部屋のクーラーが故障していて、女の子を部屋に呼ぶこともできない。
そんなメールを友達に書いたら、「夏は恋の季節だから」クーラーを直した方がいい、という返事が来た。
そんな季節だとは全く知らなかった。
そこで、以前、このエアコンを購入したヤマダ電機に電話をした。
修理の担当者から折り返しの電話があり、「この型のエアコンの部品が、今では手に入りにくくなっていて、手元に届くのは8月の末になる」という。
それでは全然、意味がない。恋の季節が終わってしまう。
新しいエアコンを買うことにしてヤマダ電機に行った。
今の故障したエアコンが3万円くらいだったので、そのくらいで買うことができると思っていた。
ところが一番安いのでも7万円近くすると聞いて、がっかりした。
おまけに、そのエアコンでは能力が低すぎて、冬の暖房としては使えないからもっと高いのを買った方がいいと言う。
それでコジマに行った。
安い4万円台のものが一応あるが、それは入荷が9月になると聞いて、またがっかり。
仕方がなく、その次に安い5万円台のものを買った。
俺は自分で温度の設定ぐらいはできるから、エアコンは冷風だけ出ればそれでいいのだ。
それでも壊れたエアコンの取り外しやリサイクル料などを含めると、6万4千円くらいにはなる。
遊ぶ金にはあまり糸目をつけないのに、必要不可欠なものにはついケチってしまう自分の性格が少し不思議だ。
8月2日の土曜日には取り付けに来てくれるという。
8月2日。
僕の恋の季節が始まる。
月曜日から水曜日まで3日かけて、キューブリックの「フルメタル・ジャケット」をDVDで観た。
昔から観たかった映画だ。
大学時代には、前売り券を買ったのに結局観にいかなかった。
新宿で酔っぱらったときに深夜この映画を上映しているのを知って映画館に入ったのに、爆睡してしまって、気づいたのは映画が終わった後だった、なんてこともあった。
そんなわけで観たいのに、結局、今までまともに観たことは一度もなかった。
ようやく観た。すごい傑作だ。
今まで「時計仕掛けのオレンジ」をはじめてとして、「アイズ・ワイド・シャット」「スパルタカス」などキューブリックの映画をいろいろと観たけれど、どこか隙があって、かったるいなあってところがあったけれど、この映画にはそんな隙がない。
どのシーンにも良質な演技と演出、そしてキューブリックの意志が詰まっている。
ビルに向かって発砲するシーンでは、何百という弾痕ができるので、それをまた2日ほどかけて埋め直し、そしてまた撮り直す、という気が遠くなるような撮影だったらしい。
18週間の撮影の予定が1年以上かかったという
この映画は、前半で、普通の若者が、海兵隊員として精神的にも肉体的にも追い込まれて殺人機械に仕立て上げられるまでを描いている。
微笑みデブと呼ばれる、いつも笑っているかのような太った若者は(監督の要請で36キロも太らされたそうだ)、訓練の最後には狂気をはらんだ視線をもつようになり、人相が変わってしまう。
解説の映像で、この微笑みデブの役をした俳優は「銃なんか嫌いだったのに、この映画のために暗闇でもライフルが組み立てられるようになってしまった」と悲しげに語っていた。
俳優にそれだけの演技を要求する映画だったのだろう。
後半ではベトナムの実戦を描き、ラストは漠然として終わる。
ラストは不思議だったが、「過酷な経験を逃れるために、平和だった少年時代に戻りたがっている」という意味だと、あとで解説の映像を見て知った。
戦争の残酷さ、美しさ、高揚感、スリル、絶望、友情、責任感、運の善し悪し、そんなものを実に丁寧に描いている。
キューブリックの最高傑作だと、僕は思ったし、多くの人に観て欲しい映画だ。
木曜日には人間ドックに日帰りで行った。
胃カメラの撮影の際、静脈麻酔もしたが、鼻から麻酔をスプレーで吹き込まれたときに、それだけで吐き気がこみ上げ、息ができなくなりパニックになった。
あえぎながら「息ができない」というと、「落ち着け。君はちゃんと息ができている。息ができなかったら、君の意識はもう飛んでいるよ」と言われ、自分で確認してみたらちゃんと息ができていた。
深呼吸をしたら、気分も落ち着いた。
カメラは鼻から入れると聞かされていたが、僕の場合にはなかなか入らなかったので、やっぱり口から入れた。
苦しかったけれど、以前よりは格段に楽だった。
ベトナム戦争で敵に撃たれることを思えば、苦しみも痛みも大したことはない、と無理に思っていたせいもある。
人間ドックを受けながら、高橋洋一の「さらば財務省!官僚すべてを敵にした男の告白」(講談社)を読んだ。
小泉政権、安倍政権を支えた官僚の暴露本でなかなか面白かった。
読みながら思ったのは、僕たち日本人は賢いマスコミを持ってなくて不幸だなあってこと。
もちろん、日銀の金融政策が無茶苦茶だというのも不幸だとは思うけれど、本当に無茶苦茶かどうかマスコミは教えてくれない。
本当に消費税は17%も必要なのか、とか、霞ヶ関埋蔵金はあるのかどうか、といったことは客観的な数学と会計なんだからマスコミ自身が裏付けの計算をできるだろうって前から思っているんだけど、絶対に自分たちではやらないんだよな。
支持率の計算だけはするけど、他は官僚の作った数字を鵜呑みにしているだけ。
その数字に嘘があると、この本の作者は言う。
東大法学部卒ばかりの財務省キャリアのなかで、東大数学科卒という異色のキャリアを持つ彼は、組織のなかで完全に浮き、最終的には彼らを敵に回すことになる。
読み物としてもなかなか面白く、彼自身も最後までエリート意識が抜け切らないあたりも微笑ましい。
ただ、この本を読んで、もう一度中学校1年の数学の問題から解き直してみようかな、なんて思った。
合理的な考え方を身につけるのは、法律の勉強って方法もあるけれど、やはり数学だと感じた。
金曜日には、友達と夜の9時頃に飲みに行った。帰ってきたのは翌朝の3時頃だった。
かなりマニアックな映画の話なんかして面白かった。
でも思ったほど、飲んだ量は多くはなく、翌日は比較的楽だった。
土曜日の2時頃になって、新しいエアコンが取り付けられた。
当たり前だが、冷風が涼しく、あまりに快適でそのまま4時間も昼寝をしてしまった。
恋の季節が始まったのかもしれなかったが、想像していたとおり、特になにもなかった。
「ほえる犬は噛まない」という韓国映画をDVDで観た。
とても面白い映画で、ペ・ドゥナ役のパク・ヒョンナムがかわいい。
こういう演技をする役者って日本にはいないんだよなあ。
つば吐きおばあちゃんの遺言にはやられた、と思ったし。
グエムルの監督の作品だけど、俺はグエムルなんかよりずっとこっちの方が好きだな。
もっと話題になっていい映画だと思った。
