最近、太った。
みんなが「太ったね。」という顔で僕を見るのがわかる。
最近、怖くて体重計に乗っていないが、怖がるだけの意味がある数字であることは間違いない。
知り合いのもともと細い女の子が、この1年間ジムに通ってさらに10キロ近くやせた写真を送ってきてくれた。腹筋がくっきり割れていた。
「ここまでは到底無理だけど、俺もなんとかしないといけないなあ」と思った。
その女の子が勧めるジムに来週辺りから通うことも考えている。
最近、運動不足で汗をかくことがほとんどなくて、乾燥肌にもなったような気がしていた。とにかく汗をいっぱいかきたかった。
それで土曜日に久しぶりに回数券を持って岩盤浴に行った。まだ2回分ほど残っていた。店の人は丁寧だったけれど、その回数券を発行したのは6年前で、今ではもう期限無制限の回数券は発行していないのだと僕に言うのだった。
「そんなに前の回数券だったんですね。」
考えてみたら、僕がその岩盤浴に行くのも、もう3、4年ぶりだった。
それでも、回数券は有効で、特に問題はないようだった。
最初は、こんなに温度低かったっけ?と思っていたけれど、15分ほど寝ていたら、もう汗が噴き出ていた。浴衣が汗でぐっと重くなっていた。
それから我慢して30分くらい寝ていた。
浴衣が汗で濡れていないところはほとんどないくらい汗が出た。
久しぶりの岩盤浴が終わった後は、気分がすっきりしていた。
やっぱり汗をかくのは気持ちがいいなあ、と思った。
実は土曜日にはソフトボールの試合があったのだが、今回は辞退していた。
あまりに体を動かしていなかったので、代打だけだったらなんとかなったかもしれないけれど、ピッチングや守備は夢のまた夢、という感じだった。
もともと人数が足りないので、「俺、代打。それが無理ならファーストかな。動かなくて済むから」なんて自分勝手なことは到底言えそうになかった。
これもすべて、体を鍛えていないせいだ。
怠惰な生活を考え直さないといけない、なんて思っていたのだけれど。
土曜日は岩盤浴に行ったことで疲れ果ててしまい、夜8時30分に寝て、それから翌朝7時30分頃までずっと寝てしまった。
週末には「Orgasm.inc~女性向けバイアグラはできるのか~」というドキュメンタリータッチの映画を見た。
バイアグラで大もうけをした製薬会社を見習って、数多くの製薬会社が、女性向けのバイアグラを開発しようと競争する姿を描いている。面白い映画ではない。
男性は勃起不全、では女性はどういう状態が「病気」なのか。
そして、どういう状態になれば「薬の効果」があったと言えるのか。
製薬会社は「病気」を定義し、「薬効」をうたう。そして、そんなのは「病気」ではない。と薬の認可を阻止し、闘う女性たちのグループも映画は取材をしている。
興味深く見たのは、昔はバイブレーターが「ヒステリー」の治療器具だったという指摘だった。昔、スネークマン・ショーで「ぐっすり眠れる、ストレスがなくなる。バイブレーター」のラジオ・パロディCMを聞いたことがあるけれど、あれは歴史的には正しかったのかと思った。
脊髄に電気を流し、永遠にエクスタシーを感じる外科手術をはじめ、アメリカ人ってむちゃくちゃなことを考えるなあと驚いた。
結局、FDAは巨大企業P&G(パンパースやファブリーズを売っている)の推す薬を薬として認可しなかった。女性団体は大喜び。
しかし、その直後、EUではその薬が薬として認可され、今ではネットを使えば世界中で手に入る薬になっている。
そんな映画だった。
映画のなかで、P&Gの本社が映し出されている。
すごい巨大企業だ。パンパースやファブリーズで、ここまで大きくなった企業だ。
ところで僕が大学一年の時、一般教養の何かの科目で、これから将来起きる「革命」について論じろ、という宿題が出たことがある。
僕は最初「パンパース革命」について論じた。
紙おむつの決定版「パンパース」が誕生し、今後、紙おむつが快適になるにつれ、排便の快感の後のどうしようもない気分の悪さを感じないまま大きくなる赤ちゃんたちが増えてくる。
快感には、それなりの負担なり不便がつきまとうものだという経験がない子供たちが大人になったとき、今までよりも、より快楽を求め不便を排除する傾向が高まり、「パンパース革命」が起きるだろう、という内容だった。
ところが、提出前に、周りの人の革命論を読んだらあまりに真面目だったので、僕は全面的に書き直して、題も内容もごく平凡なすごくつまらないものにしてしまった。
その後、授業で先生が「今年は創造的なものが全くなかった」と残念そうにしていたのを見て、「あのまま提出してしまえばよかった」と深く反省をしたのを覚えている。
そして、今になって僕は思う。若者たちが、特に男の子たちが結婚したがらないのは、「快楽の後に不便がついてくる」ってことに免疫がないからじゃないのかな?と。
つまり、パンパース革命が起きているんじゃないかなって。
映画のなかでパンパースの本社の画像を見ながら、僕はそんなことを思っていた。