土曜日に、DVDで「ヤマカシ」を見た後、その日のうちにDVDで「ライフ・イズ・ビューティフル」も見た。


ヤマカシ

ライフイズビューティフル

「ライフ・イズ・ビューティフル」はイタリアの映画で、主役の男はこの映画でアカデミー外国語映画賞の主演男優賞を取った。


どんな困難な状況でも、笑顔と陽気さを絶やさない主人公のつよさと、そんな彼でも生き延びられなかった戦争というものの悲惨さを、ひしひしと感じさせる映画だった。


映画を観た後、もし、日本が再び戦争になったら、と思う。
戦争は、勝つばかりではない。負ける可能性だってあるのだ。
戦争に負けたとき、強制収容所に積み重ねられた白骨化した死骸の山の一部に、自分や家族がなるのかもしれないと思った。
そんな危険な賭にはのりたくない。


映画を見た後は、劇団から頼まれていた台本を少しずつ書き始めた。
芝居の台本のルールがだんだんとわかってきて、書いているのが少し楽しくなってきた。


夕方7時からは職場に行き、10時まで仕事をした。
柿の種をボリボリと食べながら、かなり仕事を進めることができた。


翌日の日曜日には池袋まで遊びに行った。
東急ハンズで買い物をしてから映画を観に行ったのだが、「バベル」が思ったより長い映画であることに気づいて腰が引けてしまい、他の映画も時間が合わなかったので仕方がなく「眉山」を観ることにした。


眉山

家族愛をテーマにしたつまらない映画だという先入観を持って観ていたので、最初は、退屈でつまらないカメラワークをうんざりした気持ちで眺めていた。


見ているうちに松島菜々子の美しさが心に響いてきた。
彼女が傘を差して歩いているとき、道路に映った影までが美しいのだ。
彼女はチャン・ツィーのように、何もかもが美しいわけではないのだけれど、美しさを段々と感じてくる。


ストーリーのどこが胸に響いたのか、よくわからない。
クリーンヒットをもらったわけでもないのに、倒れてしまったボクサーのように、よくわからないうちにこの映画は僕の胸を打った。


気がつくと、ポタポタと水滴が垂れてきて、僕はそれが自分の涙だと気づくのに少し時間がかかった。


泣いていると気づいてからは、軽いジャブのような映像でも涙が溢れ出してきた。
涙が止まらなかった。


「ライフ・イズ・ビューティフル」を観ても全然、泣けなかったのに、まさか「眉山」でこんなに泣くとは思わなかった。


考えてみたら、生まれて初めて映画を観て泣いたのだ。


映画が終わった後、いろいろと考えた。
宮本信子が演じたつよい母。
でも、なんて不器用に、でも、なんて必死に、生きたのだろう。


脇を固める俳優、金子賢や夏八木勲も素晴らしく、徳島の阿波踊りも壮麗で力強かった。
これを見たい、踊りたいという徳島の人の気持ちも、だんだんと理解できるようになった。
人間の一人一人にいろいろな思いがあることをあらためて感じた。


夜はワインを飲んでシカ肉を食べて、さっき新幹線で帰ってきた。


新幹線のなかで、映画館で買ってきた眉山のシナリオを読み返しながら、なぜあんなに泣いたのか考えてみた。


結局、よくわからなかったけれど、ただ「俺は、今日はいい映画を観たんだなあ」という思いだけは残った。