昨年末に職場の忘年会の後、先輩たち(2人)に連れられて3人でスナックに飲みに行った。
仕事が忙しく、最近は飲み会に行くこともほとんどなくなってしまった。
何よりも2日酔いが恐ろしく、仕事ができなくなってしまうと困る。
昔は2日酔いだからと職場のソファーに寝ていても全然平気だったが、今の職場は緊張感が張り詰めているのでそんなことを考えることさえできない。
年を取るとそんなことにも心が小さくなってしまうのだろうか。
スナックにはカラオケ芸というのがある。
郷ひろみの曲やピンクレディの曲を振り付きで歌う人とかが一般的だろう。
外国人で多いのはテーブルに乗って歩き回ったり、踊り出したりする人。
昔、ケネディの子供向けの伝記を読んだときに(当然、子供の頃)、ケネディが初めて選挙で勝ったときに、叔父がテーブルに飛び乗ってタップダンスを踊ったというくだりがあって、昔から外国人は嬉しいときにはテーブルに乗るものだと思っていたけれど、初めて見たときは本当なんだと感動した。
日本人は怒ったときにちゃぶ台をひっくり返すんだよね。
「なぜ、日本人はテーブルに乗らずにちゃぶ台をひっくり返すのか」
たぶん日本のちゃぶ台は壊れやすいからだろうな、きっと。
それからたぶん天井が低いせいだ。
カラオケ芸では脱ぐ人もいるし、六本木心中を叫びながら歌う人も今まで見たことがあったけれど、一番気に入ったのは、名古屋で飲んだときに女の子がボニータイラーの「Holding out for a Hero」をカラオケでかけて、英語の字幕が出ているのに、麻倉未稀の「HERO」の日本語の歌詞で歌いきったときだ。
カバー曲だから当然できるのだろうけれど、カイリー・ミノーグの「愛が止まらない ~Turn It Into Love~」をカラオケでかけて、Winkの歌詞で歌う人とか見たことがないので、意外と難しいのかもしれない。
でも、今回はそれを上回る大技を見せてもらった。
スナックで僕がRCや浜省なんかを歌っていたら、普段から真面目な先輩が、松山千春の「大空と大地の中で」を入れてくれ、と店の女の子に頼んだ。
店に入ったときから、なぜか真剣な顔で仕事の話をぽつぽつと話すので、先輩が話しているときだけは僕も真剣に聞いていた。
曲が始まると先輩はおもむろに立ち上がって、周りのお客さんの拍手に応えながら歌い出したのだが、それは曲も歌詞も全然違う「長い夜」だった。
カラオケから流れる「大空と大地の中で」と全く関係なく、どこまでも真剣に「長い夜」を歌っている先輩を見ていたら笑えた。
先輩はそのまま歌いながら客席をまわってトイレに入り、そしてトイレから出てきた。
僕は笑いすぎて、腹が痛くなったほどだった。
翌日、古くからその先輩のことを知っている人に「彼は昔はすごい遊び人で、結婚したとき、相手は人間なのか?」と話題になったほどだと聞いた。
なるほどなあ、と思った。