おはようございます、本日は身近過ぎて言及すら忘れていた青春18きっぷについてです。三セク化等により例外規定が増えるのは利用者の観点からすれば好ましくありませんね。

重ねて申し上げますが今冬の改悪は誠に遺憾です。

青春18きっぷ(せいしゅんじゅうはちきっぷ)は、旅客鉄道会社全線(JR線)の普通列車・快速列車が5回または5人分利用可能な[1]、販売および使用期間限定の特別企画乗車券である。本項では前身の青春18のびのびきっぷについても述べる。

なお、本項で言う「普通列車」は、運賃のみで乗車できる(特急・急行料金など速達サービスに対する料金がかからないと言う意味であり、座席使用に対してかかる料金を除く)列車であって、快速列車(前述の列車に当てはまり、かつ一部駅を通過する列車のこと。特別快速、新快速等を含む)も含むものとする。

概要
日本国有鉄道(国鉄)旅客局が運賃増収策の一環として企画し、1982年(昭和57年)3月1日に「青春18のびのびきっぷ」として発売。1983年(昭和58年)春季発売分から現名称に改称した。

主に学生などの春季・夏季・冬季休暇期間を利用期間として発売され[2]、原則として特急(新幹線を含む)・急行を除く旅客鉄道会社全線の普通列車など、運賃のみで乗車できる列車に乗車することができる[3]。

2019年(令和元年)冬季以降の販売価格は、5回(人)分で12,050円[4](消費税率10%化にともなう改定)。第1回発売時は8,000円で、のち10,000円に変更。1986年(昭和61年)冬季に11,000円に値上げされた後、1989年(平成元年)4月1日に消費税が導入(3%)されて11,300円に値上げ、その後同税の税率引き上げによる値上げが1997年(平成9年)4月(5%)に行われて11,500円に値上げ、2014年(平成26年)4月(8%)に行われて11,850円に値上げ、そして2019年10月(10%)に値上げが行われて上記の現行価格(12,050円)となっている(なお、後述のように2007年(平成19年)春季はJR発足20周年・青春18きっぷとして8,000円で発売[5])。主として学生向けの商品として企画されたが、利用者の年齢制限はなく、小児運賃の設定もない。

JRホテルグループの予約センターに宿泊を申し込み、当日現地で青春18きっぷを提示すると、ホテル宿泊料金の割引等が受けられる[6]などの特典が一部に設けられている(関連商品参照)。

「青春18きっぷ」の名称の由来については、当時国鉄旅客局長だった須田寬により、青少年・学生をイメージした「青春」と、その象徴的な年齢で「末広がりの8」にも通じる「18」を組み合わせたと、後年に須田が説明している[7]。国鉄分割民営化後、JR各社を代表して東日本旅客鉄道(JR東日本)が1994年(平成6年)に商標登録(商標登録番号第3007644号)を行った。

利用規定

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発売期間・利用期間
利用期間は首都圏や西日本の学生がおおむね長期休暇(春休み・夏休み・冬休み)に入る期間で[2]、その開始約10日前から終了日の10日前まで発売される。

春季[8]
発売期間:2月20日 - 3月31日
利用期間:3月1日 - 4月10日
夏季[8]
発売期間:7月1日 - 8月31日
利用期間:7月20日 - 9月10日
冬季[8]
発売期間:12月1日 - 12月31日
利用期間:12月10日 - 1月10日
秋季には設定されていないが、類似したシステムをもつ秋の乗り放題パス(2012年[9]から[10]。2011年までは鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ)が発売されている。

払い戻しは、利用期間内で5回とも未使用の場合に限り取扱箇所で行える(220円の払戻し手数料がかかる[11])。ただし利用期間が終了した後は未使用でも払い戻しは受けられない。また、いかなる理由でも一度使用開始した回(日)の取消はできず、払い戻しおよび利用期間の延長もできない。利用期間が終了したきっぷは5回使用していなくても無効となり、次の利用期間にまたがって使用することはできない。

効力
1枚で、利用期間中の任意の日に5回まで利用できる[12]。5回分は一度に連続して使用しなくてもよく、利用期間内であれば別々の日に1回ずつ使うことができる[12]。1枚を複数人で同時に使うことも可能で[12]、その場合は同一日に人数分の回数を使用することになる。ただし複数人で使用する場合、全員が同一旅程を同時に移動する必要があり、入場時から出場時までは集団で行動することになる[3]。

自動改札機は利用できないため、改札通過の際は有人通路を利用する。

現行の様式となってからは、1枚の券面に5箇所ある乗車日記入欄への改札印の押印等による日付の記載により使用開始を示す方式を採用しており、各回とも最初に乗車する際に、有人駅の場合は有人改札の駅員が、無人駅においては乗車した列車の車掌(ワンマン運転の場合は、停車中に車掌業務を行う運転士)が乗車印と日付を記入する[12]。

1回分は乗車日当日限り有効で、乗車日内(0時から24時までの間)であれば何度でも乗降・途中下車ができる。日付をまたいで運転する列車については、0時を過ぎて最初に停車する駅まで有効(0時をまたいで停車している列車はその停車駅まで有効)である[13]。なおこれは「乗降可能な駅」のことであり、通過扱いとなる運転停車を行う駅はこれに該当しない[注 1]。ただし、東京および大阪近郊の電車特定区間(大都市近郊区間ではない)では0時を過ぎても、終電まで有効である[13]。

なお、乗車日の24時(翌日0時)以降、終電までに電車特定区間の駅と区間外の駅との間を乗車する場合は、電車特定区間の境界の駅と区間外の降車駅との間で有効な乗車券などが必要となる[注 2]。

利用できる路線・列車
旅客鉄道会社(JR旅客6社)が運営する全在来線(JR全線)における普通列車の普通車自由席。どの経路であっても、どの駅での乗降も可能。この条件であれば以下のような列車にも乗車可能。
列車名があっても、普通列車としての運行。
特急用車両であっても、普通列車としての運行(東海道線 (静岡地区)での373系など)。
JR線であれば私鉄車両を使用した列車(只見線の西若松駅 - 会津若松駅間、岩徳線の川西駅 - 岩国駅間など)。
普通車自由席以外を利用する場合
ただし、前述の列車の条件を満たす上で、以下のような有料座席(普通車自由席以外)には、別に追加で利用料金を払う(券を購入する)ことで利用(青春18きっぷとの併用)可能。
普通車指定席には、別に指定席券を購入すれば乗車できる。また、乗車整理券やライナー券が必要な列車(2023年時点でJR東海のホームライナーのみ)についても、それらを購入することで利用できる。
ただし、関西圏における新快速のAシート(指定席)は、e5489サービスでのチケットレス指定席券との併用はできない[14][15]。
普通列車のグリーン車自由席に限り、グリーン券を別に購入[注 3][16]することで利用できる(2004年冬季から)。グリーン車指定席は利用できない。
列車以外のもので利用できるもの
列車でないもののうち、以下のものに乗車可能である。
JR線の代行バス - 代行バスが運行されている場合、乗車券の発券については運行中のJR線と同等に取扱うため。
気仙沼線・大船渡線BRT、日田彦山線BRT[17]
徳島バスが運行する高速バス「室戸・生見・阿南 - 大阪線」の途中乗降可能区間のうち阿南 - 海部高校前間(阿南 - 浅川間が2022年春季利用期間途中の同年4月1日から、浅川 - 海部高校前間については2023年夏季から[18])。同区間での牟岐線との「並行モード連携モデル」導入によるJRの特別企画乗車券を含む有効な乗車券等でのバス利用が可能となるため[19]。
JR西日本宮島フェリーの宮島航路
かつて運行されていた国鉄・JRの鉄道連絡船(青春18きっぷ発売当初は青函連絡船・宇高連絡船・仁堀連絡船があった)も普通客室に限り乗船可能だった。
2023年10月1日より、宮島口からの乗船時は宮島訪問税の切符を別に購入する必要がある(宮島発は不要)[20]。
特急列車を利用できる特例
特例により普通乗車券のみで特急列車の普通車自由席に乗車できる区間の当該座席
区間や設定時期については当該記事を参照。なお、奥羽本線の新青森駅 - 青森駅間は当初青春18きっぷについてはこの特例が適用されなかったが、2012年夏季発売分より[21]利用可能となった。
なお、普通車自由席以外を利用する場合や、特例区間外発着で利用する場合[22]については全乗車区間の乗車券・特急券などが必要となる。
青春18きっぷ北海道新幹線オプション券
「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を別途購入し、「青春18きっぷ」と併用することで以下の列車をそれぞれ片道1回分利用できる[23]。ただし、双方の利用行程は、連続しており同日であることが必要。「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」は、2490円、有効期間1日。利用期間は「青春18きっぷ」と同一、発売期間は「青春18きっぷ」の発売期間及び利用期間の間。
北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅 - 木古内駅間の普通車立席(空席)。
道南いさりび鉄道線の木古内駅 - 五稜郭駅間の通過利用[24]。木古内駅と五稜郭駅において途中下車可能。
一部の第三セクター鉄道の普通列車に乗車できる特例
接続していたJR線が新幹線の開業により並行在来線として経営分離・第三セクター化されたことでJR在来線との接続がなくなったJR線について、その路線の起点の駅につながる一部の第三セクター鉄道区間の普通列車自由席を通過利用できる特例がある。あくまで「通過利用」であるため、いずれもJR線との接続駅以外の第三セクター鉄道区間内の駅では途中下車できない。途中下車した場合は、乗車した第三セクター鉄道全区間分の運賃を別途支払う必要がある。

なお利用規定には「JR線へ通過利用する場合」[注 4][注 5]と明記されており、特例区間のみ乗車して接続するJR線に乗車しない場合[注 6]や、特例区間外まで乗車する場合は乗車した第三セクター鉄道全区間分の運賃が必要となる[22]。

青い森鉄道線
八戸駅 - 野辺地駅 - 青森駅間を通過利用できる。ただし八戸、野辺地、青森の各駅で途中下車できる。

2010年12月4日に東北本線の青森駅 - 八戸駅間がJR東日本から青い森鉄道に経営分離された際、大湊線と八戸線は他のJR在来線との接続がなくなったため制定された。

あいの風とやま鉄道線
高岡駅 - 富山駅間を通過利用できる。ただし高岡、富山の両駅で途中下車できる[31]。また、ライナー券を別に購入すれば「あいの風ライナー」に乗車できる[22]。

2015年3月14日に北陸本線の倶利伽羅駅 - 市振駅間がJR西日本からあいの風とやま鉄道に経営分離された際、城端線と氷見線は高岡駅において相互に接続する以外にJR在来線との接続がなくなったため制定された[32]。

IRいしかわ鉄道線
金沢駅 - 津幡駅間を通過利用できる。ただし金沢、津幡の両駅で途中下車できる[33][22]。

2015年3月14日に、北陸本線の金沢駅 - 倶利伽羅駅間がJR西日本からIRいしかわ鉄道に経営分離された際、七尾線は他のJR在来線との接続がなくなったため制定された[32]。

今後の予定
2024年3月16日に北陸新幹線の金沢駅 - 敦賀駅間が開業し、北陸本線の同区間がIRいしかわ鉄道(金沢駅 - 大聖寺駅間)とハピラインふくい(大聖寺駅 - 敦賀駅間)に経営分離されることから、越美北線は他のJR在来線との接続がなくなる事となり、同日以降の扱いは以下の通りとなる[34]。

旧北陸本線の金沢駅 - 越前花堂駅間は青春18きっぷは利用不可となる。
越美北線を利用する場合、越前花堂駅 - 敦賀駅の区間に限り、通過利用が可能となる。このうち越前花堂、敦賀の両駅で途中下車が可能となる。
ハピラインふくいの福井駅方面からの利用に関しては、福井駅以東の乗車駅 - 越前花堂駅の運賃が別途必要となる(越前花堂から越美北線区間は青春18きっぷ適用可能)。
氷見線・城端線・七尾線を利用の場合、IRいしかわ鉄道の通過利用が可能な区間が津幡駅 - 倶利伽羅駅に扱いが変更され、津幡駅 - 金沢駅の利用は青春18きっぷは利用不可となる。これに伴い、IRいしかわ鉄道内の途中下車可能駅は津幡駅のみになる。また、あいの風とやま鉄道の通過利用が可能な区間が富山駅 - 倶利伽羅駅に変更される(ただし、両社境界駅となる倶利伽羅駅での途中下車は不可。富山駅・高岡駅の途中下車可能扱いは変更なし)。
IRいしかわ鉄道の金沢駅方面からの七尾線の利用については、森本駅以西の乗車駅 - 津幡駅の運賃が別途必要となる(津幡からJR西日本七尾線区間は青春18きっぷ適用可能)。
使用できない路線・列車
特別急行列車(新幹線を含む)・急行列車には、上記の特例区間を除いて一切乗車できない(乗車券としての効力をもたない)。つまり、青春18きっぷのみの場合であっても、特急券又は急行券と青春18きっぷとの組み合わせであっても、一切利用できない。利用する場合には、利用する区間の特急券又は急行券と乗車券が必要となる。

ただし本州と北海道を結ぶ海峡線では、2016年3月26日に北海道新幹線が開業したことによって海峡線(在来線)としての定期旅客列車が全廃されたため、「青春18きっぷ」との同時購入または所持者に対する場合に限り発売する「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を購入することで、前述のように北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅 - 木古内駅間で利用できる。
新幹線車両・設備を用いつつも在来線扱いとなっている博多南線および上越線の支線(越後湯沢駅 - ガーラ湯沢駅間)についても特例区間にはなっておらず、青春18きっぷは利用することができない。
発売開始以来、JR線以外の会社線(私鉄・公営鉄道・第三セクター等の路線)では原則として使用することができず、JR線と会社線とを直通運転する列車を利用する場合でも会社線内の乗車区間についてはその区間に有効な乗車券類が別に必要となる。なお、えちごトキめき鉄道および肥薩おれんじ鉄道では、有効な青春18きっぷを提示することを条件として発売する企画乗車券が設定されている(後述)。

JRの子会社・関連会社・出資会社が運営する各路線(東京モノレール、東京臨海高速鉄道、東海交通事業、嵯峨野観光鉄道、JR九州高速船)、およびJRバス各線も利用できない。

かつての国鉄バス、およびJR直営時代のJRバス(両者とも「自動車線」と呼称され、青春18きっぷの券面に除外路線として表記されていた)も利用できなかった。ただし、JR東日本直営の自動車線である気仙沼線・大船渡線BRTは上述の通り例外として利用可能である。
JR西日本宮島フェリーは2009年以降JR西日本とは別会社となっているが、上述の通り例外として利用可能である。
日田彦山線BRTはJR九州バスの運営となっているが、上述の通り例外として利用可能である。

歴史
前述の通り、青春18きっぷは国鉄の増収策の一環として企画された。当時、国鉄内部では利用者層を青少年(学生)・中年(社会人・主婦)・老年と分けた場合、中年男性は出張などで長距離の利用が多いものの、それ以外の年齢層では比較的短距離の利用が多いと分析していた。

そこで、それらの層にも長距離の利用を勧めるためのトクトクきっぷを発売することとなった。老年向けには「フルムーン夫婦グリーンパス」を発売していた(中年女性向けには1983年から「ナイスミディパス」を発売)。

これらの成功を受けて、1982年から青春18きっぷの前身にあたる青春18のびのびきっぷの発売が開始された。「青春18」とある通り、青少年(学生)を主な発売対象としたきっぷであったが、開始当時から年齢制限はなかった。当時国鉄には、長距離区間を運転する普通列車が数多く存在し、民営化後のような合理化が進展しておらず、学校の長期休暇期間中、主要路線の普通列車はしばしば各地で長大編成の輸送力を持て余していた。そのような既存列車の輸送力を活用しながら、新たな需要を喚起することで、増収が狙われたのである。

発売当初は1日券3枚と2日券1枚(共に青い地紋)のセットで、価格は8,000円であった。また青少年の利用を意識して、バッグなどに貼付できるシール状の「青春18ワッペン」が付属していた。利用期間は3月1日から5月31日までで、ゴールデンウィークを含む(ただし、1982年当時5月4日は国民の休日・みどりの日のいずれでもないため飛石連休)。

夏季用は1日券4枚と2日券1枚のセットで10,000円となった。利用期間は7月20日から9月20日まで。冬季の設定なし。

1983年春季、青春18のびのびきっぷは青春18きっぷに改称された。利用期間は2月20日から4月10日までとなった。

1984年夏季用から1日券5枚となった。使用期間が1日短縮され、価格は10,000円のままであった。また、1984年から冬季用が発売された。冬季の利用期間は12月10日から翌年1月20日まで(2009年冬季用まで続く)。

1985年夏季用の利用期間は7月20日から9月10日までとなった(2015年夏季用継続中)。

1986年冬季に価格が11,000円に改定され、1989年夏季より消費税が導入されたことを受けて11,300円に改定された。1990年からマルス端末による発券が可能となった。

1993年春季用の利用期間は3月1日から4月10日までとなった(2015年春季用継続中)。

1996年春季より、現行のように、5回(人)分を1枚の券片にまとめた様式となった[35]。複数人数で同時に使用する場合、前述したように、集合・解散が煩雑になり、全員が同じ行程で移動しなければならないという条件付きになった。種村直樹は、以前より旅行会社が上乗せして1枚ずつバラ売りしていたと自著の「種村直樹の新汽車旅相談室 トクトクきっぷ篇」でのべている。

JRの旅客営業規則において、旅行開始後の乗車券を他人から譲り受けて使用すると乗車券は無効(不正乗車)になることが定められているが、青春18きっぷについては、5枚つづりであったことに鑑み、5枚のきっぷをJRの都合によって1枚にまとめただけで各回の効力は独立しており、1回目のみを使用しても2回目以降は旅行開始前であると、一部書籍では説明されている[36]。しかし、1回目の旅行開始できっぷ全体について旅行開始後となり、1回目の使用者とは別の人が譲り受けて2回目以降を使用するのは不正乗車とする意見もある[37]。「複数人数の場合は同一行程」の条件の解釈に差異があると言えるが、1枚になった理由についてJRから公式の発表はない。

1997年夏季から消費税の税率変更に伴い、価格が11,500円に改定された。

2004年冬季から、普通・快速列車のグリーン車自由席に限り、グリーン券を別に購入することで利用できるようになった。同年10月のダイヤ改正に伴って実施されたJR東日本におけるグリーン車の制度変更によるものである。

2007年にはJR各社が発足20周年を迎えたのを記念し、春季のみJR発足20周年・青春18きっぷが発売開始時の価格と同じ8,000円(乗車できる列車・回数などは通常のものと同じ)で発売された。

当乗車券の発売・利用期間は1993年から2009年まで固定されていたが、2010年冬季から発売期間が12月1日 - 31日、利用期間が12月10日 - 翌年1月10日と10日間短縮され、また東北本線の八戸駅 - 青森駅間の青い森鉄道への移管を受けて、青い森鉄道線に青春18きっぷで乗車できる特例が設けられた。

2014年夏季から消費税の税率変更に伴い、価格が11,850円に改定された。

2019年冬季から消費税の税率変更に伴い、価格が12,050円に改定された。

夜間の長距離移動
青春18きっぷは1日単位(24時間)で有効の形式を取っているため[38]、夜間の長距離移動については、当きっぷ発売以前から運行されていた夜行普通列車に加え、1980年代後半以降に全国各地で「ムーンライト」など、当きっぷでも利用可能な夜行列車が運行されてきた。しかし、2000年10月に紀勢本線で廃止されたのを最後に、夜行普通列車は消滅した。2005年以降は「ムーンライト」についても次第に運行されなくなる列車が増え、2009年春のダイヤ改正で「ムーンライトえちご」および「ムーンライトながら」が臨時化されたことにより、定期運行が無くなった。両列車は臨時列車として運行が続けられたが「ムーンライトえちご」は2014年春季を最後に設定されておらず、「ムーンライトながら」も2020年春期を最後に運行されないまま2021年に運行終了が発表された。

発売枚数
2000年代における販売枚数は、JR東日本によると、前半から中盤は毎年25万枚から30万枚で、2007年は35万枚以上の販売実績があった[39]。朝日新聞コラムの引用によると、JR全体では2013年度67万枚となっている。その後も発売枚数は伸びており、JR全体では2015年度は71万枚で、70万枚を超えたのは2009年度以来となった[40]。

かつて、一部駅の窓口では、赤い地紋の用紙に印刷された常備券での販売が行われ、鉄道ファンの間でナマ券・赤券と呼ばれた。常備券とマルス端末発行の券で効力は同等であるが、貴重あるいは風情があるとしてファンの間で人気があり、遠方から常備券を扱う駅まで購入しに行く者や、現金書留を用いて購入する者もいた。

本券はみどりの窓口が設置されていない駅で発売された事例が多いが、高松駅(JR四国)など例外もあった。

最後まで発売していたJR西日本・JR四国が2016年冬季をもって取り扱いを終了し、廃止された[41]。

発売箇所
JR各社のみどりの窓口や一部のきっぷうりば、旅行会社などで発売されている[2]。また、JR各社の指定席券売機(一部の設置駅を除く)でも発売されている。

関連商品
エリア限定版の類似の企画乗車券
JR各社が自社の管轄内限定で在来線の普通列車普通車自由席(種類によっては特急普通車自由席も)が乗り放題となる類似のフリーきっぷを発売している。

北海道&東日本パス - JR北海道とJR東日本が共同で発売しており、両社と青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道・北越急行の各鉄道線の普通列車普通車自由席とJR東日本BRTが連続する7日間乗り放題となる企画乗車券。別料金による列車の座席利用や特急列車の特例区間のルールは青春18きっぷと同じであったり発売・利用期間は青春18きっぷと類似するが、急行列車は急行券を別途購入すると普通車自由席に乗車でき、座席指定券・グリーン券・寝台券の追加でそれぞれの設備を利用できるほか[注 7]、旧東北本線の第三セクター路線内も自由に乗降可能となり、また北海道新幹線の新青森駅 - 新函館北斗駅間の普通車立席を特定特急券の別途購入で利用できる。一方で道南いさりび鉄道線は一切利用できない。この他、自動改札が利用できる点、小児向け価格が設定されている点、利用日数や利用期間が連続しなければならない点などが異なる。
北海道&東日本パス北海道線特急オプション券 - 上記と別に購入し、併用することで1日に限り北海道新幹線の普通車立席とJR北海道の特急自由席が乗り放題となっていた。2023年度に発売終了。
北海道フリーパス - JR北海道が発売しており、同社の全在来線の普通・急行・特急列車の普通車自由席とジェイ・アール北海道バス一般路線バス全線が連続する7日間乗り放題になる。また、種別を問わず、普通車指定席は最大6回まで、7回目以降は別途指定席料金で利用でき、特急グリーン車はグリーン料金と特急料金の別途支払いにより利用できる。一方で道南いさりび鉄道線と北海道新幹線は一切利用できない。発売・利用期間は通年だが一部利用できない期間がある。
休日おでかけパス - JR東日本が発売しており、同社の東京都内全線と、隣接6県(神奈川県・埼玉県・千葉県・栃木県・茨城県・山梨県)の一部路線が、土休日、大型連休(4月29日 - 5月5日)、夏休み期間(7月20日 - 8月31日)、年末年始(12月29日 - 1月3日)において普通列車普通車に1日乗り放題となる企画乗車券。特急(東北・上越新幹線含む)・急行列車は特急券や急行券の別途購入により、指定席・グリーン車は、座席指定券・グリーン券の別途購入により利用できる。
JR東海が、静岡地区・名古屋地区の同社のそれぞれの在来線において、土休日および年末年始(12月30日 - 1月3日)に普通列車普通車自由席に1日乗り放題となる企画乗車券を地区別に発売している。路線は企画乗車券別に以下の通り。
休日乗り放題きっぷ - 東海道線(熱海駅 - 豊橋駅)と身延線・御殿場線の全線
青空フリーパス - 東海道線(二川駅 - 豊橋駅 - 米原駅)、飯田線(豊橋駅 - 飯田駅)、関西本線(名古屋駅 - 亀山駅)、紀勢本線(亀山駅 - 紀伊長島駅)、中央本線(名古屋駅 - 木曽平沢駅)、高山本線(岐阜駅 - 下呂駅)と美濃赤坂線・武豊線・伊勢鉄道伊勢線・名松線・参宮線・太多線の全線
四国フリーきっぷ - JR四国が発売しており、同社全線と土佐くろしお鉄道窪川~若井間の普通・特急列車の自由席に使用開始日からの連続する3日間乗り放題となる。徳島バスの一部区間の特例は青春18きっぷと同様。発売・利用期間は通年。
青春18きっぷ利用者向けの企画乗車券
青春18きっぷ発売時期にあわせて、以下の事業者では企画乗車券の発売や割引サービスなどを実施している。

おれんじ18フリーきっぷ(肥薩おれんじ鉄道)[42] - 青春18きっぷを呈示すると、2,100円(通常の「おれんじ1日フリー切符」は2,800円)で全線の乗降が自由となる乗車券を発売している。
トキ鉄18きっぷ(えちごトキめき鉄道)[43] - 大人1000円。利用可能期間は18きっぷ利用可能期間と同じで発売当日限り有効。妙高はねうまラインと日本海ひすいラインの普通・快速列車に乗車可能。別途特急券を購入すれば特急列車に乗車可能。
上記のほか、ジェイアール四国バスが運行する高速バスなんごくエクスプレスでは青春18きっぷの呈示により1回乗車あたり1000円でのバス利用が可能。なお割引の適用は「1回目の利用開始後の当日から5回目の利用日、5回利用していなければ購入期の最終利用可能日」の間で、この条件を満たせば当日の改札印がなくても利用できる[44]。

過去には北近畿タンゴ鉄道が、2007年春から2009年1月までの間、青春18きっぷを呈示すると全線の乗降が自由となる「KTR青春フリーきっぷ」を500円で発売していた。また関釜フェリー[45]では、青春18きっぷを呈示すると割引となる。

パロディ商品
青春28きっぷ(いすみ鉄道)[46][47] - いすみ鉄道全線の列車(急行・準急を含む)を1人で2回もしくは2人で1回利用可能な乗車券[47]。2017年3月19日より発売された。名称は同社のキハ28形にちなむもので、デザインは先述した常備券の青春18きっぷを彷彿とさせるものになっている。
どっちノリノリいせてつきっぷ(伊勢鉄道)[48][49] - 2021年3月中の全ての土・日曜日に伊勢鉄道全線で、普通列車・快速列車に自由に乗り降りできる。大人用は1枚1000円で1000枚、小学生用は1枚500円で300枚限定。発売期間は2021年3月1日から同年3月28日までで、無くなり次第終了であった。

書籍など
青春18きっぷを活用する方法などを記した書籍は多数出版されている。多くはルールの解説や便利な列車の紹介、モデルコースの案内などで構成されている[39]。

ただ、中には下記の「時刻表の達人」さんのような思想の持ち主もいらっしゃいます。参考までに掲載させていただきます。
https://jikokuhyo.train-times.net/column/column2/seishun2021

青春18きっぷとは
青春18きっぷは、JRが運営する路線のうち普通列車(快速・新快速含む)が乗り放題となるきっぷです。5日・回分利用でき、2021年現在12,050円(1日1人当たり2,410円)で利用できます。発売・利用期間は春夏冬の各1か月間程度に限定しています。

早朝に東京駅を出れば1回分、つまりほぼ1日で福岡県北九州市の小倉駅や愛媛県の松山駅まで行くことができます。本来の普通運賃なら東京~小倉間は普通列車でも13,460円、東京~松山間は12,470円かかることから、青春18きっぷ1回分2,410円を使用すれば1万円以上旅費を節約することができます。

また乗り放題のきっぷのため往復利用も可能で、東京~大阪間往復17,820円や東京~名古屋間往復12,760円も日帰りで行えば青春18きっぷ1回分2,410円で済みますし、1泊2日でも4,820円で旅行可能なのです。

ただ、この青春18きっぷは様々な問題を抱えています。それを見ていきましょう。

問題点1 そもそも青春18きっぷの価格が安すぎる

まずそもそも青春18きっぷは安すぎます。
先述したように普段なら1万円以上かかるところをたった2,410円で行けてしまいます。
青春18きっぷは1982年の発売開始から1986年までの5年間は発行価格を値上げしていました。JR北海道やJR四国は運賃改定を2回行っていますから、同じように値上げばいいだけの話です。はっきり言って普通乗車券で1日当たり1万円以上の区間を乗れるわけですから、青春18きっぷ1回分が2倍の4,820円になったところで使う人は使います。

また研究によれば人はお金をより多く払った方が幸せになれるので普通列車での旅が好きならば正規運賃を払って行くべきなのです。

普通列車の旅行で旅情が~という人たちは正規の普通乗車券を購入すればいい、ただそれだけのことです。フリーきっぷがないと普通列車での旅行をしないという人たちは安い旅行を求めるだけの普通列車旅行にわかと言わざるを得ないでしょう。好きだったら人は課金しますから。

とはいえ高校生や大学生がそこまでお金を持っているとは限りませんし、それで旅行する自由を奪ってはさすがに可哀想です。そのため青春18きっぷを現在価格のまま発売し続けるのであれば大手携帯キャリアの学割のように25歳以下のみの発売など年齢制限を設けるべきなのです。

この安値によりJR各社で隣県まで使える1日乗車券類が軒並み2,600円~3,000円程度で抑えられて発売せざるを得なくなっています。もし青春18きっぷを2倍に値上げすればJR各社販売の1日乗車券類を軒並み4,000円程度に値上げすることが可能になり、各社増収できるのです。

またこの安値のせいで中距離高速バスも安値を強いられているのです。高速バスは人件費が安すぎて事故にまで発展したため国土交通省により最低運賃を設けていますが、抜け穴をかいくぐって国土交通省の規制より事実上安い運賃で運んでいるのです。安値を追求しすぎてまた事故を起こすようでは取り返しがつきません。はっきり言って青春18きっぷの安値はいい迷惑です。青春18きっぷは一刻も早く値上げすべきです。

問題点2 JR四国・JR北海道の赤字補てんをする余裕がなくなった
青春18きっぷは1982年にJRの前身である日本国有鉄道が発売したことにさかのぼりますが、1987年の国鉄分割民営化後も発売を続けています。その目的の1つは収益をJR四国やJR九州、JR北海道など旅客収入だけでは赤字を賄いきれない3社への補てん目的とする説があります。

まあ2019年度まではJR東日本・JR東海・JR西日本の3社は国鉄分割民営化による設立以来32年連続黒字だったので、たとえ青春18きっぷを発売して涙金しか入ってこなかったとしても良かったわけです。

しかし2020年から旅客需要が大幅に落ち込んだことから3社とも赤字に転落、JR東海こそ2020年10月~12月の3か月間単体はなんとか黒字になりましたがJR東日本・JR西日本は当分の間黒字化する見通しが立っていないためみどりの窓口などのサービスを大幅縮小するに至っているほか、JR西日本は普通運賃の値上げも検討し始めているのです。人的サービスの縮小だけならまだしも青春18きっぷのような観光特化きっぷのせいで日頃の生活に使う列車の運賃が値上げすればたまったものではありません。

まあ青春18きっぷが赤字補てんをしているにもかかわらずJR北海道は2019年10月1日に運賃値上げを、JR四国も2023年5月20日に値上げをしています。この運賃値上げが青春18きっぷの補てんそのものが足りないから発売すべきだという人もいるでしょうが、そうであれば前節で述べたように青春18きっぷを値上げして収入を増やすべきなのです。値上げしたらJR四国・JR北海道を含め全国のJRで発売している2,600円~3,000円程度の1日乗車券類も軒並み値上げすることができ増収が見込めることから、普通運賃の値上げを抑えることができるかもしれません。青春18きっぷの値上げは非常に効果的なのです。

問題点3 青春18きっぷを使えば使うほど貧乏になりやすい
先述したように、青春18きっぷは普通列車(快速・新快速含む)でしか利用できません。このためより早く到達することのできる新幹線や特急列車は一切使えません。東京~新大阪間は東海道新幹線を使えば2時間30分で到達できるところ、青春18きっぷを使うと8時間30分もかかりますが、青春18きっぷの安さゆえに6時間余計にかけてでも新幹線を使わずに移動する人が多数いるわけです。

この6時間にいったいどれだけ働いて稼ぐことができるでしょうか?またその時は働けないとしてもその6時間分休めば次の仕事日にどれだけ効率よく仕事ができ、正社員であればどれだけ昇進に近づけることができるでしょうか。昇給や昇進して手取りが月1万でも増えれば毎年12万、いやボーナスも入れればそれ以上に増えるかもしれません。3万円あれば東京~新大阪間を東海道新幹線で往復することは可能ですし春夏冬に1往復ずつしても9万円で足ります。

つまり青春18きっぷを使って移動時間を余計にかけている暇があるなら、その分を休息に使って昇給や昇進したほうがトータル収支で手元にお金が残りやすいのです。長い目で見たときに青春18きっぷを使った方がお金を失いやすいのです。つまり青春18きっぷを使えば使うほどより貧乏になっていくのです。貧乏暇なしとはこのことだ。

これこそ時は金なり。普通列車でチンタラ行くより新幹線で飛ばした方が結果的に収入は増えます。

もっとも金銭が多いことだけが幸せではありませんので、全駅下車をしたいなど10年に1度しか達成者が出ないような願望を青春18きっぷで叶えたいというのであればまだわかります。でもそれであればクラウドファンディングでお金を集めてやればいいではありませんか。それ以外の特に普通列車が好きというわけではなく安さだけで飛びついているそのほか大勢はそもそも青春18きっぷがなくたって実は困らない人たちなのです。

ただ、青春18きっぷが安すぎるせいで目先の旅費カットだけを気にして将来の増収を考えられない先見の明がない人に何を言い聞かしても聴きやしません。このような人たちを金銭的により豊かにするには青春18きっぷに年齢制限を設け、いい年した大人に買わせなくするほか手立てはないのです。青春18きっぷの値上げ・年齢制限は日本社会全体を良くする可能性が極めて高いのです。そんなリスクまで背負っているにもかかわらず放置する理由がわかりません。

このほかお盆や年末年始の新幹線の混雑を緩和する目的もあるという人もいます。確かに2005年頃までは東海道新幹線を中心にそれも正しかったのですが、15年以上たった2021年現在では「のぞみ」の本数は多客期は毎時8本から毎時12本に1.5倍に増えており、もはや「のぞみ」「ひかり」「こだま」の中で最速達の「のぞみ」が一番空いているほどですし、自由席の立席利用客が減って座りきれるようになってきていることから2023年12月から多客期の「のぞみ」の全車指定席化が始まりました。もし旅客需要が完全に回復しても在来線に回ってもらうほど新幹線が混雑することはもうないのです。

余談ですが、大学生になってから運転免許を取りたい場合は合宿免許より通学をお勧めします。1日2~3時限程度しか運転教習ができないため、合宿免許ではヒマ持て余すだけになりますが、通いなら教習の前後ですぐアルバイトを入れることができ免許取得費用をかなり回収できますから。

私は普通列車での旅行をするなとは言ってません。やるなら普通乗車券を買って正規の運賃を支払えと言っています。フリーきっぷがないと普通列車の旅行を楽しめないというのであればそれは安い旅行が好きなだけであって普通列車の旅行が好きではないのでしょう。本当に普通列車の旅行が好きなら正規運賃を払ってでもやりますから。

(2023.6.11 追記)なおJR旅客各社では安すぎる訪日外国人向け観光乗車券ジャパン・レール・パスを2023年10月1日に6割にも上る大幅な値上げを図るほか、JR西日本では青春18きっぷの将来的な廃止を見据え、2023年よりJR西日本管内乗り放題の西日本どこまで4DAYSを発売しました。JR旅客各社は各種お得なきっぷの値上げや青春18きっぷを縮小することに前向きです。

結び
安すぎる青春18きっぷの社会的解決策は以下の通りです。

①現在価格12,050円を維持するなら、25歳以下の発売・利用に制限する
②2倍程度に値上げをし発売額を25,000円程度とする
③青春18きっぷを廃止する

青春18きっぷは格安移動ができるきっぷであることに間違いはありません。それゆえ青春18きっぷには多くの問題点があり、社会経済上良くないですし安全をも脅かし得るのです。今すぐに値上げや25歳以下のみの利用とするなど年齢制限を設けて縮小すべきですし、ゆくゆくは廃止すべきです。