11月10日(月)、この日、上野の東京都美術館で始まった第51回現代童画展に行ってきました。(会期 11月10日(月)~16日(日))

 

私が初めて現代童画展に行ったのは、2016年11月に開催された第42回現代童画展で、それから毎年通っていますので、今回は10回目になります。

その度ごとに、ブログに記事を上げていますが、第42回の記事を振り返ってみると、池田ヒロミさんが「溢れる思い」という作品で現代童画展大賞を受賞され、また、戸井田しづこさんが「羽化前夜Ⅱ」で東京都知事賞を受賞されていました。

他にも、小澤清人会長、糸井邦夫副会長、鳥垣英子さん、丁子紅子さん、コムロレイコさん、さえサエコさん、そめやじゅんさん、小山ゆうこさん、小田沙馥枝さんの作品を取り上げていました。

 

その後、回を重ねるたびに、新しい作家の方々に出会うとともに、お気に入りの作家の作品の魅力や成長を楽しませていただきました。今回も、これから次の方々の作品を紹介したいと思っていますが、その数は36人となり人数も増えてしまった結果、駆け足の紹介になることをはじめにお詫びしたいと思います。

 

丁子紅子さん、戸井田しづこさん、有賀忍さん、佐藤美絵さん、鳥垣英子さん、田中アユミさん、天野利恵さん、コムロレイコさん、さえサエコさん、伊藤夏海さん、sio. さん、川井眞理子さん、小澤清人さん、糸井邦夫さん、中村景児さん、多田すみえさん、石澤晶子さん、岡田富士子さん、川部律子さん、大作敏子さん、至剛さん、荒井克子さん、高村泰子さん、宮沢寛之さん、たかむらゆきさん、松本友加里さん、みのしまかおるさん、きつないえりこさん、香椎貴月さん、松江利恵さん、佐藤晴美さん、宮澤美保子さん、清水萌々夏さん、清水萌々夏さん、冨樫尚美さん、福島学さん。

 

「蒼月の呼応。」丁子紅子 委員 埼玉 80P 日本画

透明感のあるクールな女性、神秘的な天体や花を描き、大活躍されている丁子紅子さんの作品です。

今回は、「蒼月」と巫女を思わせる神的な女性が、互いに影響を与えるかのように対峙している様子が描かれています。

神秘的で、張りつめた空気感、さらには生命力を強く感じさせる美しい作品です。

 

左「甘い夢「幽」」右「甘い夢「玄」」戸井田しづこ 委員 埼玉県 各50F アルキド

「甘い夢「幽」」と「甘い夢「玄」」の2つの作品。

「幽玄」は、「幽」はかすかなもの、「玄」は奥深いものという漢字を重ね、奥深くはかり知れない美しさや趣を表すといいます。

戸井田しづこさんの作品は、自分・心と向き合い、かすかに浮かびある女性像の本質や美を描き出している印象がありますが、正に、今回の作品は、戸井田さんの絵に取り組む基本姿勢を意識し、表現化した作品に感じています。

消え入りそうな淡い色彩でありながら、心の深淵化から見出した女性の表情が甘美で、熟成した美しさを感じます。

 

左「こんなこ いるかな 全員主役(1)」右「こんなこ いるかな 全員主役(2)」<「こんなこ いるかな」誕生40周年記念>  有賀忍 常任委員 東京都 各91×130 アクリル・版画

今回の有賀忍先生の作品は、40年前、子育て中の我が家で人気だった「こんなこ いるかな」の作品でした。

会場で有賀先生にお目にかかり、現代童画展の作品にはふさわしいとは言えないかもしれないが、こんなこの誕生40周年を記念する作品を出品されたというお話を伺いました。

子供の個性を尊重し、どんな子でも主役というヒューマニズム溢れた「こんなこ いるかな」は、今でも多くの方に人気で受け入れられており、今回の作品はファンの一人として大歓迎です。

 

余談ですが、会場で販売されているこの作品の写真を購入し、小さな額に入れ、家に飾ったところ、家族も大喜びでした。

 

「天地迷走」佐藤美絵 委員 神奈川県 130.8×212 キリエ+もしくは和紙 

作品に描かれた龍は、隠れるように地上近くに潜み、白鷺も地上で羽を休めています。

それとは正反対に、烏がバサバサと羽ばたいています。

そんな天地のはざまで、籠を担いだ侍たちの駆け足の様子や、獅子舞に挟まれた賑やかなお祭りの踊りの列が描かれています。

「天地迷走」としたこの作品は、こんな様子から、何が天地がざわついていることを感じます。

とはいえ、気品ある植物や花、そして、ユーモアあふれる人々の行列を見ると、佐藤美絵さんらしい、謎を問いかけながら、楽しく高尚な作品に仕上がっていると思います。

 

「さんぽみち」鳥垣英子 常任委員 大阪府 100F 日本画 

 

愛犬と毎日散歩する道、そこには木が茂り、秋には落ち葉が落ちる。道端には花が咲き、鳥たちが飛んでいる。

そんな和やかな風景が、鳥垣英子さんの作品として再構築されると、この青・藍を基調とした独自の色調の作品となったと感じます。

鳥垣さんの作品によく登場する、鳥と花が一体化した「花鳥」が二羽飛んでおり、また、犬の姿も可愛らしい穏やかな作品ではないでしょうか。

 

「湖畔の洋服店」田中アユミ 委員 東京都 50F 油彩 

私が子供の頃、母が使っていたような足踏み式のミシン。壁には、ぜんまい式の振り子時計が掛けられている。

河畔の洋服店には、まだ、私の記憶に残っている昭和時代の風景が描かれています。

田中アユミさんの作品には、大正・昭和のノスタルジーの世界に飾らない清楚な女性が登場する、懐かしさが溢れる美しい世界が描き出されています。

 

左「青藍の夜を駆ける」右「甘雨の散歩道」天野利恵 委員 群馬県 各50F アクリル 

青藍の夜、獲物を探して駆ける狼の群れ。その中の一匹の狼が遠吠えをする。

精悍な狼を描くのを得意とする天野利恵さんらしい作品が一点。

甘雨のなか、羊たちがゆったりと群れ、寛いでいる。その中の一匹、いや数匹がこちらの方向を見つめている。

狼だけではなく、様々な動物を生き生きと描くこともまた得意な天野さん。

この2点が並べられ、天野利恵さんの描く動物の世界が幻想的に深まる印象がします。

 

「紅月と狼」コムロレイコ 会員 千葉県 100P ミクストメディア 

黒い星空、そこに輝く、丸く「紅い月」。

その紅月に、三様の表情で対峙する、「紅い輪郭線」が印象的な3匹の狼たち。

加えて、「紅い額縁」。

強調された「紅」の力強さ、大胆な構図がおもしろく印象的な、誰が見てもコムロレイコさんの作品と分かる作品です。

 

「ホーンテッドハウス同好会」さえサエコ 会員 神奈川県 45.5×106 油彩 

無表情の3人の少年少女、少し不気味な2匹の猫。そして白いお化けが2人。

そんな7人が並んだ、ホーンテッドハウス同好会。

そんな並び方が、少し怖くて面白い、さえサエコさんの作品です。

登場人物が、この7人と思いきや、空には小さな白いお化けらしいものが飛び、さらに遠くに見える建物の入口を見てみると、その左側に白い影(謎のお化けでしょうか?)を見つけてしまいました。

 

「小さな未来」伊藤夏海 会員 東京都 50F 油彩 

沢山枝分かれした大木に上り、腰掛ける女の子。

緑が茂る大木や女の子の顔には、木洩れ日が差し、明るさを増しています。

小さな女の子が木の上で見る世界、そして未来は、希望に溢れていることが容易に想像ができます。

伊藤夏海さんが描く作品には、子供への愛情と自然への慈しみが感じられます。

 

「プンダリカ」sio. 会友 神奈川県 30F アルキド 会員推挙

以前、横浜にある画廊art Truthで、sio.さんは、エキゾチックな人物の作品を毎日一点仕上げているという話を聞いたことがありました。ご本人から聞いた話ではないので、その真偽は定かではありませんが、sio.さんの作品に登場する人物の多様性からすると、私はその話を信じています。

この作品に登場する人物も、sio.さんらしい多国籍な印象がしますし、この作品のテーマ「プンダリカ」(仏教に登場する白い蓮華の話らしい)に相応しい人物と思えてきます。

 

右「たからもの」左「お家にかえろう」川井眞理子 会友 神奈川県 各30M 顔彩

 

左の作品。夕方の海辺、浜に反射する黄色い月の影を見つめる女の子。

その横には、女の子が集めた時計や看板など、宝物を載せた小さなリヤカーがあります。

右の作品。浜に映った黄色い月もリヤカーに乗せて、家路につく女の子。

カニたちもその後に続いています。

幼い時の夢と思い出を、今も心に持つ、川井眞理子さんの描いた物語に心が温まる思いがします。

 

右「赤い実」20S、中央「赤頭巾」50P、左「白鬼」20S 油彩 小澤清人 常任委員 埼玉県


小澤清人会長の定番。魅力の赤頭巾、ドールの作品です。

 

「仲良くしようよ」糸井邦夫 常任委員 埼玉県 120F アクリル


怖ろしげな大きな怪魚が、白い鳥を襲おうとしていると思いきや、「仲良くしようよ」と声をかけているという作品です。

大胆な構図、色使いの糸井邦夫さんの世界です。

 

「覚醒」中村景児 名誉委員 神奈川県 105×74 アクリル・エアーブラシ

子供の頃の冒険心を持ち続け、表現する中村景児さんの作品です。

 

「新しい朝」80M ミクストメディア 多田すみえ 常任委員 神奈川県

女性に抱かれた仔猫を羨ましそうに見上げる猫たち。

人間的な表情をする猫が楽しい多田すみえさんの作品です。

 

「猫の部屋2025100F 油彩 石澤晶子 委員 東京都

可愛らしい猫たちが、遊び寛ぐ、2025年の石澤晶子さんの作品です。

 

左「猫と金魚(真珠のリボン)」中央「猫と金魚(青い鳥)」右「猫と金魚(赤い実)」各50F アクリル 

岡田富士子 会員 千葉県 文部科学大臣賞

毛並みが長い猫、尾びれが長く広がる金魚、薔薇の花々を写実的に優雅に描いた3点の見事な作品です。

文部科学大臣賞に相応しい岡田富士子さんの作品です。

 

左「道化師の夢Ⅰ」中央「道化師の夢Ⅱ」右「道化師の夢Ⅲ」各80M 油彩 川部律子 委員 東京都 現代童画大賞

今年の現代童画大賞は、道化師を題材とした絵画と覗き箱の川部律子さんの作品でした。

 

「浮遊する世界」大作俊子 常任委員 東京都 100F 油彩・アクリル 

美しい青い空がひろがる空間に、兎が住み、蝶が舞っています。

幻想的な大作俊子の世界です。

 

「雲に吠ゆ」至剛 委員 和歌山県 151×151 日本画 

至剛さんならではの、霊獣が登場する幽玄の世界です。その描写にはいつも驚かされます。

 

「別府、紙屋温泉に入るパグ」荒井克子 委員 東京都 30F 日本画 

銭湯でパグが寛ぐおなじみの荒井克子さんの作品です。今回は立体の作品は見当たりませんでした。

 

「お花の公園」高村泰子 委員 栃木県 50S ソーイング画 

花が溢れ、明るく、楽しそうな公園の風景です。ソーイングという手法であるからこそ、こうした心踊る作品になると感じました。

 

「十二時間TRIP」宮沢寛之 委員 東京都 100S 油彩 

多くのフラミンゴと鷺が登場し、微妙な表情を醸し出し、空間が水中とも思えるように魚が遊泳する不思議な空間。

心象風景とも思える宮沢寛之さんの世界です。

 

左「結び」右「繋ぐ」たかむらゆき 会員 栃木県 各40F アクリル

 

森と、森と一体化したような二羽の鳥の美しさが目をひく作品です。

同時に、二羽の鳥が、結び、繋ぐ赤と白の紐の結び目と繋目が気になってしまう作品でした。

 


「横濱みなとみらい」松本友加里 委員 神奈川県 50F 油彩 

私が仕事帰りに散策した、横濱みなとみらいの風景を背景にし、クリームソーダを前において、女性と犬が寄り添っています。

楽し気な犬の様子に、この地の美しさやワクワク感が感じ取れる作品と思いました。

 

左「馬くいかないね」右「鹿たないね」みのしまかおる 会員 神奈川県 80M ミクストメディア 

馬の背に腰掛け俯く女の子、鹿の首に振り落とされそうに捕まる女の子。

それぞれの女の子の背中にある羽は、失意で千切れてしまっています。

「馬鹿」という言葉を構成する「馬」と「鹿」、それを「馬くいかないね」と「鹿たないね」と失意の女の子を優しく励ましているのがこの作品です。

みのしまかおるさんの、このヒューマニズムに思わず涙が出てきました。

 

Mobile Play」きつないえりこ 会員 千葉県 50F 油彩・モデリングペースト 

人魚やマンボウなど海にすむ生き物が登場する、きつないえりこさんの海のメルヘンです。

私は、いつもは隠れたマンボウを探すのですが、今回はマンボウが主役の作品でした。

 

Pathos」香椎貴月 会員 80F 日本画 

現代の美人画として、現代童画会の中で丁子紅子、戸井田しづこ、田中アユミの3人に次ぐのはこの方と思い、個人的に注目している香椎貴月さんの作品です。まだ、あまり作品を拝見していないので、もっと作品を拝見したいと思っています。 

 

「うつろう」100F 水彩 松江利恵 会員 東京都 東京都知事賞

水面が光り輝く見事な水彩画で、驚き見入ってしまう作品です。東京都知事賞も納得です。


「永遠に」佐藤晴美 神奈川県 会友 100F 日本画 

佐藤晴美さんは全く存じ上げないのですが、2頭の白い一角獣の逞しさと優雅さ、深い藍の星空や海の美しさなど、素晴らしい作品と思いました。

 

「同じ月を見てるよ」宮澤美保子 会員 神奈川県 50F アクリル 

インコが登場する作品でしたので、思わず写真を撮りました。

ワンちゃんと並んだ背中が可愛いと思いました。

 

「ピーちゃんと私」50F アクリル 清水萌々夏 一般 東京都

もう1点のインコの作品。我が家でも、同様な日常がありますが、我が家のセキセイインコのキリちゃんは、私の鼻をかじってきます。

 

「「幸せな日」清水萌々夏 会友 東京都 100F 油彩 

緑あふれた小川で、親子が遊ぶ姿に懐かしさが溢れる作品です。

 

「光の手紙」冨樫尚美 一般 長野県 30F 水彩 会友推挙 いちご:鹿沼市長賞

独特な画風に注目した作品です。

 

「びっくり華ちゃん」 福島学 会友 群馬県 A4 色鉛筆  会員推挙

あらら!ちょうど私も目線の高さにあったこちらの作品に思わず微笑んでしまいました。

 

以上、私本意の選択になりましたが、多くの作品を楽しむことができた展示でした。