが、去年と今年だけで、そのうち3人も亡くなってしまった。
絵の才能にあふれた叔父だったので、喪失感も大きく、残念だった。
すぐにでも会いに行きたい気分ではあったが、通夜が行われる日までは自宅に安置しておくという話しだったので、通夜の日に、休みを取っていくことにした。
「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」というドキュメンタリー映画をDVDで見た。
世界不況がなぜ起きたのか、リアルにその時代を生きているにもかかわらず、まったく理解していなかったので、反省を込めて見た。
初めはダラダラと見ていたが、真剣に見ないとよくわからないことがわかってきて、それからはメモを取りながら見ていた。
この映画によれば、つまりはこんな風にして世界不況が起き、現在もそこから立ち直れていないということになる(僕が理解をした範囲だけど)。話しを理解するために、僕が例を書いてみた。
1 家を買いたい人がいて、借金をする。例えば、家を買いたい人は800万円を売り主から借りて、最終的には1000万円を売り主に返すという約束をし、家に抵当権を設定する。
2 その1000万円を最終的に返すという債権を、証券化して売り主が銀行に売り、銀行が買い取る。例えば、900万円とかで買うわけだ。
3 銀行はそういった債権を山のように集め、それらをひっくるめてCDOって名前の商品にして売る。例えばCDOを950万円で買えば1000万円になりますよ、なんて言いながら売るわけだ。
4 通常であれば、銀行の資金には限界があるので、2で銀行が買い取るっていっても、例えば自己資金が9000万円しかなかったら、10枚の証券しか買えない。ところが、グリーンスパンを筆頭とする規制緩和解消派は、規制緩和で、自己資金の何倍もの証券を買っていいことにした。それで、多くの銀行は自己資金の約33倍まで証券を買った。
5 当然、そもそもの買い主がお金が払えなくなると、このCDOって証券は紙くずになってしまうので、みんなが買ってくれない。そこで、銀行は2つの方法を取った。1つは、格付け会社に高格付けをしてもらうこと。格付け会社は、CDOって証券のほとんどすべてをAAA評価にしてくれる(そして格付け会社は、証券が紙くずになったときは「それは私たちの意見であって評価ではない」と言い訳をする)。もう一つは、CDOって証券が紙くずになることを予測して、証券を発行した銀行自身がそこに投資をする(これがデバリティブ取引だ)。
6 銀行はどう転んでも痛くない。証券を山ほど買うと、銀行員にボーナスが払われる仕組みなので、無理矢理、借金をさせて家を建てさせる。家を建てる人の平均借金依存率は99.3%だというのだから、いかに無理矢理、借金をさせたかがわかる。そしてその証券の3分の2はAAA評価(国債並み)だから、いかに格付け会社がでたらめかわかる。
7 さらに、「Aという証券が紙くずになることを予測」して保険に入ることを、これまた規制緩和で誰でもできるようにした。つまりAさんの火災保険にBさんもCさんも入れるようにしたようなものだ。保険会社は、本当に紙くずになったときは払いきれないので破綻する。しかし、その保険を取ってくれば保険員にボーナスが払われる仕組みなので、保険員はそれで、儲かる。こうして保険会社であるAIJの社員や取締役はぼろ儲けをし、そして本当に紙くずになったとき、会社は破綻した。
8 証券が本当の紙くずになる前に、責任ある立場から多くの人が逃げ出した。彼らは自分の株式をうまく売り抜けた。銀行は、売れない債券を最後まで持っていたところはつぶれた。
9 オバマ政権は金融の「規制」をするということで誕生をしたが、登用した人材は全て規制緩和派だった。「はあ?」というのが、事情を知っている人たちの反応だ。
10 問題の根は深く、実は、ハーバードなどの大学で教えている教授が「規制緩和派」。理由は金融機関から、「顧問料」などで多額のお金をもらっているからだ。そしてさらに、その人達が、アメリカ経済の舵取りをする。銀行救済の名の下で、規制は緩和したまま、銀行に税金をドバドバと注入する。
11 その結果、金融界はますます潤い、政府は相続税の無税化など金持ち優遇策ばかりを打ち出す。結局、苦しむのは、最初に家の借金をさせられた人と、AAA評価を信じて投資した庶民や他国の銀行たちだ。そして銀行が破綻すると銀行に預金をしていた国民達の生活も破綻してしまう。映画の冒頭に出てくるアイスランドはその典型例だ。
見終わって、ブッシュもオバマもハーバード大学も、格付け会社も、アメリカの金融緩和もこれはかなりひどいじゃないかと腹立たしい思いがした。みんながグルになって、庶民を泣かせ、ぼろ儲けをしているのだ。
ストーリーはわかりづらい面もあったけれど、しぶとく見ていると内容がわかってくる。大きなタンカーに隔壁があるように、金融にも規制が必要だという主張はとてもよくわかったけれど、この一部の人間だけが儲かる仕組みを維持しようとする力が強すぎて、庶民はどうしようもない。
それにしてもたかだか2時間程度の映画で、ここまで理解をさせるというのもすごいなと思った。

