昨日になりますが、現在、横浜中華街にある画廊art Truthで開催中の、中島尚子個展「団地滞在制作」に行ってきました。(会期 3月30日(土)~4月6日(土))

 

中島尚子さんは、木の切り株を掘る版画、木口版画をされており、身近な生き物や植物を中心に、精密で時にはユーモアのある作品を制作されています。

 

今回は、現在住まわれている横浜のガーデン山団地の風景を題材にして制作した作品中心の展示になります。

また、今回は木口版画の作品に加えて、小さな油彩の作品の展示もありました。

この日は、中島尚子さんも在廊しており、お話を伺いながら、作品を拝見することができました。

 

それでは、作品を紹介します。

まず、こちらの作品です。

 

団地滞在制作 10号棟西3 油彩 インチ/25.5×20.3㎝

団地の雪景色です。

団地の子どもたちが、道路に積もった雪を楽しみながら踏みしめている様子が伝わってきます。

後で触れますが、この団地がある横浜のこの辺りは、海からもそう遠くなく温暖な場所ですので雪が積もることはあまり多くないと思いますので、こうした風景は珍しい風景ではないかと思います。

 

それでは、この団地の名前がわかる作品です。

団地滞在制作 no4 掲示板 木口版画 門出和紙 雁皮紙 15×15㎝

団地にある掲示板を描いた木口版画の作品です。

掲示板の左にはガーデン山団地の地図が描かれています。

ガーデン山団地は、横浜市神奈川区の三ッ沢下町というところにある全11号棟の団地です。

 

団地滞在制作 no5 富士山 木口版画 門出和紙 雁皮紙 15×15㎝

団地からは、ガーデン山と呼ばれるだけあって、天気が良いと富士山が見えるとのことです。

 

団地滞在制作 no6 軽トラック 木口版画 門出和紙 雁皮紙 15×15㎝

団地にとまっていた軽トラックです。

軽トラックの荷台には、傘が開いて置いてあり、その下には筍があります。

恐らく近くで収穫した筍を放るように荷台に乗せたのではないでしょうか。

 

こんな団地の風景を、面白いと思って作品にした中島尚子さんの視点に惹かれます。

 

団地滞在制作 10号棟西2 油彩 インチ/25.5×20.3㎝

小さいので拡大してみます。

団地には緑が豊富、色とりどりの花もたくさん咲いているようです。

そんな様子がわかる、油彩ならではの作品です。

私の家の近くにも団地があり、私も団地に住んでいた時期もありますが、懐かしい風景です。

 

団地滞在制作 カモ  油彩 インチ/25.5×20.3㎝

ガーデン山団地は、昭和40年代にできた団地ですが、戦前、この山には富豪の邸宅があったそうで、その当時の面影を残すものとして団地の中央部に池があるとのこと。

中島さんから、この池にはおたまじゃくしがいるという話を前回のグループ展で伺っていましたが、その池にはこの作品に描かれた鴨も来るということがわかります。

豊かな自然があって羨ましい団地と思います。

 

今回は、このような団地の風景を描いた作品がほとんどですが、中にはこうした作品も展示されていました。

 

プレゼーペ 油彩 インチ/25.5×20.3㎝

この作品は、中島さんが卒業した高校がミッション系の学校で、卒業生が制作した作品でクリスマスカードを作ることが伝統であり、つい最近、中島さんが依頼され、高校に飾られていたお人形をモチーフに、この作品を制作したとのことです。

ちょうど私が画廊にいるときに、他のお客様が気に入って、お嫁入が決まりました。

 

中島尚子さんの作品は、小さいですが精緻で丁寧に描かれており、存在感があるとともに温かみのある作品です。

今回も、身近な団地の風景を切り取った作品の数々に大変楽しむことができました。

 

最後に画廊art TruthのHPを掲載しておきます。

横浜元町中華街 ギャラリー art Truth (art-truth.net)