金曜日は、午後に3時間だけ休んで東京に行った。


友達と会い、そして年上の従兄弟と2年ぶりに会って3人で食事をした。
従兄弟が招待してくれたそのお店は、何もかもがおいしかった。
そこで飲んだ白ワインは、僕が普段飲んでいるような原料のブドウを直接感じるようなワインではなく、「これも本当にブドウだけから作られているのだろうか」と思うほど、味が複雑で、どこかにとろみがあり、美味しかった。


従兄弟は会社を経営していて、本も多く出版している。
僕と友達は、その従兄弟が専門としている分野のことについて、いろいろと聞き、丁寧にそして時には厳しく教えてもらった。
僕が考えていた以上の社会の厳しさを教えていただいたように思う。


久しぶりに従兄弟と会えて、そしていつも大きな存在でいてくれて、それが何よりも嬉しかった。様々な面で能力の高い従兄弟がいてくれることが、友達にも誇らしかった。


食事をしながら「あちこちと話しをして、いつの間にかプロジェクトをまとめてしまう」そういった人を僕は目指そうと思った。それから何にしても、今の自分の能力を上げないといけないなと思った。


この店で僕と友達はかなり飲んで、ごちそうになり、それから赤坂の街に行って飲んだ。
久しぶりの赤坂で楽しかったが、完全に僕は舞い上がっていて、ホテルに帰ってきたのは2時頃だった。


朝、携帯電話の留守電を聞くと友達が「もう帰った方がいいですよ。みぐるみはがされますよ。」と忠告をしてくれていた。残念なのは、それを聞いたのが朝だったと言うことだった。


完全な二日酔いだった。かなりの金額を持っていたはずだったが、財布の中には数千円が残っているだけだった。ふと、酔っぱらってカードも使ったのではないかと、恐怖感が走り、カード会社に問い合わせたけれど、さすがにカードは使わなかったようだった。


それにしても、いつも持っているギリギリの金額まで使って帰ってくるなんて、自分のなかに北欧神話に出てくるいたずら者の神「ロキ」でも住んでいるんじゃないかと思うほどだ。


従兄弟に社会の厳しさを教えてもらった直後に、自分の甘さと社会の厳しさを実感した。二日酔いだし、もう本当に、情けなくって死んでしまいたいほどだった。


そのまま東京駅に行って、長野まで帰った。
新幹線に乗っているときに、僕は目をつぶって、気持ち悪いのを我慢して寝ようとしていた。
そのとき、ふと頭のなかにルドルフ・シュタイナーの本「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか」(ちくま学芸文庫)の一文が浮かんできた。それは自分の経験を他人のことのようにみなす努力をしろという文章だった。「深刻な運命の打撃を受けた場合を考えてみよう。われわれはまったく同じ運命が隣人を見舞った場合とは何と異なる態度でそれに対応していくことだろう。」


それで、僕はそう考えてみようとして、それから自分も許してやることにした。僕はきっと他人だったら許してやるからだ。「たまに東京に行ったときぐらいは、自分のお金で遊べる範囲だったら、遊んでくればいいじゃん。」


そうしたら、少し不思議なことが起きた。半覚半醒の世界というか、どこか不思議な精神世界に入ったような気がした。それは、ランナーズ・ハイのようなものかもしれなかった。


ただ、真っ暗で、そのときにまず思ったのは「恐怖」だった。こんなことをしていたら、俺は死んでしまうのではないかと思った。それから「平穏」に近いけれど、もっとフラットな感覚を感じた。
今まで使っていた脳の感覚をすべてまとめて袋に入れて下の方に押し込んでしまうと、わき上がってくる、そんな感覚だった。


ちょうど催眠術にかかった状態なのかな、とも思った。かくれんぼで暗い押し入れのなかに隠れているような、そんな精神の逃げ場を、見つけたような気がした。以前からそんな精神の隠れ場所があることを知っていたような気もするし、多くの人はもう以前から持っていて、僕が気づかなかっただけなのかもしれなかった。


長野に帰ってきてからは、とにかく寝た。従兄弟にお礼のメールを書いたり、必要最低限のことだけをした。体はほとんど回復していたが、それでもときどき気持ちが悪く感じたりした。


夜になって、簡単なアクション映画を見ようと思ってジェイソン・ステイサムの「ブリッツ」という映画を見た。


My Kiasu Life in JAPAN-blitz

気軽に見たいと思った映画だったのだが、かなりサスペンス色の濃いまっとうな映画だった。


My Kiasu Life in JAPAN-blitz2

ジェイソン・ステイサムが昔のブルース・ウィリスのようにベタベタにハードなキャラなのが、すこし微笑ましかったが、サスペンスとしてもそれなりに面白く、特に連続殺人者役の俳優の演技は素晴らしかった。演技とは思えないような怖さがあった。


My Kiasu Life in JAPAN-blitz1

連続警官殺しでは立件できなくとも、女性警官の前で人殺しをしたのだから、殺人犯がなぜ釈放されるのかよくわからないし、ずっと見張っていたのに犯人が自宅を出て行くのを見逃した警察も失敗が過ぎるような気がしたけれど、そういう都合の良さもあまり気にならない、まあまあのいい映画だった。


夜になって眠るときに、新幹線で寝たときのように、脳の感覚を遮断してって感じのことをしてみた。目をつぶるとすごいスピードで車を走らせているような映像が浮かんできた。
まわりの家を見て、ここは日本じゃないなと思った。もしかしたら、この地球上でもないのかもしれないとも思った。でも、それはもう夢の一部分なのかもしれなかった。


日曜日は洗濯したり、買い物に行って料理を作って食べた。
最近ネットで、ジャガイモの皮の近くには、豊富な栄養があってできたら皮をむかないで調理をした方がいいなんて記事を読んだものだから、それからは大喜びで皮をむかないじゃがいも料理ばかり作っている。ジャガイモは皮をむかなくていいなら本当においしくていい野菜だ。


それから、今度の金曜日には英語の講師をしなくてはいけないので、日曜日はその資料のまとめをした。


***おまけ***


2日酔いで体を動かすのが超めんどくさいときにつくるジャガイモ料理


1 ジャガイモを好きなだけ洗って、深皿に入れる。
2 軽く塩を振ったら、そのまま電子レンジで4分くらい加熱する。
3 皿を一度取り出し、トマトを半分か4分の1に切ったものをジャガイモの脇に入れ、それからアスパラとかシメジのようなキノコ類も入れて、バターをいれる。軽く塩を振る。それからまた電子レンジで4分ほど加熱する。
4 皿をもう一度取り出し、クラフトのカマンベール入りのスライスチーズを上に数枚載せて、その上からベーコンなども載せ、さらに電子レンジで4分ほど加熱する。
5 塩やこしょうなどで味付けしながら食べる。そんなにうまくもないのだが、ジャガイモの皮をむかなくていいというだけで、幸せな気分になれるから不思議だ。