金曜日の夜、自転車で家まで帰る途中で、岩盤浴の看板を見つけた。
一度は通り過ぎたのだけど、気になって再び戻った。
なかに入ってパンフレットをもらう。
通常なら2100円のセットが1000円で体験できるという。
それで、土曜日に予約して入りに行った。
時間は1時間だけだというので、「短いなあ」と思っていた。
最初に注意事項や利用の仕方を聞く。
そこの店では高濃度の酸素を吸入できる装置も付いるとのことだった。
着替えてなかに入る。
薄暗く蒸し暑いがもちろんサウナほどではない。
岩盤に横になると、5分ほどで汗が噴き出してくる。
1時間が短いと思ったのは間違いだった。
暑さと自分の汗に耐えきれなくなって、結局10分前には出てしまった。
入るときに渡されたミネラルウォーターを一気飲みする。
僕はもともと水好きで汗かきなのだ。
登山をするときどんなに重くても、僕はいつも必要以上に水を持って山にあがる。
大学2年の夏、僕は行くはずだった長期の登山に行かなかった。
そのときの登山は水場が少ないコースだったので、水が足りなくなって、随分苦労をしたらしい。
一緒に行くはずだったメンバーはその登山のあと「おまえが来なくて本当によかった。もし来ていたら、俺はおまえを殺していたかもしれない。」と僕に言った。
かなりきつい体験をしてきた仲なので、彼が本気で言っていることはわかった。
水がない登山は本当にきつく、そして僕が極限状態になればなるほどよく水を飲むことを彼はよく知っていた。
僕もそんな山行に行かなくて本当によかったと思った。
本当は岩盤浴でかいた汗は水で流してはいけないらしいのだけど、タオルで拭き取ったあともいつまでも汗が止まらないので、中尾山温泉まで車を飛ばした。
土曜日の昼間にはさすがに客も少なく、ほとんど貸し切りのような状態で風呂に浸かっていた。
露天風呂では、たくさんのセミの鳴き声が聞こえた。
空はどこまでも青く、日差しは強く、露天風呂に木々の濃い影を落としていた。
風だけはどこか秋を思わせる冷たい空気を含んでいた。
家に帰るとアイスクリームを食べて2時間くらい昼寝をした。
その後、車を運転してゴルフの打ちっ放しに行き、200球ほど打った。
集中力が持続しなくて、打てば打つほど下手になっていくようだったので、あきらめて家に帰った。
岩盤浴が思ったよりもずっと体力を奪うことに気がついた。
その日の夜は久しぶりにうんざりするくらい寝た。
朝起きて鏡を見ると、肌がきれいに輝いている。
「これが大量の汗をかいた効果なのか…。」
美肌効果なんかあんまり男の僕には意味がないけれど、あれほど大量の汗をかくのは確かに爽快だ。
ゴルフのせいかまだ疲れているし、筋肉も痛む。
でもまた体力が戻ったら、岩盤浴に行ってみようと思った。