現在、国立新美術館で開催中の第102回白日会展に、会期の初日に行ってきましたので触れたいと思います。
(会期:3月19日~3月30日)
こうした公募展でいつも気になることは、どの部屋にどの作品を展示されているかということです。
どの公募展も、この部屋にはこうした作品を展示していますと表記されていないので、鑑賞者としては、経験的にその傾向を感じるわけですが、第1室にどのような作品が展示されているのかや、その部屋にあるべきと考えている作品がそこにないとその理由は何かと、考えをめぐらすことが私にとって鑑賞の醍醐味の一つになっています。
白日会展においては、第1室から第5室に特色があり、第1室は基本、若手・中堅の顔となる最優秀作品が展示され、第2室、第3室には第1室に準じる優秀作品が展示されます。第4室は小さなスぺ―スですのでやや小ぶり、若しくは縦長の優秀作品が展示されています。
そして、第5室には超ベテランの作品を中心に展示されており、かつては、前会長の中山先生の作品が第5室の中央に鎮座しているのを拝見するのが私の楽しみの一つでした。
今回、私の存じ上げる若手から中堅の作家の方が、第1室での展示が思いのほか多かったこともあり、以下、作品・作家名に加え、展示室についても触れながら、作品を紹介していきたいと思います。
(作品を紹介させていただくのは次の32名の方々になります(敬称省略)。木原和敏、福井欧夏、亀山裕昭、藤井佳奈、友清大介、山本大貴、河野桂一郎、吉間春樹、伊勢田理沙、植野綾、松本実桜、徳田明子、中道佐江、中島あけみ、松林淳、小野彩華、大友義博、曽剣雄、小野月世、松本貴子、田中知子、朝日夏実、岩本将弥、緒方かな子、星野典子、星野清和、香焼直美、野中愛絵、宮本絵梨、果醐季乃子、三輪修、津絵太陽)
「街角」木原和敏(第5室)
女性の美しさを、精密な描写ながら、情感を込めつつ可憐に美しく描く、木原和敏氏の作品です。
背景の古びた石積み壁には「St.Vincent」との表記があり、古びた街角の風景を背景として、女性の青いショールが生える作品になっています。
木原氏の作品は、これまで第1室の展示でしたが、ベテランの第5室に展示されていることが印象に残りました。
「流花」福井欧夏 伊藤清永賞(第4室)
幻想的な世界を背景にして、上品で優雅な女性の姿を描く福井欧夏氏の作品です。
今回は、やや小さめの作品であり、幻想的な背景の描き込みはなく、女性の立ち姿の美しさがすっきりと直接的に伝わる作品と思いました。
この作品は、第4室の中央に展示され、部屋の雰囲気を引き締めてるように感じました。
「Mellow & Yellow」亀山裕昭 内閣総理大臣賞(第1室)
精緻な風景の中に、人が登場せずとも人の営みの哀愁を感じさせる亀山裕昭さんの作品です。
私は、亀山さんの風景画を拝見するのをいつも楽しみにしていますが、今回、会場で内閣総理大臣賞を受賞されたことを知り、驚きとともに、流石と頷いたところです。
「輝きを纏って」藤井佳奈 中山忠彦賞(第1室)
(第1室の中央に展示された藤井佳奈さんの作品を熱心にのぞき込む方が数多くいらっしゃいました。)
藤井佳奈さんは、ロリータファッションをメインテーマにして幻想的な世界を描かれていますが、最近は、写実性をより一層高めながら、作品の魅力を高めていると感じていたところです。
今回の作品は、ご自身をモデルとした作品で、これまでの最高傑作と思えるような出来栄えであり、洋装のファッションの女性像を極めた中山先生の記念賞を受賞したことに、藤井佳奈さんに相応しい素晴らしい賞を受賞されたと感動したところです。
「家族」友清大介(第1室)
スペインに留学するなど、ベラスケスに造詣の深い友清大介さんの「家族」を描いた作品です。
友清さんご本人、そして二人のお子さんが、それぞれに絵を描いている姿を描いた心温まる作品ですが、ベラスケスの代表作「ラス・メニーナス」(17世紀、フェリペ4世の娘マルガリータ王女を描いた作品)を意識した作品であることは明らかです。
そうすると、画面の奥の洗面所の鏡(人物画のようにも見えますが)に映り込んでいるのは友清さんの奥様であり、奥様がこの3人の姿をのぞき込んでいるのがこの作品の構成といったところでしょうか。
友清さんらしい、含意のある作品であり、第1室に展示されていることに納得する作品です。
第1室には、山本大貴さん、河野桂一郎さん、吉間春樹さんといった女性像を描く、人気作家の迫力の作品が展示されています。
「Simulacrum Girl(feat.Hiroto Ikeuchi)」山本大貴(第1室)
「Yellow Rose」河野桂一郎(第1室)
「grass hopper」吉間春樹(第1室)
また、第1室には、藤井佳奈さんに加え、伊勢田理沙さん、植野綾さん、松本美桜さんの、若手実力派女性作家の作品が展示されていることも目を引きました。
「アンダンテ」伊勢田理沙(第1室)
伊勢田理沙さんといえば、光が差す部屋の作品が多かったように思いますが、今回は、木洩れ日が差す森の風景に挑戦されています。鬱蒼とした光が奥まで差さない森の緑を背景に、人物に木洩れ日が挿している様子が描かれており、光の描き方に伊勢田さんの魅力を感じる作品ではないでしょうか。
「寄る辺ない私たち」植野綾(第1室)
植野綾さんは、女性のありのままの姿というのでしょうか、女性の表面的な美ではなく、女性の内面からこぼれる葛藤や美しさを追求しているのではないか感じています。それは、明らかに男性作家の視点とは違う、そんなことを作品から思いを馳せています。
「仮初の彩月」松本実桜 大宥美術賞(第1室)
動物と少女をテーマに描いている松本美桜さんは、今回、賞を受賞し、第1室の展示でした。
白日会展においては、人物の特色ある作品が数多く、その中で私が注目している作品を引き続き紹介したいと思います。
「雪女」徳田明子(第30室)
先日、徳田明子さんにお目にかかったとき、妖怪とかに興味があり、雪女を描くことに拘りがある趣旨のお話ををされていました。実際には目には見えないものを、女性の情念をも込めて描き出すところに徳田さんの魅力があると感じています。
「瑞花月奏」中道佐江(第4室)
女性の美しさ、神秘性を、私の眼からすると神々しく描き出す中道佐江さんの作品は、大変魅力的です。
背景の植物や蝶、そして、頭の背景にある星座を描き込めれた金環など、神秘的な美しさをより魅力的に引き出していると感じます。
「萌」中島あけみ(第7室)
女性の裸像の曲線や肌の輝きなど、魅力的に描く中島あけみさんの作品です。
先日初めてお目にかかりお話を伺った際に、写真などは使わず、いつもモデルさんを前にして制作をしてとのことであり、それが、女性の自然の美しさを引き出していると感じました。
「蕾」松林淳(第9室)
元々は水彩で女性を描いていた松林淳さんが、油彩を発表されたころから白日会展に挑戦されるようになり、今回はこの作品で準会員への推挙となりました。
「Butterfly Effect」小野彩華(第2室)
「桃のころ」大友義博(第5室)
「夢幻曲」曽剣雄(第5室)
「鳥の声」小野月世(第30室)
「FOCUS」松本貴子(第4室)
「ある午後」田中知子(第3室)
「着合わせあそび」朝日夏実(第2室)
「蒼燈」岩本将弥(第2室)
「姉妹-慈愛-」緒方かな子(第9室)
「白日夢」星野典子(第12室)
群馬県で活躍されている星野典子さんの少女を描いた作品です。
「憂い」星野清和(第17室)
シャープなタッチの女性画に目が留まった星野清和さんの作品です。
星野清和さんを私は存じ上げなかったのですが、群馬県の方という表記があり、以前から作品を拝見していた同じく群馬県出身の星野典子さんと苗字が同じことが気づき、調べたところ、御夫婦であることが判明しました。
「青い衣装に想いを込めて」香焼直美(16室)
「Metamorphosis」野中愛絵 高島屋賞 クサカベ賞 白日賞(第1室)
野中愛絵さんは、一般の方で白日賞を受賞されたお二人のうちのお一人で、審査所感で「若い世代の新鮮で意欲的な絵画感に魅力を感じました。」と評されていました。
第1室に展示されたこの作品は、第1室の常連とも見間違うほどの作品であり、今後が楽しみな作家さんと思いました。
これまで取り上げた、写実的な人物以外でも次のような作品が素晴らしいと思いました。
「ZONE」宮本絵梨 SOMPO美術館賞(第1室)
「尾道風景、小雨降る冬の朝」果醐季乃子 会員賞(第1室)
情感溢れる尾道の風景を描く果醐季乃子の作品が、会員賞を受賞し、第1室に展示されていました。
「寄り添うⅡ」三輪修(第4室)
精緻な静物画でいつも目を引く三輪修さんの作品です。
「阿志曳」津絵太陽 永井画廊賞(第2室)
これまで数々のインパクトのある作品を発表してきた津絵太陽さんの作品です。
以上、最後は駆け足になってしまいましたが、ここで紹介した作家の方々以外にも、数多くの魅力的作品があり、また、見落としてしまった作品もあり申し訳なく思う次第です。
いずれにしても、魅力的な作品を楽しむことができ、関係者の皆様に感謝申し上げます。






























































