木曜日には、人事異動の内示があった。
僕は該当しなくて、またストレスフルな1年間をこの職場で過ごすことになった。
示された人事通知書には「あと2年」と書いてあって、それを見たとたん、自分でも意識せずに顔色が変わったらしい。
何も言わなかったのに、上司があわてて「人事だから。都合によっては、1年でも。」となだめるように言った。


少なくともあと1年かあ。
正直、やだなあ、という気持ちの方が強い。


名古屋で一緒に仕事をしていた女の子から電話が来る。
女の子と言っても、もうお母さんだ。
「人事異動、どうでした?」
「なんにもなかったよ。」
「N君、東京から長野に帰ってくるらしいですよ。」
「そうなんだ。彼は、長野で合コンしてそのときの彼女と付き合っているらしいよ。」
「そういう話って、あなたはどうしてないの?」
「わからない。呪いでもかけられてんのかなあ。」
「若い頃、邪険にした女の子に。」
「そんな子いたっけなあ?」
楽しそうな、彼女の声を聞きながら、俺は結構、つらいなあって思っていた。


木曜日の夜には人事異動があったということで職場の飲み会になった。
僕は飲まずに、ウーロン茶とかオレンジジュースなどを飲んでいた。
金曜日は朝8時から会議があるし、飲んだら悪酔いしそうだった。
実際にアルコールを飲んでいる人は少なくて、10人くらいのうち飲んでいるのは4人しかいなかった。


帰り道、運転をしながら、自分が気分的に少し高揚しているのを感じた。
落ち着いて運転しろよ、と何度も自分に言い聞かせた。
飲まなくても飲み会の雰囲気に酔うってことがあるんだ、ということを初めて知った。


週末は実家に帰った。


高速道路を2時間ほど運転する。
帰り道、車が何度も強風にあおられて怖かった。
嵐になる、と天気予報でも言っていた。
なのに、僕は部屋の窓を少し開けて、それから洗濯物も干して、ベランダに空き缶のゴミを袋に入れて置いていた。
帰ったらひどいことになっているかもしれないな。
洗濯物が舞い散り、空き缶が風に飛ばされて5階から1階に落ちていく様を想像する。
でももう今さらどうすることもできない。


土曜日の午後は、お墓参りをして、その後、母を連れて天竜峡までドライブをした。
南信州はもう春だ。
風も穏やかで、暖かな光のなか、オオイヌノフグリやハコベといった小さな花がたくさん咲いていて、きれいだった。


実家の台所のシステムキッチンを入れ替える工事を来週あたりにするらしい。
土曜日の夜に姉が来て、冷蔵庫の中身の整理と吊り戸棚のなかの拭き掃除をするように、と僕に言う。


日曜日の朝、言いつけ通りに冷蔵庫のなかを掃除していると、信じられないくらい古いものが隠れていたりする。
凍り付いた松茸も出てきた。
もったいないと思うけれど、ゴミバケツに直行。


小雨が降るなか、庭に穴を掘って、台所のいろんなところから出てきた生ゴミと一緒に放り込む。
土をかけながら、ちゃんと分解されるかなあ、と不安になる。


吊り戸棚のなかを拭いていたら、母親がよくテレビでCMをしている「ココマジック」というスプレー式の洗剤を渡してくれる。
「こんなものを買うやつって、本当にいるのかって思っていたけど、こんな身近にいたんだ。」
文句を言いながらスプレーをしたら、信じられないくらい汚れが落ちて驚いた。
「すごいな、これ。」


疲れると、2階の自分の部屋で本を読みながら寝た。
「伊藤真の商法入門」(日本評論社)を、有価証券法の部分をすっ飛ばして読み終えた。


My Kiasu Life in JAPAN-商法入門

スタンダードな会社形態はしっくり来るけれど、委員会設置会社あたりになると、どうもピンとこない。
伊藤真も昔の会社形態の話に引きづり込もうとしている感があって、新しいタイプの会社形態についての説明は今ひとつという感じだった。


月曜日には、また長野に帰った。


職場に直行しようとも思ったけれど、家のベランダが心配でいったん家に帰った。
特に何もなかった。
洗濯物はちゃんと洗濯竿にぶら下がり、空き缶はビニール袋のなかで居心地が良さそうにじっとしていた。
それから仕事に行った。


2時間ほど仕事をしているうちに、自分がした大きなミスに気づき、頭を抱えた。
明日はこの仕事の始末から始めなくては、とスケジュールを組み直した。


試験に向けて、やはりペースメーカーを作ろうと思って、ユーキャンの「司法書士試験講座」を申し込んだ。
家に帰って、その口座のテキストや問題集を受け取る。
小さな段ボール1箱分。
意外と少ないんだな、という印象だった。
俺が今週末に実家に運び込んだ書籍の半分程度だ。


さっそく、パラパラと眺めてみる。
憲法や民法についてはある程度はわかるけれど、不動産登記法などはまだ何が難しくて、何が簡単なのかすらもわからない。
でも、最後までやり切ろうと思った。


今日は「17歳のカルテ」を少しだけDVDで観た。


My Kiasu Life in JAPAN-girls interrupted

まだ最初の方だけど、アンジェリーナ・ジョリーの演技が素晴らしい。


My Kiasu Life in JAPAN-girls interrupted1

この続きはまたゆっくりと観たいと思う。