連休明けと聞いていた母の退院が、先に延びた。
シャワールームでシャワーを浴びているうちに動けなくなってしまったという。
肺炎はよくなったが、今度は心臓がよくないらしい。


土曜日に長野から病院に向かう。
本人は気力を相当失ったようで、葬式の準備をするようにと僕に言う。
「喪主の挨拶も下書きを作っておいたから、これに手を加えなさい。」
「原稿を見ながらでもいいから、しっかりと挨拶しなさい。」という。


「まだ気が早いんじゃない?」
「早いくらいでちょうどいいの。私が小学校の教諭をしていたとき、児童に通知表を手渡すその日まで通知表を書いていた先生がいたけれど、そういうのが私は大嫌い。」
「わかるけど、早すぎる気がするよ。よくなると思わなくちゃだめだよ。」
お見舞いから帰ろうとすると、泣いている。
退院できなかったのはショックだろうけれど、困ったなあ、と思う。


土曜日の夜、夕食を食べに姉の家に行く。


カトリック系の幼稚園だったので、僕も姉も幼稚園での勉強はシスターや神父様に習った。
英語は外国人の神父様から習っていたが、彼はイタリア人なので、今から考えるとRの発音が極端に強い英語だった。
父親はファーゼール、母親はマーゼール。
僕は小学校6年まで、毎週1回は幼稚園に行って賛美歌を歌ったり、聖書の勉強をしたり(仏教徒だけど)、英語を習っていたけれど、学校で教える英語の方が間違いだと、その神父様はいつまでも言い張っていた。おかげで学校英語に最初はなかなかなじめなかった。
姉も小学校6年まで、週に1回幼稚園に行っていた。そして今でもシスターと連絡を取っている。


アフリカのシエラレオネにいるシスターから、母へのお見舞いメールが届いていて驚いた。
73歳になるシスターは、今でもバイクに乗っているらしい。
メールを扱っていることも驚きだ。
「アフリカからでも本当にすぐにメールって届くんだね。すごいね。」
母や姉が、昔、何度もこのシスターに手紙を書いて、それが全然届かなかったことを思い出す。
今ではアフリカからでも瞬時にメールが届くのか。


以前、トシオという中学校時代から友達の大工と話していたとき、彼が第2次大戦のシミュレーションゲームの話をしていた。
「日本は、勝てないんだよ。日本が必死になって戦艦を造っても、アメリカは、日本では考えられないペースで戦艦を造って送り込んでくるからキリがない。消耗戦になったら負けちゃうんだ。」
「絶対に勝てない?」
「勝つ方法が一つだけある。っていうか、見つけた。兵隊を訓練する費用とか、戦艦とか造る費用を全部、科学技術開発につぎ込むんだよ。そしてジェット戦闘機を開発すれば勝つ。」
そのときは笑っていたけれど、この話は僕にとって印象深くて、未だに科学技術開発と聞くと、絶対に伸ばすべきだと単純に思ってしまう。


科学技術って本当にすごいなって、今回、改めて思った。


何度も長野と実家を行き来して疲れたのだろうか?
今回僕も、軽い風邪を引いた。
日曜日の朝、起きたら扁桃腺が腫れて痛い。
何度もうがいをするが、全然よくならない。


夜になって、うがいをしようとして、長野の部屋にはうがい薬がないことに気づいてがっかりした。
それから、ふと、そう言えばハチミツって消炎作用があるんだったよなあと、昔、アロマで学んだ知識を思い出した。
お湯にハチミツを溶かして、うがいをしてみる。
半分冗談でやってみたのだけれど、本当に痛みがかなり和らいだので、ちょっとびっくりした。