うちの会社の事故で亡くなった方の遺族を訪問するという仕事をすることになった。
事故は7年前の話だ。
僕は今年、突然担当になったので、事実関係がまったくわかっていなかった。
事実を把握するために、分厚いファイルを読んで、遺族に連絡をして、訪問の約束をした。


例年は、訪問をするといってもだいたい先方から断られるので、お墓参りだけになることが多いと聞いていたが、今年はどういう訳かお会いしてくれることになった。


相手方に聞いた住所を確認して、上司と一緒に車で向かった。
先方では奥さんが1人で出迎えてくれた。事故で夫を失ったのだ。


お花をあげて、それからお線香をあげさせてもらった。
「夫が亡くなって、7年になります。」
奥さんの話は聞いていてつらかった。


夫が亡くなってから、自分も体調を崩し、重い病気になったこと。その病気がつらく、実家の近くに移り住んだところ、夫の家から「長男の実家を継げないのなら縁を切れ」と迫られ泣く泣く縁を切ったこと。月命日に、毎月お花を持って行くのだが、夫の家の人たちにお花をお墓の隅に捨てられてしまうこと。今も精神的に、とてもつらい状態にいること。


聞いている間、僕は何も言えずにずっと黙ってうつむいていた。
「もうお墓参りは今年限りで結構です」と奥さんに言われて、上司が「襟を正すためにも私が在職中は来年もまた来たい」と話し、僕は「そうだよな」と思いながらうつむいていた。


人が1人亡くなってしまうというのは、たいへんなことだと改めて思ったし、そしてそれから東日本大震災で死者や行方不明者が2万人もいることに思いが至って、「ああ。どれほどの悲しみや悔しさや、いつまでも続く痛みを多くの人が抱えているのだろう」と思った。


今週末は、実家にも帰らず、旧鬼無里村の奥裾花渓谷に水芭蕉を見に行った。


今頃になって、こんなことを気づくのもかなり遅いと思うけれど、車の運転がスキーに似ていることに気がついてから、コーナリングが以前よりもかなりうまくなった。
スキーと同じように足を少し内股にして、スキーでポールを避けるように上手にカーブを曲がっていく。
「こうやって曲がればよかったんだ」


ただ難点は気がつくとスピードがやたらと出ていることで「これは警察に見つかったらしゃれにならないな」と思うことほどスピードが出ていることも最近はよくある。


奥裾花渓谷につながる国道406号線は、急カーブの連続だと以前から聞いていたけれど、思った以上で、でも、コツがわかってきたので楽しかった。


奥裾花の観光センターに入る直前に大きな橋を渡る。その前にある大きな看板に、現在の水芭蕉の状況が示されている。


「現在の水芭蕉の状況:見頃過ぎ」


ここまで来て、見頃過ぎって言われても引き返すわけにも行かないので、そのまま観光センターを目指す。
観光センターに着いた11時30分頃には雨も上がっていて、曇り空だった。
観光センターから先は自家用車の乗り入れは禁止なので、バスに乗り換える。でも、乗っているのは5分程度だ。
降りるとき、「帰りのバスの時刻表を確認するように」と言われる。
確認してみたら毎時15分と45分に発車することになっている。
「そう言えばいいだろ!」なんて思ったりした。


最後のバス停から、10分くらい歩くとようやく水芭蕉のある自然園にたどり着く。
大きなブナの木がきれいだ。足下には落ち葉がクッションのように積もっていてとても歩きやすい。


My Kiasu Life in JAPAN-ブナ林

水芭蕉は、僕は可憐な花のイメージを持っていたけれど、確かにもう見頃過ぎだった。
葉は巨大化し、白い花のように見える部分は垂れ下がり、「ここは野沢菜畑?」って感じになっていた。


My Kiasu Life in JAPAN-大きく育った水芭蕉

それでも水はきれいで、景色は美しかった。白く可憐な水芭蕉も広大な自然園を歩いていると、少しは見つけられた。


My Kiasu Life in JAPAN-可憐な水芭蕉

1時間ほど散策して、それから帰ることにした。観光センターまで、歩いたって20分程度だ。ちょうどいいバスの時間がなかったので歩いて帰ることにした。


5分ほど歩くと、僕たちを帰りのバスが追い越して行く。どうもあんまり時間に関係なくバスは動いているようだった。
「あのなあ。でもいいや。俺、歩く。」なんて思った。


帰り道の途中、鬼無里温泉に寄って体を洗った。以前、カリフォルニアのクリスが教えてくれたように、「熱いお湯に入って、出てきたら冷たい水をかける」のを何度も繰り返していたら、気分もすっきりした。


その日の夜は、大町の友達の家に泊まった。
信濃大町駅の近くにある「喜多さん」という飲み屋を目指していたのだが、結局、「喜多さん」の斜め前にあるきれいなお店で飲んだ。
店の名前はもうすっかり忘れてしまったが、女将さんに頼んで、普段は「エビやカボチャや山菜」というてんぷらを全部山菜にしてもらった。


コシアブラ、タラの芽・・どのてんぷらもおいしかった。
ほとんど衣のないてんぷらで、揚げ方も本当にうまく、油っぽさが全くないスナック菓子を食べているような軽さだった。
「こんなおいしいてんぷらを食べたことがない」と一緒に行った友達も絶賛していた。


日曜日はダラダラと友達の家でマンガばかり読んで過ごした。
そんなわけで、今週末もまったく勉強をしなかった。動かざること山のごとし。


残念なことだ。