カリフォルニアのクリスからメールが来た。
ロサンゼルスの大きなラーメン屋に行ったら、俺たちの共通の友人(日本人)が普通にラーメンを食べていて、互いにすごく驚いたそうだ。
日頃の行いが悪いせいか、俺にはそういうサプライズが少なくて残念だ。
先週末、姪の看病の合間に、知り合いの家に挨拶に行った。
僕もお世話になった93歳で亡くなった方の葬儀が平日にあって行けなかったので、挨拶に行くことにしたのだった。
車を駐めるスペースがとても小さな家だったので、駐めてあった軽トラのギリギリに車を駐めようとしたら、軽トラの飛び出たウインカー部分で、僕の車体をこすってしまった。
軽トラのウインカーには軽いヒビが入り、僕の車は少しだけへこみ、15センチほどのキズが、リアパネルからバンパーにかけてつながっている。
長野に帰ってから修理に出したら、5万円を超える見積もりだった。
板金そのものは7000円だというのだが、僕の車の塗装が特殊で、その料金が高いということだった。
泣く泣く、その修理を依頼した。
修理に出したのが火曜日。完成は金曜日になるということだった。
お金も痛いが、車で通勤しているので、代わりに電車で行くのがつらい。
都会と違って、5分ごとに電車が来てくれるというわけではない。1本乗り遅れたら、20分は待たないと行けない。朝の20分は大切だ。
職場は遠いので、朝8時から始まる会議に出席するためには、朝6時29分発の電車に乗る必要がある。
昼間はそれほどでもないが、夜に近づくにつれて眠くなってくる。金曜日の夜5時45分からの講義では、思いっきり爆睡してしまい、あとから講師に注意された。何やってんだよ。俺は。
金曜日の夜、契約どおり、修理をされた車は僕の宿舎の駐車場に駐まっていた。鍵は郵便ポストにちゃんと入っていた。曇天が続いていたせいなのか、車の塗装の匂いはまだ抜けていなかった。
今週末も実家に帰った。
とりあえず、先週、ウィンカーにヒビを入れてしまった軽トラの持ち主の家に謝りに行く。
「こんなのトラックなんだから、凸凹していてもいいの。このお金もまた返しに行かなくてはならなくなる」という親切な相手の方に「そうはいっても」といいながら1万円ほど置いてきた。
板金屋の親父に「相手の車もけっこういっちゃってるかもしれないよ」と脅されたせいもある。1万円で収まる被害であることを祈るばかりだ。
実家に帰って家の様子をしっかり見るのも久しぶりだ。
庭に出て見回してみたら、ここ1月あまりのうちに草が生い茂り、ジャングルのようになっている。
「これはなんとかしなくては。」
そう思わざるを得ないようなひどさだ。
大きな剪定用のハサミを物置から取り出してきて、草を刈る。
でも、あまり花のことに詳しくないので、本当は切ってはいけないような貴重な花も、雑草も同じ勢いで切る。
僕には何が必要なのかわからないので仕方がない。
さんざん切り刻んで、30リットル入りのゴミ袋が2袋ほどいっぱいになった頃、あたりを見回して、自分の招いた惨状を落ち着いて眺めてみた。
背の高い草が倒れている。地面が拾いきれていない草で緑のカーペットのように覆われている。
「これはやりすぎたかもしれないなあ」と思う。
雨が降り出してきたので、そのままシャワーを浴びに家に入る。
シャワーを浴びたあと、ようやく理性が回復してきて、庭屋さんに電話をする。
庭屋さんは「庭の手入れをしようと思っていたんですが、セコムのシールが貼ってあったので、庭に入っていいのかわからなかった」と言う。
「入っていただいて大丈夫です」と話して、それから「庭をひどいことにしてしまったので、きっと怒られると思いますが申し訳ない」と謝った。
それから、姉に電話をして、やっぱり名古屋に行って、姪の看病をすることにした。
看病と言っても、病室でイスに座って本を読んでいるだけだから簡単だ。
「土曜の夜くらいは、俺が見守っているから、姉貴は少し休めよ。」
夜は個室にエキストラベッドを入れてもらって、姪を見ながら寝ることができる。
姪の意識はまだ戻らない。
夜中に何度も、看護師さんが姪の体位の交換に来てくれる。
そのたびに起きてしまう。それ以外にも姪の意識が戻った夢を見て目を覚ます。
そのたびに「夢だったのか」と呆然とした気持ちで現実の病室を眺める。
姪はスヤスヤと眠っている。
「起きてくれればいいのに」と思う。
病室にいる間に、乙一の「箱庭図書館」(集英社)を読み終わった。
最後まで読み切ったが、「ZOO」や「平面いぬ。」を読んだときに感じた「これはすごいなあ」という感想を持つことはできず、面白味も欠けているような気がした。
そのほかに、勉強の本を少しだけ読んだ。
そこに「気分次第でやるやらないを決めるような勉強態度はよくない」ということが書いてあって、それはそのとおりで大いに反省をした。
「そうなんだよな。まったくだ」と思う。
「そういうことだからな。」と自分に言う。
明日からの自分に期待したいと思った。