久し振りに、職場に行かずに週末を過ごした。
職場には行かなかったけれど、友達から頼まれた仕事もいくつかあり、完全にフリーな週末というのはまだ少し先になりそうだ。
週末は、上司から借りたトム・ロブ・スミスの「チャイルド44」という小説を読んで過ごした。
舞台はスターリン統治下のソ連。
恐怖が支配する社会のなかで、国家保安省捜査官であるレオは、国家に対する忠誠心が疑わしいものを次々と捕らえ、監獄に押し込めていた。
この国では「疑わしい=有罪」である。
スパイの疑いがあれば、捕らえられ、自白するまで拷問にかけるからだ。
その結果、処刑され、よくても強制収容所送りになる。
次々と無実のスパイと疑いをかけられた者が捕まり、殺される。
ひとりのスパイに逃げられるより、10人の無実の人間を苦しめる方がどれほどかまし、だと彼らは教え込まれている。
ソ連の社会主義の社会には、犯罪は存在しない。
従って、警察組織というのは弱い組織でしかない。
妻がスパイの疑いをかけられたレオは、拷問を受け、その後地方の警察巡査長となる。
そこで、子供ばかりを大量に殺している犯人を絞り込むが、そんな犯人がいるということを口にしただけで、国家体制批判になってしまう。
他の警察小説と違い、この小説では国が本気で捜査の邪魔をする。
ヘタをすれば処刑まである。
証拠も重要視されず、自白だけが頼りの刑事裁判で、レオがどうやって犯人を捜し当て、生き延びていくのか。
対国家という視点が斬新で、ソ連は恐ろしい国だったんだ、と読んでいて改めて思った。
マイケル・シェイボンの「ユダヤ警官同盟」も読み終わったが、こちらは苦労して読んだ割に最後まで感動がなく、ところどころ楽しいシーンもあったものの今ひとつだった。
ダニエル・クレイグの鍛え抜かれた肉体は素晴らしいし、アクションもすごい。
環境保護団体が、金儲けに走っているという設定も悪くはない。
彼が何のために戦っているのか、それがよく見えなかったからなのかもしれないし、もうこういう派手なアクションシーンに僕が飽きているせいなのかもしれない。
DVDで「マン・オン・ワイヤー」も観た。
映画の作りは「運命を分けたザイル」に似ている。当時の状況を関係者が話し、疑似映像または当時の映像を流す。
ただ、今回は登山ではなく、綱渡りだ。
パリのノートルダム寺院、オーストラリアのハーバーブリッジを綱渡りで渡った男が、地上411メートルのワールドトレードセンターの2つのタワーを結んだワイヤーを渡ることを試みる。
命綱はない。
もちろん違法で、夜のうちに忍び込み、2つのタワーの間にこっそりとロープを張らなければならない。
諸事情があって、渡る前にすでにクタクタになっていた。
オーストラリアのハーバーブリッジを渡る映像を見ると、まるで人が宙に浮いているように見える。
「エッジを歩かなければ、人生に意味がない」
彼の行動は、彼の人生を表しているようだ。
ところで、この映画ではエリック・サティの「ジムノペディ」が使われている。
素晴らしい曲で、このサントラを買ってしまったおたふく豆さんの気持ちもわからないではないけれど。
スネークマンショーを聴いて育ったので、この曲が流れるとすぐに伊武雅刀の「嫌いだ。君のことが嫌いだ。君の匂いを嗅ぐのが嫌いだ。」と怪しく囁く声が頭に浮かんできてしまって、その点は残念だった。


