過日、ダンスパーティ会場の更衣室でのこと、

「片目が突然、一時的に見えなくなって、病院へ行ったらコレステロールが299もあったのよ!」
という1人の女性の告白から、
コレステロールについての話題で俄然盛り上がってしまいました。

「250まではいいのよ。260になったら薬を飲まされるのよ!」
「コレステロールは悪玉と善玉のバランスが問題なのよ!」

皆さま、ほんとによくご存知。
まさに、一億総健康お宅の時代を感じさせますね。

でもってこの奥さま方、
金科玉条のように思っている肝心のコレステロールの正常値なるものが、
漂流してる事実をご存知なんでしょうか?

日本動脈硬化学会の定めたコレステロールの標準値は今のところ220~130咫dl。
10年ほど前に、上限が250咫dlから220咫dlに下げられたんですよね。
一方、人間ドック学会は上限240咫dlを採用。
260咫dl以上を治療開始の目安としています。
動脈硬化学会の一部学者からは標準値を20咫dl上げるべきだという主張もあるとか。

2、3年前のこと、某大手週刊誌が、
動脈硬化学会の設定した標準値の矛盾を突いた、大々的な特集を組んだことがあります。
主なネタ元は、『コレステロールは高いほうが長生きする』(浜崎智仁著)という著書。
この本の主張するところは、血清コレステロール値が260咫dlまでは決して総死亡率が高くなく、
コレステロールが240~260の人を治療するのは、一番死ににくい人を治療するという、
社会医学的に矛盾に満ちたことをしている……のだとか。

その後、このテの論争は沈黙。
依然として、コレステロールは恐いもの、という通念だけが健康お宅の脳裏に刻まれています。

コレステロールは恐い!?
確かに、異常に高すぎれば動脈硬化から、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めますよね。

でも、コレステロールは人体に必要な構成成分でもあるわけで、
不足すればいろんな病気の原因になりますし、脳出血のリスクが高まります。
また、ガンのリスクを高めると主張する医師もいます。

コレステロールの標準値を220にすると、
日本の中年女性のほとんどは引っかかってしまう、
つまり病院と製薬会社のお得意さまになってしまう!

という隠された事実に、
私なぞは、素人ながらも首を傾げてしまうのであります。

幸い、冒頭のご婦人たちの会話にもあるとおり、
多くの医師は260を治療の基準にしているようで、
この国の医師の良識を、まだまだ信じてよさそうですが。