8日の土曜日は、東京に住む叔父の見舞いに行く予定だった。
肺の病気になって、今は自宅で静養している。
元気なうちに会いに行きたいと思っていた。
それとはまったく別の話で、友達から仙台の七夕まつりを紹介されていた。
せっかく8日に東京まで叔父をお見舞いをしに行くのだから、夜は東京から仙台まで行こうかな、なんて思っていた。
ところが水曜日に以前の職場の同僚からメールが来て、「8日の夜に長野で合コンをする」という。
メールを読んだ2秒後には、その長野の合コンに行くことに決めていた。
「合コンなんかいつでも行けるじゃないですか。七夕まつりは1年に3日だけなんですよ。」
電話口で友達はそう言うけれど、俺の合コンだって1年に3日くらいしかない。
「仙台には、9月の連休中にジャズフェスティバル?かなんかに行くよ。あ。もっとも、合コンで知り合った相手と南の島で甘い日々を送っていなければってことだけど。」
「仙台の七夕まつりが、合コンに負けた。」
「しょうがないじゃん。超久し振りの合コンなんだし。」
「失敗しますよ、きっと。そして七夕まつりに行かなかったことを後悔する…。」
不吉な予言というよりは、リアリティのある予報という感じだった。
でも僕の合コンに行く意志は鉄より固かったので、そんなことで挫けたりしなかった。
木曜日と金曜日は、仕事に少し余裕があった。
事故防止の標語を作ってくれと言われたので「いつでも、どこでも、身近で起きる。事故は恋に似ている」と書いて提出したら速攻でボツにされた。
どこか浮かれていたのかもしれない。
予定どおり、土曜日には叔父の家にお見舞いに行った。
来週の火曜日から入院をするというのだが、叔父は元気で食欲もあった。
様々な料理を叔母が作ってくれて、寿司までとってもらい、昼からビールを飲んだ。
叔父が高校時代に描いたという絵が僕は好きだった。
とても緻密に鉛筆でバイクを描いたものだったが、ああいう絵をまた描いて欲しいと頼んだ。
「いい絵だったら、買うから。」
叔父が笑顔になった。
従兄弟も皆、親切で、楽しい時間を過ごせた。
居心地が良く、いつまでもいたかったけれど、4時30分頃には帰ることにした。
長野には7時近くに着いた。
合コンをして楽しかったけれど、南の島に一緒に行くような人は結局、見つからなかった。
男ばかり3人で反省会をして、ビールばかりをがぶ飲みをして、1時頃、タクシーで帰ってきた。
日曜日は、洗濯などをして、一歩も部屋の外には出なかった。
友達の予報どおり、合コンは失敗に終わった。
「七夕まつりに行けばよかったのかなあ?」
そう思ったりもしたけれど、今さら仕方がないことだ。
DVDで「ジェイミー・オリヴァーのスクール・ディナー」を観た。
加工食品を温めるだけの学校給食を食べるイギリスの小中学生。
家でも加工食品を食べることが多く、野菜のアスパラガスを見てもそれが何かを小学生の誰もがわからないが、マクドナルドのマークだけは誰もが知っている。
脂肪分と糖分が多い加工食品ばかりを食べ、繊維質がまったく欠けているため、小学生で6週間もの便秘になる子供がいるのだという。
シェフのジェイミーがその給食改革に乗り出す。
ただ「温めるだけ」だった給食のおばさんと言い争いをし、加工食品に慣れた子供達をあの手この手で懐柔しながら、彼は給食をまともなものに変えようとする。
予算の制限や、給食のおばさんの抵抗を受け、当の児童や生徒からも「野菜なんかまずい」と反対をされながら、説得を続けるジェイミーの姿を見て、俺もこういう人になりたいものだと思った。
『「天井桟敷の人々」は本当に名作なので、合コンで失敗した翌日に一気に観るのがオ・ス・ス・メ』なんだと、仙台の友達がメールをくれた。
そんなわけで、日曜日には、「天井桟敷の人々」を見た。
3時間を超えるこの傑作も今ならDVDで500円で買える。
第1幕を観終わったところで疲れて、残りは後日観ることにした。
「あんなに美しい女性を見たことがあるか?」
そう言われているガランスのいったいどこが美しいのか僕にはさっぱり。
パントマイム劇も僕にはなぜあんなに絶賛されているのかわからず、俺には理解できない映画なのかなあと悲しい思いで観た。
諸星大二郎のマンガ「西遊妖猿伝 西域編1巻」(講談社)を本屋で見かけて買った。
「とうとう続編が出たのか…。」
彼の「西遊妖猿伝」は「大唐編」からのファンで、こんなにマンガらしいマンガもない。
名前からわかるように、このマンガは西遊記がメインなのだが、三蔵以外の登場人物が実に怪しく、味わい深い。
続編と言えば、スティーグ・ラーソンの「ミレニアム2 火と戯れる女」上巻(早川書房)も読んだ。
前作のレベルを維持し、読者をストーリーに引き込む力は圧倒的だ。
リスベットがどうなるのか上巻では先が読めないが、衝撃的なドラマが待っていそうな予感がする。
これだけの作品を世に残しながら、心筋梗塞で亡くなってしまったという作者のことが残念でならない。