現在、国立新美術館で開催中の「第119回日展」に行ってきました。(会期 10月30日~11月22日)
日展は、日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書の5部門で行われていますが、私は、そのうち日本画・洋画・彫刻の3部門を拝見しました。
作品鑑賞は、私の趣味に偏ってしまいますが、3部門でそれぞれ次の方々の作品を紹介していきたいと思います。
【日本画】石井清子、福田季生、中村妃菜、中村賢次、福本百恵、山下保子、西田幸一郎、藤島大千、村居正之、渡辺信喜、藤島博文、小熊香奈子、米田陽稀
【洋画】木原和敏、山本大貴、徳田明子、中島あけみ、亀山裕昭、渡邊裕公、大友義博、池田清明、小野月世、緒方かな子、佐藤一清、田中和子、香焼直美
【彫刻】寒河江淳二、山田朝彦、廣川政和、熊谷喜美子、野原昌代
(敬称を省略させていただきました。)
【日本画部門】
「Infinity」石井清子
主に飼い猫をモデルとして、複数の猫が飼い主に見せる愛らしい姿を作品に仕上げる石井清子さんの作品ですが、今回は、複数の猫を、金と銀を調和させた美しい空間に浮遊させ、自由で活発な猫や、ゆったりと寛いだ猫など、様々な猫の姿が楽しめる作品となっています。
特に、今回は、最近飼い始めた若い三毛猫のアリスちゃんが登場し、好奇心が強く、元気な猫の姿が印象的であり、幸福感溢れる作品に思います。
5匹の猫に加え、空間に舞う蝶5匹の姿も美しく、猫好き、蝶好きの私としてはたまらない作品です。
「かごめ かごめ」福田季生
京都の伝統を継ぎ、新たな美人画を拓く、福田季生さんの作品です。
古木の前で、4人の浴衣姿の女性が「かごめ かごめ」で遊ぶ様子を描いた作品です。
4人の女性の一人ひとりの浴衣姿が風情があり、涼し気ですが、祈るような姿が敬虔な信仰心を感じ、張りつめた緊張感を醸し出しており、心が打たれる気がします。
令和8年 都をどりポスター原画を担当するなど、活動の幅をますます広げている福田季生さんの注目度の高まりを感じています。
「ドルチェな日」中村妃菜 特選
古い木造家屋の魅力にこだわり、これまで朽ちた家屋を精密に描いたり、古さを活かし活用されている家屋を爽やかに描いたり、短い間に画風が変遷しており、意欲的な挑戦をされている中村妃菜さんの作品です。
今回の作品は、私から見ると、これまでの作品とは一線を画す、画面いっぱいに家屋を描き、淡い色彩ながら重厚な肌質の作品に仕上がっています。
今回、特選を受賞し、第1室に飾られていました。
今年春に開催された「第13回郷さくら美術館桜花賞展」のアーティストトークで、初めてご本人にお目にかかりましたが、若手でありながら堂々とした語り口に大変感心しました。ますます今後の成長が楽しみな作家さんです。
「春の野を焼く」中村賢次 文部科学大臣賞
燃え上がる炎の表情に拘り、作品を発表されている中村賢次氏の作品です。
今回は、春の野焼きにおいて、舞い上がる黒い煙が横風を受け、大きくうねりを見せる様子を核として、くすぶる赤い火から出る白い煙とぶつかるなど、輻輳した炎・煙・風の表情を描いた壮大な力作であり、見事、文部科学大臣賞を受賞されました。
今年の春、娘の妃菜さんが参加された「第13回郷さくら美術館桜花賞展」のアーティストトークの会場で、お目にかかりご挨拶を申し上げたところですが、熊本の崇城大学において日本画の教鞭をとる実直な印象に違わず、心がこもった作品と思いました。
「生息地」福本百恵 特選
体が緑色で、赤い嘴のインコの群れが、洗濯物と洗濯機に集まる様子が描かれています。
東京ではペットで飼われたワカケホウセイインコという緑色の中型インコが、大量発生し群れを成しているという話を聞いたことがありますが、この「生息地」と題した作品は、それを連想させるような作品です。
インコ好きな私ですが、これほど大量なインコたちが群がる様子は、色彩的には美しいものの、その怖ささえを感じる迫力のあるものに感じます。
今回、特選を受賞されていますが、鳥を描くのを得意とする福本百恵さんが、春の日春展では、迫力あるライオンを出品したこともあって、これだけの自然味溢れる作品に仕上げたところに感服しました。
まずは、若い方を中心にとりあげましたが、引き続き、いつも拝見するのを楽しみにしているベテランの方々の作品を紹介します。
「草と共に」山下保子
「彼方」西田幸一郎
「Quo imus 青い時」藤島大千
「宙」村居正之
「牡丹」渡辺信喜
「五十鈴川 月照」藤島博文
続いて、猫が魅力な小熊香奈子さんの作品です。
「秋に想う」小熊香奈子
圧倒的に若い米田陽稀さんのユニークな猫の作品も今回入選していました。
「寝れぬの子」米田陽稀
次は、洋画部門です。
【洋画】
洋画部門は、一昨年亡くなられた洋画界の重鎮中山忠彦先生の作品の展示が、昨年からなくなったことや、また、展示の仕方でしょうか、若しくは参加者の変化もあるのでしょうか、私にとって見ごたえのある作品が分散し、若しくはなくなってしまった感が強く、正直、多少の違和感を感じました。
官展の歴史をもち、様々な作品を取り扱うこともあるのでやむを得ない面もあるかもしれないと自分の中で納得させつつ、作品を拝見しました。
とはいえ、私にとって魅力的な作品が数多くあり、その中から作品を紹介させていただきます。
「ノワイエの路」木原和敏
一昨年の「My favorite blue」と題した作品における白い壁と淡い青の戸、そして昨年の「Black coffee」の作品で、白い壁の家の中でベットの上でコーヒーを飲む女性の姿を振り返ると、今回の作品が一連の作品であることがよくわかります。
爽やかで情感溢れる背景として、黒基調で花柄の上品な衣装をまとう美しい女性の存在感、そして、この作品においては、女性の持つ鞄の青と、背景の家の戸の青との調和など、木原和敏氏の作品の魅力はいつも新鮮で、尽きることはありません。
「Liquid Metal」山本大貴
写実的な女性を描くと揺るぎない人気のある山本大貴さんは、以外にも昨年、日展初入選・特選でした。
昨年は、着物の女性、今年はこのLiquid Metalの作品であり、いずれにしてもその実力を彷彿させる作品です。
「蛍火幻想」徳田明子
徳田明子さんの描く女性は、優しさや、柔らかさに加え、情念を感じさせるものであり、幻想的な画面は美しく魅力的です。
この作品も、蛍の淡い光のなかで、佇む女性の姿が美しさとともに情念を感じさせます。
以前から、徳田さんの作品を拝見し、魅力を感じ、私のブログで紹介させていただいていましたが、今年の1月の初めて個展に伺い、御本人にお目にかかることができました。
「prologue」中島あけみ
私は、中島あけみさん描くヌードの作品の美しさに魅力を感じ、ブログで紹介してきましたが、昨年、初めて個展を拝見することができました。
今回も、入選され展示がされていましたが、上段展示であり、目線でじっくり鑑賞することができなかったことが、とても残念でした。
「パラダイス・ロスト」亀山裕昭
写実的な風景のなかに、さりげなく物語を織り込む亀山裕昭さんの作品です。
今回は、朽ちた立て看板を描くことにより、観光地の浮き沈みを想像させる作品となっています。
「憧れは若冲!」渡邊裕公
昨年の渡邊裕公さんの作品は、ミケランジェロの最後の審判のオマージュだったかと思いますが、今年は、伊藤若冲の樹花鳥獣図屏風でした。古典作品を取り入れた明るい画面に、わくわくする楽しさを感じました。
大友義博氏、池田清明氏、小野月世氏の軽やかで情感あふれる作品は、どれも魅力です。
「夏の雫」大友義博
「エチュード」池田清明
「虹が出た日」小野月世
「姉妹ー道開ー」緒方かな子
緒方かな子さんのお子さんをモデルとした作品は、見ごたえがあり、愛情、そして力量を感じさせます。
「慈」佐藤一清 文部科学大臣賞
「静かな午後」田中和子 特選
今年は、田中和子さんは特選を受賞されていました。おめでとうございます。
「お花の香に包まれて」香焼直美
明るく、爽やかな色彩に惹かれる作品です。
【彫刻】
彫刻部門は、私は、寒河江淳二さんの作品がお目当てで、毎年拝見していますが、当然のことながら、目を引く、作品が数多くあり、その中から数点紹介させていただきます。
「非対称」寒河江淳二
「光彩」山田朝彦
「牧歌幻想」廣川政和 内閣総理大臣賞
「旅立ち」熊谷喜美子 日展会員賞
「或る日」野原昌代
以上、駆け足になりましたが、今年の日展も大変楽しませていただきました。



























































