香港から帰ってきてからというもの、あまり勉強もせずに怠惰に過ごしていた。


仕事はやたらと忙しく、また交渉ごとも大体はうまくいったけれど、いつまでも覚えていられるような強い印象を持つような仕事は少なかった。やっていることは、所詮は雑用だ。


週末は、本当に何もしなかった。
クリーニング店までワイシャツだの礼服だのを出しに行くときに外に出ただけで、あとはずっと部屋に閉じこもって、基本的には寝ていた。
ただ、外の空気に触れたとき、その爽やかさに少し心が震えた。


「週に1回もジムに来ていないでしょ。土曜日のスタジオくらい出たら?そうしたらもう少しマシな週末が送れるんじゃない?」
以前、ジムで会った友達にそう言われたけれど、なかなかジムに行くまでの気力が湧かない。


せめて、食生活を気をつけて、ダイエットでもしてくれればとも思うが、食い意地だけは妙に元気で、ストックしていたラーメンなどをいくつも作って食べていた。


部屋にいても特にやることはなく、掃除や片付けなど前向きなことは一切せずに、ただテレビをぼうっと眺めたり、パソコンでネット麻雀をするくらいのことしかしなかった。


映画は3本見た。
最初に見たのは「スリーピング・ビューティー/禁断の悦び」という映画だった。


My Kiasu Life in JAPAN-sleeping beauty

裕福なご老人たちが、睡眠薬を飲ませて若い裸の女の子を眠らせ、その間にしたいことをする。
但し、挿入と傷つけることは禁止。


My Kiasu Life in JAPAN-sleeping beauty1

女の子は大金を稼ぐことができ、裕福なご老人たちはそれなりに満足感を味わう。

かなりエロティックな映画だと期待していたが、実際には大したことはない。


My Kiasu Life in JAPAN-sleeping beauty2

この監督は確かによく映画のことを研究していると思う。
もともと興行成績は無視し、批評家向けに作られた映画のように感じる。
カットの割り方や、カメラワークがいかにもという感じだ。


でも、観客はストーリーに引き込まれない。
俳優の演技は素晴らしかったけれど、もっと観客を喜ばせてくれ、と思った。

この映画では、「作られたリアリティー」といった映画の底にも気づかされた。


この映画を見終わった後、「生き返ったみたいに感じる」なんて女主人の台詞をつい試したくなってしまい、普通に眠れているのに、睡眠導入剤を飲んでみた。
どのくらい眠れるのかと思って寝たら12時間以上寝ていた。起きると目は腫れぼったくなっているし、頭痛がする。おまけに、何も考えられない。


その眠い頭で、翌朝の日曜日は、何度も見たはずの「明日に向かって撃て」も見た。


My Kiasu Life in JAPAN-butch and sundance kid

面白くていい映画だけど、でも、そんなに何度も見る映画でもないなと思った。
俺の年だったら、何度も見るなら「ゴッド・ファーザーⅡ」のような、もう少し重厚な映画を見た方がいい。



My Kiasu Life in JAPAN-butch and sundance kid1
ただ、この「明日に向かって撃て」のサンダンス・キッド役にロバート・レッドフォードが起用されて、一躍、スターの仲間入りをしたあと、彼は映画監督としても成功した。

「リバー・ランズ・スルー・イット」では彼自身と同じようにブラッド・ピットをスターにし、さらにはサンダンス映画祭を通じてタランティーノを有名にした。

そういった歴史を踏まえて僕は改めて見てみることにした。


My Kiasu Life in JAPAN-butch and sundance kid2

そういう意味では、いい映画というよりは映画界にあっては大切な映画だということができると思う。


「大鹿村騒動記」も見た。これが原田芳雄の遺作になった。


My Kiasu Life in JAPAN-Oshika mura sodoki

僕自身は大鹿村に行ったことはないけれど、オープニングで曲がりくねった道を走るシーンでは、昔、家族で釣りに行ったことを思い出した。
車を運転する父親と、道路脇に車を駐めさせては、野の花を画材用に採集していた母。
今初めて思ったけれど、当時は幸せだったような気がする。


My Kiasu Life in JAPAN-Oshika mura sodoki1

あの山深い南信濃の澄んだ空気も画面から感じた。
そして、妙に理屈っぽい南信濃の人柄もよく描いている。
僕は個人的には、あの理屈っぽさは嫌いだけれど。


My Kiasu Life in JAPAN-Oshika mura sodoki2

でも、原田芳雄っていい役者でいい人間だと思った。
俺、もっと前から知っていたら生きているうちに話せたかもしれなかった。
この映画を見て、そう思った人も多いだろう。
彼がこの世からいなくなってしまって、残念だ。


「坂の上の雲 六」も読み終わった。


My Kiasu Life in JAPAN-坂の上の雲6

日露戦争に勝つというのは、本当に奇跡だったのだということがよくわかる。
あの戦争は勝ったというよりも、ロシアの自滅だったのだ。
そして戦争というのは、多かれ少なかれ、自滅という側面がきっとあるのだろうと思った。