月曜日と火曜日に飲み会があった。
月曜日は係の飲み会で、火曜日は歓迎会だった。
どちらの飲み会も男ばかりの飲み会で、他に話題もないので、どうしても仕事がらみの話になってしまう。
酔って激論を戦わせている人たちもいる。
不毛な争いに巻き込まれたくないので、ビールを持って難民のように逃げ回る。
気づくとそんな人が何人もいて、机を何周もしながら、座ったら負けのイス取りゲームをしているようだ。
そんな風にして週の始めの2日間を過ごしたら、随分と胃腸が弱ったらしい。
火曜日に帰ってきた後、ちょっとお腹がすいていたのに何も食べるものがない。
唯一あった食料がタマネギだったので、2つのタマネギをそれぞれ4つ切りにしてお湯で煮て、醤油をかけて食べた。
決してうまくもなかったけれど、お腹がいっぱいになったので満足して寝たら、2時間ほどして激痛で目が覚めた。
タマネギが弱った胃腸によくないなんて、僕は知らなかった。
「知らないということは、悪いことなんだ。」
小学生の頃に読んだ「黒馬物語」の一節が急に思い出されて、脂汗を流しながら、僕は布団の上で悶絶していた。
水曜日にはジョン・ベルーシのSNLをDVDで観た。
トム・ハンクスのSNLよりも僕はこっちの方が面白かった。
真面目だった僕が、多くの不真面目な友達と付き合うようになったのも、ジョン・ベルーシが活躍した「アニマルハウス」の映画について、小学校の頃に読んだのが遠い原因になっているようにも感じる。
オープニングでは、1匹のダルメシアンが車から必死で逃げている絵が映っている。
そこに声がかぶる。
「101匹わんちゃん、101台の車にひかれるは、放送延期。ただいまからNBCの特別番組を放映します。」
ほかの内容もお笑いとダンスとロックがたっぷり。すごく気に入った。
金曜日はスナックの女の子の誕生日で、僕は友達とお祝いに行った。
9時30分スタートだった。
行きの電車のなかで、課長と会ったので挨拶をした。
「今まで、どこで飲んでいたんだ。」
「いいえ。どこでも飲んでいません。僕は、これから飲みに行くんです。」
「そうか。どんな飲み方をしているのか、今度教えてくれ。」
「あ。はい。えーと。」
未だに、偉い人と何を話したらいいのか、僕にはよくわからない。
誕生日会はケーキも出て、僕は久し振りにケーキを食べたような気がした。
12時30分頃に、僕と友達はタクシーに乗って家に帰った。
翌日は朝5時50分頃に起きて、旅行に行く準備をして、6時40分に家を出た。
福島県に住んでいる「Tどん」と「O」と会津を旅行することにしていたのだ。
火曜日に酔っぱらってTどんに電話し、「会津に行くからよろしく」と言っただけなのだが、旅館や日程などすべて彼が手配をしてくれた。
待ち合わせは、会津若松IC近くの会津アピオという所に11時だった。
時間的に余裕を持って出たのだが、北陸自動車道を走っていると、新潟県中越地震災害復旧のための片側一車線通行区間がかなりあって、何度も渋滞気味になったので、着いたのは10時30分頃だった。
11時近くにTどんと会った。
Oは事故渋滞に遭ったらしく、バスが遅れたらしい。
鶴ヶ城で会うことにして、僕たちも鶴ヶ城に向かった。
県立博物館の駐車場に車を駐め、Tどんの見事な案内で鶴ヶ城とは真逆の方向に歩き始め、会津総合運動場のまわりを一周する。
アスファルトの路面上に、ドライバーによく見えるように速度表示や歩行者注意といった黄色や白の大きな文字塗装をされていることがあるが、会津総合運動場のまわりのアスファルトの上には、黄色の文字で「思いやり」と大きく書かれていたのが印象的だった。
鶴ヶ城は天守閣まで登れるようだったが、有料ということもあって結局登らなかった。
城の周りを一周したところで、Oと会った。
「登らなかった?正解だよ」と彼は言った。
鶴ヶ城から県立博物館の駐車場に行く道は絶対こっち、俺たちこの道を歩いてきたと、まったく違う道を指し示すTどんを叱りつけながら、駐車場まで戻った。
「会津ソースかつ丼」で有名な十文字屋で、昼食をとった。
僕は大きなすり鉢に入った十文字ラーメンを食べたが、他の2人はソースカツ丼を食べ、完食した。
それから白虎隊が自害した飯盛山に行った。
無料と書いてある駐車場に車を駐めると、そこは土産物屋が経営しているらしく、帰りにその土産物屋で買い物をして帰るように、などと言う。
飯盛山の長い石段を上がると、白虎隊の志士の墓が並んでいる。
線香を買って手向け、手を合わせた。
墓前でガイドの人が白虎隊の悲劇を語っているので、僕たちも聞く。
簡単に言うとこんな話しだ。
白虎隊が激しい攻撃に撤退して城まで帰ろうと、飯盛山まで戻ってきたら、城が燃えていた。
でも、本当は城は燃えてなくて、城に攻め入る時期を遅らせようと、城下にいる人たちが自分たちで火をつけていたのだ。
そうとは知らない白虎隊は、城が燃えてしまったと勘違いをして自害をした。
「本当は城は燃えてないって、死ぬ間際に知ったら、たまんないよな。」などとOと話す。
白虎隊記念館に入場料を払って入り、白虎隊のアニメも観た。
ほとんど静止画像で電子紙芝居って感じだったけれど。
帰りに土産物屋の前で会津藩の「什(じゅう)の教え」って、教えが10あるって意味なのか?7つしかないだろ?ってOと話していたら、土産物屋の親父が出てきて「この教えをいくつの子供が守っていたのだと思う?」と説教口調で話し始めた。
俺は説教口調の親父ほど嫌いなものはないので、「6歳から9歳だって白虎隊記念館に書いてあったよ」ととりあえずやり過ごそうとした。
親父はそれからもしつこく話しかけてきて「うちの駐車場に駐めたんだから、うちで土産物を買え。割引するから。」などという。
「そこに座って。お茶も入れるから。」などとカップのお茶を出してきて、有無を言わせない物言いをする。
なぜ、言うことを聞かないといけないのか理由がわからないし、そこの土産物に僕はまったく意味を感じなかったので「もう行こうぜ」と他の2人と店を出た。
「確か、什の教えには「ひきょうなことをするな」ってのもあったよな。」
飯盛山からの旅館までの道を運転しながら、俺は怒りがなかなか収まらなかった。
ちなみに、什というのは、10人一組の班体制のことをいうらしい。
俺はただそれが知りたかっただけだったんだ。
その日に泊まったのは「湯野上温泉 清水屋」。
http://www4.ocn.ne.jp/~shimizuy/
旅館の人は親切な人ばかりで、ご飯がおいしかった。
何度もお代わりをして、最後にはおかずがなくなってしまったので、「ゆかり」まで出してもらってご飯を食べた。
俺たちは、部屋ではずっと「桃太郎電鉄USA」をやっていて、深夜になって俺が勝った。
俺がほんの少しプラスだっただけで、他の2人は所持金がマイナス。
レベルが低い争いだったが、そんなこともある。
Tどんの悔しがり方は、ちょっとびっくりするくらいだった。
多くの人がいたが、俺の胸を打つようなものは何も見られなかったし、何もなかった。
観光用のマイクロバスが何台も来ているのを少し不思議な気持ちで見た。
それから山口温泉きらら289まで車を飛ばした。
とても気持ちがいい温泉で、熱い風呂に入ったり水風呂に入ったりを何度も繰り返して2時間近くも入浴していた。
水風呂がこんなに気持ちがいいものだとは知らなかった。
その後に、熱い風呂に入り直すと、体は熱くなっても、どこか爽やかな涼しい感じがする。
この地域ではトマトが有名らしく、風呂上がりにトマトソフトも食べた。
会津で有名な「ネギそば」という、ネギ一本を箸代わりに使い、さらにかじって薬味としても食べるというそばを食べに大内宿に行った。
事故があったせいなのか、理由は定かではないが大内宿まで大渋滞にはまり、たどり着くまでに3時間近くかかった。
大内宿自体は、山間にある宿場町で、江戸時代の宿場の面影を今もそのままに残している、ということになっているらしいが、現実に見るとそうかあ?って感じの所だ。
念願のネギそばを食べたが、それほどうまいものでもなかった。
でもお店の人がとても親切だったので、全然不満はない。
大内宿を出て、会津若松駅まで行き、1泊2日の予定だったOとはそこで別れた。
それから、Tどんと猪苗代湖畔にある「国民宿舎 翁島荘」に行った。
夕食を食べてから、また2人で「桃太郎電鉄USA」を始めて、途中で温泉に行った以外には、この日も深夜までずっとゲームをしていた。
何度もピンチがあったけれど、最終的には僕がまた勝った。
Tどんはこの日もとても悔しがり、俺が寝た後もずっと1人でコンピュータ相手に戦っていた。
朝7時頃に起きたら、Tどんがやたらと「眠い」というので聞いたら「朝5時までゲームをしていた」のだという。
僕は2度ほど寝言のように「もうやめろよ」って言ったらしいんだけど、結局、起きていたらしい。
月曜日の朝は、朝食を食べた後、Tどんを福島市まで送った。
近道だという国道を走っていったのだが、山間部を走り抜けるので、途中、道全体が濃い霧に覆われたりした。
それで、帰りは近道ルートは一切走らず、高速道路だけを使って長野まで戻ってきた。
長野に着いたら少し疲れていたので、スーパー銭湯に行った。
会津の山口温泉でしたように何度も水風呂と熱い風呂を往復したけれど、泉質の違いなのか、もう体が慣れてしまったのか、あのときのような爽やかさがほとんどなくて、それが少し残念だった。
旅行は久し振りに、TどんやOと会って、おいしいご飯を食べて、ビールを飲んで、いろんな話しをしたりゲームをしたりしたのは楽しかった。
突然の話しだったけれど、うまくまとめてくれたTどんと、来てくれたO、ありがとう。
そんなわけで旅行は楽しかったが、家に帰って体重を測ったら、自分史上最高デブ記録を更新してしまっていた。
ダイエットに励むこととしたい。
明日から。
**おまけ**
酔ったときに聞いたOの印象深かった話
「いわき市にある小名浜第二中学校の応援って知ってるか?」
「知るわけないだろ。」
「イケイケ、オナニーとかオナニー、ファイトって言うんだよ。有名だぞ。」
「…なるほどなあ。」

