今日は、現在国立新美術館で開会中の、白日会創立百周年記念展について紹介したいと思います。(会期 3月21日(木)~4月1日(月))

 

白日会は大正13年創立とのことで、出品目録の冒頭に書かれた中山忠彦会長のあいさつでは、関東大震災の翌年に第一回展、そして今年も能登の大震災に見舞われたことに触れ、一世紀の間、日本は戦争の試練を受け、歴史的転換点を迎えることになるとしています。

そして、写実を掲げる白日会を他と峻別する点は、「見えるものを通して見えないものを描く」を会の理念として掲げたことにあり、現在に至る白日会の基本姿勢を示しているとしています。

 

今の私には、この点についての深堀は能力を大きく超えますが、現代絵画がこの100年の間、様々な試練・経験を経てきた中で白日会がこうして発展してきたことには大変意義があると思うところです。

 

それでは、私の眼で見た白日会展の様子に触れていきたいと思います。

会場入口の様子です。

 

受賞者等の一覧です。

 

以下、出展作品を紹介していきます。

まず、私の興味の重点である、人物(女性)画を中心に紹介します。

 

1室「Late Summer」木原和敏

まずは私のお目当ての木原和敏氏の作品です。

明るい緑の風景を背景に、涼しく軽やかに描かれた女性が魅力的です。

 

2室「白雪に眠る」福井欧夏

幻想的な背景に気品があり上品な女性像を描く福井欧夏氏の作品です。

雪に覆われた静かな山林を背景として、白いシーツに包まれた女性の透き通る肌が美しい作品と思いました。

 

1室「White Rose」河野桂一郎

無機質なコンクリートの壁を背景に、それとは対照的に生命力が溢れる女性の姿。

河野桂一郎氏の作品には、いつも驚かされます。

 

1室「孤愁の園」山本大貴

豪華で気品高い、いつものモデルの山本大貴氏の作品です。

 

1室「花とカフカ」吉間春樹 近鉄百貨店賞

鑑賞者を見つめる鏡の中の女性が実像?と感じてしまう吉間春樹さんの作品。

若手の吉間さんのここにきての飛躍は目に見はります。

 

今回は、会場入り口すぐに、この作品が飾られていました。

 

5室「青衣立像」中山忠彦 伊藤清永賞、創立百周年賞

冒頭の中山会長の作品。今年もいつもの5室の定位置に鎮座しています。

白日会と共に歩んだ、歴史を感じる作品です。

 

3室「汀」友清大介

98回、97回でも水辺での女性を描く作品を出展されている友清さんのこだわりの作品。

女性がいなくとも、作品として成立するのではと思うほど、見事に海が描かれています。

 

3室「ゆったり昼下がり」伊勢田理沙

女性と、猫、それと猫グッズ。今年は、猫型のティーポットが登場しています。

伊勢田さんの作品に今年も楽しませていただきました。

 

4室「天使にまた逢える」藤井佳奈

ロリータを身に纏う少女、天使の羽根が描かれ、光がさしており、幻想的でキラキラした作品。

まさに、藤井佳奈さん世界です。

 

3室「深層」植野綾

膜を通して見える姿にこだわりを持って表現しようとしている植野綾さんの作品。

共通したテーマと、その時々の表現で様々な作品を生み出す彼女の世界をただただ鑑賞したいと思う私です。

 

2室「1週目の探求」松本実桜

動物と少女。そして、そこから生まれる松本美桜さんの世界です。

考えてみると、松本さんとお目にかかりお話を伺ったことがないので、動物好きな私としても、彼女の作品への想いを聞いてみたいと思います。

 

30室「桜流し」徳田明子

桜の花びらが浮かぶ水面、それと一体化するかのように女性があおむけに浮かび、虚空を見つめています。

冒頭で触れた、「見えるものを通して見えないものを描く」という白日会の基本姿勢の具現化の作品の一つのあり方が、徳田明子さんの作品にあるように思いました。

 

8室「萌し」中島あけみ

中道あけみさんは女性のヌードの作品を出展されています。

その作品は、自然で、美しく、上品で、私はいつも拝見するのを楽しみにしています。

 

4室「月読み」中道佐江

青く透き通った輝きを持つ蝶が舞う、幻想的な森に女性が1冊の本を持ち佇んでいます。

この幻想的な世界は、登場人物の心の世界なのでしょうか。それとも、持っている本の中の世界?

中道佐江さんの神秘的で、美しい世界です。

 

3室「言葉のおくりもの」小野彩華

いつも私が拝見している小野彩華さんの作品ですが、見た瞬間、本当に小野彩華さんの作品と疑いました。

小野彩華さんの、こうしたモノクロームの作品を拝見するのは初めてです。

ただ、よく見ようとしても、ご覧の通り上段に展示してあり、じっくり鑑賞することができないのがとても残念です。

この写真も、遠くからスマホのカメラの倍率を上げてようやく撮りました。

是非とも、ご本人からこの作品を制作したお話を伺いたいと思いました。

 

2室「雪明かり」岩本将弥

 

1室「夢のつづき」大友義博

 

2室「風光る」小野月世

 

3室「Pandora」松本貴子 ギャラリー大井賞

 

3室「姫林檎と物語」朝日夏実

 

10室「精霊の森」星野典子

 

11室「輪舞曲」向井正義

 

20室「髪飾りを直して」香焼直美

 

6室「日本の夏」緒方かな子

 

3室「制作」小野大輔 推挙

ラフな姿で、夢中に油絵を描く学生の姿でしょうか。

ありのままの姿を描いた作品が印象的でした。

 

11室「12歳」伊藤夏海

現代童画展で入賞されていた伊藤夏海さんの作品です。

息子さんを描いた作品でしょうか。森の木々、そしてそこに陽ざしが差し込む描写。

男の子の12歳らしい表情など、秀作と思いました。

 

1室「飛べない男の記憶」岡田高弘

 

1室「雨」広田稔

 

そして、今回、創立百周年記念として、中澤弘光氏をはじめとする創立会員や重要会員の作品の展示もありました。

その中から、中澤弘光氏の作品を1点紹介させていただきます。

7室「裸婦」中澤弘光 1959年

 

以上、人物の作品を紹介してきましたが、もちろん人物以外にも数多くの作品が展示されています。

そのなかで、私が気になった作品、好きな作品を紹介します。

 

1室「落城」亀山裕昭

 

1室「匿名の地平線-ver.monochrome-」中島健太 関西画廊賞

 

2室「月の道と造船所―尾道風景」果醐季乃子

 

2室「界」津絵太陽 高島屋賞

 

4室「寄り添う」三輪修

 

6室「尾張半田山車勢揃い」牧内則雄 内閣総理大臣賞

 

1室「瑞花の庭園」中谷晃 文部科学大臣賞

 

20室「花香」清水のぶ子

 

とにかく取り上げたい作品が多くなってしまったことから、駆け足になってしまいました。

今回の白日会展の素晴らしさが少しでも伝わればと願うばかりです。

今回は、以上です。