今日は、現在、上野の東京都美術館で開催中の第48回現代童画展について書きたいと思います。(会期:11月10日(木)~16日(水))

 

私が、現代童画展を初めて拝見したのが、6年前の2016年11月の第42回現代童画展であり、それ以降は、毎年、会場に伺い私のブログに取り上げてきました。

今年も、いつも拝見するのを楽しみにしている作家の方々や、これまで気づかなかった方、新人の方などの出会いを楽しみにして会場に向かいました。

 

伺ったのは二日目の11日、金曜日の午後です。

受賞者が貼り出されていました。

 

早速、私本位で作品を紹介していきたいと思います。

第1室には、注目の作家の作品が並んでおり、まず、レディファーストで何人かご紹介します。

 

「ここから、」 丁子紅子 80P 日本画

青い蝶の羽根がある女性が、手で膝を抱えています。

丁子紅子さんの作品に登場するクールな目、赤い唇の女性、そして、燃え立つような羽毛は全く共通ですが、こうした羽根がある女性やこうしたポーズは今まであまりなかったように思います。

「ここから、」という作品名からも、新たな挑戦を感じさせる作品のように思います。

 

「思の淵」 戸井田しづこ 50P アルキド

暗い闇に浮かぶ妖艶な女性。

戸井田さんの作品には、女性美の追求を感じます。

その意味で、その作品との出会いはいつも楽しみです。

 

「朏乃鹿介」 佐藤美絵 キリエ+ 160.8×166.5㎝

山陰地方の戦国武将、山中幸盛、別名山中鹿介を題材にした作品‥‥だと思います。

山中幸盛は、朏(三日月)と鹿の角の兜をつけ、山陰地方の麒麟児と言われた武将というのを、「朏乃鹿介」という作品名から自分で調べました。

佐藤美絵さんの作品は、故事や物語を題材にして、絵巻物のような作品を制作されており、この作品も迫力の作品に仕上がっています。

また、小さな見どころとして、作品の中に小さな登場人物がよく登場するので、今回も探したところ烏天狗が3人見つかりました‥‥。と思っていたところ、会場で佐藤美絵さんご本人からから声をかけていただき、伺ったところ烏天狗は5人いることが判明しました。

 

「世界はまだ美しい」 鳥垣英子 岩絵の具、水性アルキド 116.7×223㎝

鳥垣さん独特な花と一体化した鳥が月と共に中央に登場し、その両側には幾つかの花が一つ一つ描かれています。

月の光の中で、青と白を基調に描かれた花々の姿が印象的です。

 

「旅の途中」 田中アユミ 油彩 30S

昭和、若しくは大正時代の雑誌の挿絵に登場してきそうなクラシックな美人画という印象がする作品です。

以前から、私は田中アユミさんを大変注目していましたが、最近はこの1室に定着されてきており、現代童画会の美人画3人と言えば、丁子紅子さん、戸井田しづこさん、そしてこの田中アユミさんと私の中で確信しています。

 

「秋の公園」(左)、「雪の華」(右) 池田ヒロミ ミクストメディア 123×122㎝

季節それぞれに持っている明るさ、幸福感に溢れる作品です。

 

「月夜の乾杯」 多田すみえ 油彩 80P

多田すみえさんの猫ワールドです。

 

そして、第1室の定番の私が尊敬する4名の方々の作品です。

「赤頭巾」小澤清人 50M 油彩、中央の作品は「白兎」0F 油彩

 

「サイクリングの日」(右)、「マラソンの日」(左) 糸井邦夫 120F  油彩

「蜻蛉と少女」(中央) 27×35×50  

 

「瑞祥茜雲-潮風遊覧-」(左)、「瑞祥茜雲-野風遊覧-」(右) 有賀忍 50F アクリル 板絵 

 

「Biology Farm」 中村景児 アクリル・エアーブラシ 164×90㎝

「The Nest」 立体 銅板・木

 

さて、第1室を離れます。

「とろける世界のタピストリ」 コムロレイコ 50F ミクストメディア

明るい色彩と姿で、楽しくなる動物たちの世界のコムロレイコさんの作品です。

最近は、ご覧の通り、立体的な作品を制作されているので、それがわかるよう、斜めから写真を撮りました。

 

「悠久な炎を灯せ」 天野利恵 60F アクリル

精悍な狼や龍を描く天野利恵さんが、狼を思わせる精悍な男性を描きました。

天野さんの狼はやはりすごいと思います。

でも、飼われているワンちゃんたちは、とても可愛らしいですが。

 

「Vortex 渦」 100F 竹内香ノ子 アクリルオイルパステル

動物たちの世界を生き生き描く竹内さんの作品です。

そして、最近、竹内さんが普段から動物に囲まれて生活されていることを知りました。

黒烏骨鶏のコロ助ちゃん(女の子)の姿も懐かしいです。

 

ここで、受賞者の作品をいくつかご紹介します。

現代童画大賞の受賞作です。

「バリ、フィリ、ジンタⅠ」「バリ、フィリ、ジンタⅡ」飯塚みずゑ 各100F 紙、布、その他

 

「アーリーおばさんの散歩道」 うめだたかし 100F アクリル 文部科学大臣賞

 

「護」 木田三郎 100S アクリル 東京都知事賞

 

「現身」 西垣至剛 日本画 162×162㎝ 綾宏賞

 

「約束の木」 土屋恭子 50F 油彩 上野の森美術館賞

 

「Secret Place」 小島千明 日本画 100F 会友奨励賞

 

「風、花、蝶、舞う。」 藤崎五千 ミクストメディア 100M 会友奨励賞

 

受賞者の中から紹介させていただきましたが、新鮮な作品が多かったように思います。

 

続けて、気になる作品を紹介します。

「のっぽくん=ひまわり=」「ジャンボさん=ジャイアントケルプ=」 みのしまかおる 各80M アクリル

 

「Your Memories」 中村あつこ 60F アクリル

 

「サンタさんへの手紙」 さえサエコ 40F 油彩、水性アルキド

女の子の憧れ、喜び、夢…さえサエコさんの暖かくなる作品です。

 

「海のマドンナ」 きつないえりこ 80F ミクストメディア

 

「HUB」 sio. 50M アルキド クレヨン

 

「みんな一緒に」 佐藤千鶴 100M アクリル

 

「野の花 微笑む -平和の願い-」 大林静江 115×82 版画、ガリ版アート、孔版画

 

「三美神」 福地覚 油彩 100S

 

「接続回廊」 むらいゆうこ 30F 日本画・アクリル ナイーブアート賞

 

「8歳の肖像」 小林佳乃 油彩 20F 新人賞

 

最後に小野孝一氏の特別展示の風景です。

 

以上、たくさんの作品を紹介しようと思い、駆け足になってしまいました。

でも、今年も皆さんの力作を堪能させていただき、心から感謝いたします。