8月の最後の日曜日、8月30日に、横浜のみなとみらいギャラリーで開催された、第12回美の起原展入選作品展に行ってきました。(会期 2026年8月25日(火)~8月31日(月))

 

「美の起原展」は、銀座の画廊「美の起原」が主催する公募展で、豊かな才能を発掘し、アーティストとしてのキャリアを支援する趣旨で開催されており、いわば絵画作品であれば何でもOKという寛容さもあって、これまで多くの作家の方々がこれまで挑戦されてきました。

 

今回は、3年ぶりの開催であり、応募者数340名、応募総数469点にのぼり、過去最高の応募数を記録したとのことで、会場も広々とした横浜のみなとみらいギャラリーで、入選作50点の展示(A室、B室)に加え、過去の大賞等受賞者の作品の展示(B室)、地元の横浜美術協会日本画部の特別展示(C室)も行われるなど、盛りだくさんの内容でした。

 

会場は、横浜みなとみらいの大規模商業施設クイーンズスクエア横浜クイーンモールの中にあります。

会場に着くと、入選者のギャラリートークが行われており、多くの方々が鑑賞されており、そんな中、美の起原のスタッフの方にお目にかかると、忙しい中でしたが、大変歓迎していただき感激しました。

 

A室の展示風景です。

 

それでは、まず、入選作品の中から、私本位で何点か紹介させていただきます。

大賞 神戸勝史「白華の刻」 パネル、寒冷紗、白土、岩絵具、箔、銀泥 S20

古代から続く、白樺の森における神的な物語を感じさせる重厚な作品です。

様々な文様と花が違和感なくひしめき合い、敬虔な気持ちと楽しさを喚起する大賞に相応しい作品と思います。

 

準大賞 山西なつ美「光をかさねて」 漆、錫粉、金箔 F10

可愛らしい少女のキャラが浮遊するイラスト作品のようですが、背景の奥深さ、神秘的な色彩に魅了される作品です。

山西なつ美さんは、漆を研究されている方で、こうした絵画表現に漆を採用されており、伝統と新しさの統合に目を見張ります。

 

特別賞 古川右京「Silva Nocturna」 油絵具、アブソルバン、麻、木製パネル F10

写実的に描かれた現代風の女性像が、あたかも映画のように創り出された空間に転送され、その実体を結んでいる瞬間を描いたように感じる作品です。あり得ない作品でありながら、身近で起こりえると感じさせる「写実」の作品ではないでしょうか。

 

佳作 門田奈々「今帰り来む」 アクリルガッシュ P10

凛として、たおやかな、気持ちが洗われるような美しい美人画です。

門田奈々さんの作品は以前から惹かれていましたが、この作品は、なかなかの傑作と思いました。

 

天野利恵「空と女神と雲のドレス」アルシュ紙、アクリル F10

精悍な狼など、激しく力強い作品の印象が強い天野利恵さんが、女神を描いた作品です。

一見やさしそうにも見える女神ですが、雲と一体化した女神は、機嫌を損なうと大雨を降らしそうな激しい女神に思えてきます。

 

前田洋子「月夜にほどける」黒鉛筆、色鉛筆、コンテ、水溶絵具、ランブライト紙パネル水張り F20

月夜の神秘的な空間に浮かび上がる女性像、優雅な花や衣装が、月の淡い光に照らされて白く輝く様子が魅力的な前田洋子さんの作品です。

 

渡邊浩香「goodafternoon ニャ~」アートクロス、墨、岩絵具、水干絵具、顔彩 M12

「goodafternoon ニャ~」と猫とあいさつする女性を描いた作品。

窓から差し込む光や桜の花、女性の表情など大変爽やかな作品です。

 

いいじませつこ「眼ヂカラ」ソフトパステル P10

 

工藤沙由美「巡る季節を匂いに惹かれ体を揺さぶり舞い上がれ」ペン、顔彩、色鉛筆 430×540

 

石橋美稀「雫花」雲肌麻紙、岩絵具、墨 F20

 

樋口ひろ子「福寿海」キャンバス、アクリルガッシュ、金箔、パンパステル M10

 

立澤香織「マダムAの心情」キャンバス、アクリルガッシュ P10伊藤隆之「幻影」卵テンペラ、白亜地。パネル F20

 

赤塚友里「森の奥でお祝いの準備を」アクリル、耐水性インク、キャンバス F15

 

戸田敦也「犬と蟷螂」絹、墨、岩絵具 F10

以上、多くの入選作品を堪能することができました。

 

会場Bでは、今回の受賞作品と過去の大賞等受賞者の作品が展示されていましたが、丁度、2022大賞受賞の月乃カエルさんと、2023年大賞受賞のU-kuさんのギャラリートークを拝聴することができました。

月乃カエルさんの作品を拝見するのは初めてではありませんが、御本人を初めて知りました。

作品同様ユニークな方と思いました。

 

2022大賞作品 月乃カエル「HANAKAGO」ミクストメディア F20

 

月乃カエル「Flowe-filled Utopia」ミクストメディア F40

 
一方、U-kuさんは全く初めてであり、主に水彩絵具を使用して描き出した濃淡や、筆の勢いが魅力的な作品にはとても魅了されました。
 

2023年大賞作品 U-ku 「determined」水彩絵具、顔料、アクリル絵具、箔、木製パネル、水性下地材 S20

 

U-ku 「優しさの硬度」水彩絵具、アクリル絵の具、アクリル樹脂、岩絵具、金箔、木製パネル F20

 

会場には、過去の受賞作家の中から代表的な方々の作品が展示されており、私が良くブログで紹介する中園ゆう子さん(2017年準大賞受賞)の作品が4点展示されていました。うち2点を紹介します。

中園ゆう子「見守り影」紙本着彩 F10

 

中園ゆう子「花のようなあなた」紙本着彩 F3

 

また、2019年準大賞受賞の久保俊太郎さんのこんな作品も魅力でした。

久保俊太郎「行軍(インコ)」水彩紙、アクリル絵の具、色鉛筆 270×460

 

C室の、横浜美術協会日本画部の特別展示のなかで、30年ほど前、縁があって個展を拝見したことがある、勝山治実さんの作品を久しぶりに拝見することができました。

勝山治実「シロツメグサ」日本画 F100号

この日、御本人にはお目にかかれませんでしたが、機会があれば、是非、お目にかかりたいと思っています。

 

以上、日曜日の午後、大変楽しませて頂きました。

第12回美の起原展入選作品展は、8月31日が最終日でしたが、銀座の画廊美の起原において、第12回 美の起原展 受賞作品展(会期 2026年9月2日(水)~12日(土)が開催されるとのことです。

銀座画廊・美の起原 | 銀座画廊