金曜日に東京へ出張をした。アレルギーのせいなのか、眠たくて仕方がなかった。
長野駅で缶コーヒーを買ったのだが、自由席の座席に座ったとたんに目をつぶってしまい、新幹線のなかでは缶コーヒーを飲む時間がないほど寝ていた。
出張先の麹町では、某社団法人主催の講義を聞いたが、半分は民間会社のあまり実のないセールストークでうんざりとした。
夕方、最近新しい仕事に就いたOと赤坂で飲む約束をしていた。
「フーターズっていう一番アメリカらしい店」が、きっと僕の好みだとOがいうので、Oの仕事が終わるまで、赤坂東急プラザの2階にあるフーターズで1人で飲むことにした。
店に入るとき、まだ5時頃だった。「7時から席を空けてください」と言われたので、「わかりました」と答えた。
若いウェイトレス(フーターズ・ガールというらしい)が白いタンクトップにオレンジ色のホットパンツを履いて注文を聞きに来る。これが俺の好みなのかわからなかったけれど、確かに嫌いじゃない。まあ、好きなんだろうと思う。
http://www.hooters.co.jp/
バドワイザーを頼んだら、栓のない瓶のバドワイザーを1本、置いて行った。
高校時代、授業が終わった後、よく教室でビールを飲んでいた。そしてあるとき友達が瓶のバドワイザーを買ってきたことがあった。
「栓抜きがない」という友達に、「バドワイザーの栓はひねれば開くんだよ」と教えてあげたことがあった。本を読んでいて知っていたのだ。
もう遥か大昔の話しだ。
Oが来るまで、本を読んでいた。途中で、Oから電話がかかってきて、「どこで飲んでいるんですか?」という。「フーターズだよ。」「本当ですか?冗談で言ったのに。」
冗談だったのか…。
Oが来てから、料理の注文をした。
「メニューも英語なんだ。」テーブルにあったメニューを見ながら僕が言うと、「日本語のメニューもありますよ」とOが言う。確かに、日本語のメニューもあった。でもめんどくさかったので、英語のメニューで注文をした。
タンクトップのフーターズ・ガールが注文を聞きに来る。
「フライドチキンの10ピースと…」
「揚げた鳥ちゃんね。」「うん。そう。揚げた鳥ちゃん。」
ほとんど、フーターズ・ガールのおすすめばかりを注文した。
「メモ取ってないけど、注文、大丈夫なの?」
「覚えちゃうから大丈夫。」すごいなあ、と思った。
「若い女の子来ると、本当に嬉しそうな顔をしますね。」
「うん。それと俺はこういうところで働く若い女の子って尊敬しているんだよ。俺には絶対できないことをしているから。」
突然、バックグラウンドで流れていたマイケルジャクソンの曲の音量が大きくなって、フロアにいたフーターズ・ガール(ズ)がダンスを踊り始めた。ダンスといっても軽いパラパラのような感じだ。
「僕は、アメリカで3、4件のフーターズに行きましたけど、こういうダンスはありませんでした。日本のフーターズはどこか違いますね。」そうOが言う。
なるほどなあ、と思った。
店を出るとき、2度目のダンスタイムがあって、それを見ながら会計をした。
「2度もダンスが見られてラッキーだね。」そうフーターズ・ガールが言う。このダンスが2度見られるのが、ラッキーなのかよくわからなかったのだが、それなりにおいしかったし、総体的にはラッキーだったような気もした。「うん。本当に。」と言って店を出た。
それから、もう1件、バーに言った。まだ時間が早く、アーリーバード(早期割引のこと。The early bird catches the worm.(早起きの鳥は虫を捕まえる)) が午後8時30分までだったので、たっぷりとそれで飲んだ。
翌日ソフトボールの試合があるからと、セーブして飲むつもりだったのだが、この頃にはそんなことはすっかり忘れて、好きなだけ飲みながらOの新しい仕事の話しなどを熱心に聞いていた。
夜は新幹線で長野まで帰った。帰りの電車のなかでキャラメルをかんでいたら、ゴリッという音がして歯の詰め物が取れてしまった。なんてこったと思いながら、それからまた寝た。
帰ってくるまでの記憶はちゃんとひと揃いそろっているけれど、家に帰ってきたのが何時だったのかは覚えていない。気にせずに寝たのだと思う。
翌朝は、2日酔いというわけではなかったけれど、どこか体調が優れない気がしていた。それでも集合時間の12時には、千曲川の河川敷グランドになんとかたどり着いた。
途中、使うグランドがどこかわからず、車に乗ったままウロウロしていたら、やはりウロウロしている車がいて、それが僕の友達だった。ウロウロしている人もいて、彼も僕の友達だった。彼は俺の車に乗せた。そこから僕たちの使うグランドにたどり着くまでに、かなりの距離があった。
いい天気だった。
2チームで2試合を闘うことになっていた。久しぶりの試合だったけれど、メンバーも知らない人が多いし、どこのポジションを守るのかも決まっていない。
いよいよ守るという段階になって、やっぱりピッチャーは僕がやることになった。
こういう草ソフトボールで僕が一番ダメだと思っていることは、ピッチャーがフォアボールを連発することだ。打たれて塁が埋まるのは守備も納得するが、フォアボールで塁が埋まるとバックがやる気をなくしてしまう。それで、とにかくストライクを入れることだけを考えて投げた。
よく打たれたし、エラーもあって最終回までに16対6で負けていた。
最終回の攻撃で、10点差を追いつかなければ、もう負けが決まってしまう。
簡単に2アウトを取られて、もうダメだと思った。次の試合をがんばろうと思っていたら、そこから打者2巡の猛攻になって、結局16対20で逆転した。これが草ソフトボールのいいところだ。
バッティングセンターで時速80キロ以上のソフトボールをかなり打ち込んできたので、打つ方はかなり自信があった。それでも、遅い球を待ちきれず、バキバキバキバキーという感じのホームランを打ちたかったのだが、どこかつまらない単発のヒットばかりになってしまった。それでも、満塁のときに、きれいなレフト前ヒットを打ったときは、嬉しかった。
逆転してもらって突然、勝ち投手の権利が取れそうになったので、燃えた。
その裏の攻撃はなんとか守りきって、勝った。
「先発完投、勝ち投手。いい言葉だなあ。」ベンチがわりの草原で次の試合までの時間をつぶしながら、そんなことを言ってチームのみんなと笑っていた。
「もう少しで敗戦処理だったのに。」
「本当だよ。打線を信じて投げました。いい言葉だ。」
「さっきの打席、2アウトだったんですね。僕はまだ1アウトだと思ってました。」
フォアボールを選んだ同僚が声をかけてくる。ギリギリのボールは振らないくせに、絶対に届かないようなボールを振るので、ヒヤヒヤしながら見ていた。
「もし2アウトだって知っていたら、全部のボールを振っていました。知らなくてよかったです。」なんて言うので笑った。
2試合目は最初から打線が爆発して、あっという間に16点も入った。相手チームは戦意を喪失したのか、勢いをあまり感じなくなっていた。
2試合目はベンチに偉そうに座って(先発完投、勝利投手だから)、応援しているだけで基本的にはよかったのだが、最終回だけは頼まれて投げた。
それまで、外野にフライが上がれば長打は確実だったのだが、僕が守ったその最終回だけは、センターがフライを捕ったので、一気に勝利に近づいた。
最後は2アウト1塁で、セカンドのベース前に球が転がり、セカンドが拾って、ベースを踏んでゲームセット。
表彰式で、勝った僕たちはビールを受け取ったが、近頃の若者はビールを飲まないらしく、みんな辞退するので、おっさんばかりが6缶ずつもらって帰った。
そういえば、薬屋のおばさんが「昔は4月といえば胃腸薬が売れたものだけど、最近は若い人がお酒を飲まないから全然売れない」と嘆いていたのを思い出した。
家に帰ると、体のあちこちが痛い。数年ぶりにソフトボールを投げて、よくストライクが入ったよなあ。でも、よかった。と思いながら熱いシャワーを浴びて、その日はそのまま寝てしまった。
翌日の日曜日は、つまらない用事で実家に帰らなければならず、実家まで往復した。
運転しながら、5月3日に元部下の結婚式があって、そこで新婦側の代表として挨拶をしなければならないことを思い出して、「もうすぐじゃん!」と改めて思い直して頭を抱えた。まだ何にも内容を考えていない。
考えがまとまらないまま、また長野まで帰ってきた。
そして長野まで着くと、全てを忘れてしまい「ミッション:インポッシブル/ゴーストプロトコル」を見た。
トム・クルーズは相変わらず素晴らしかったが、アクションが行き過ぎて、絵空事に感じるのは、これはもうハリウッド映画の宿命みたいなものでどうしようもないのだと思う。
ただ、僕が今回のトム・クルーズの演技を見ていていいなと思ったのは、もちろんそういう脚本だからなのだけれど、部下の失敗を責めないことだ。
今回のソフトボールでも、レフトのトンネルとか笑っちゃうようなミスが連発したけれど、僕自身、よく怒らなくて我慢できたと思う。
人が怒れるのに怒らないでいるのを見ると、いいなと思うし、俺もそういう人になりたい。
よくいうように、世の中のたいがいのことはそこまで厳しくする必要がないことのように思う。「人には厳しすぎず、自分には真面目すぎず」あたりが後悔しない人生を送れるコツのように感じる。
木俣由美の「民法がわかると会社法はもっと面白い!~ユミ先生のオフィスアワー日記~」(第一法規)を読み終わった。
読み終わって、この本でどれだけの知識が増えたのかは相当疑問が残るところで、あまり得たことは少なかったように感じた。
この本は、体系がキチンと取れてなくて、思いつきで論点を並べているような感じがする。
それでも、途中に盛り込まれている由美先生のダジャレは、ときどき「やるなあ」というレベルのものもあった。
僕が特に気に入ったダジャレは、次の2つだ。
1 会社の「社団」性について
ユミ 会社はこれまで社団法人とされてきたけど、会社法の制定で、会社の社団性はなくなったとも言われているのは、知ってる?
トラ吉 「社団」って、人の集まりのことですね。ちなみにお金の集まりは「財団」です。
ユミ そう、ついでに花の集まりは「花壇」
2 代理制度の仕組みについて
新人君 「代理」って何ですか。
ユミ やぶから棒ね。ひな祭りのときに飾る、男の人形のことじゃない。
新人君 それは内裏様でしょ。
読んでいて思ったのは、この木俣という先生は知識はものすごくあるし、それを面白く伝えたいという思いも相当あるということ。そして、でも、なんだか上滑りをしているようなのは、体系立っていないことと、知識の方を出し惜しみしたからだと思った。「入門書」にこだわったのかもしれず、それは編集サイドの問題なのかもしれなかった。
日曜日はそんな風にして過ごした。
そして月曜日。もう昼近いが、僕はこれから、なんとしても結婚式の挨拶を考えなくてはならない。
午後の僕に期待したい。
それから5月3日の結婚式に行ったその足で、4日から7日まで香港に行くことにした。
その準備もまだ何もしていない。
やることが多くて、なんだか溜息が出そうだ。