今日は、現在、横浜のそごう美術館で開催されている第75回春の院展(巡回展)について書きたいと思います。(会期7月17日(金)~7月26日(日))

 

日本美術院のホームページを拝見すると、今年の第75回春の院展は、3月の三越日本橋本店では開催されたようですが、その後の巡回展は軒並み中止になり、7月4日からの倉敷展で初めて開催され、この横浜での開催はそれに続く開催のようです。

今後、予定されていた福岡展、松江展、神戸展はすでに中止が決まっているようですので、新型コロナの影響で今年の春の院展の作品を拝見できる数少ないチャンスの一つと言えるのではないでしょうか。

 

会場に伺ったのは、19日の日曜日の午後でした。入り口の写真です。

入館に際しては、マスク着用はもちろん、検温と手の消毒を行いました。

 

この横浜巡回展の出展作品は、同人作家の作品35点をはじめ、受賞作品及び関東出身・在住作家を中心に192点が展示されています。

会場に入って驚いたことは、作品を共有するためにSNSで紹介するための写真撮影は可ということでした。

院展で何時からこの方式を採用しているのかは定かではありませんが、以前は写真撮影は不可でしたので、こうしてブログで紹介したい私にとっては大変ありがたいことです。

 

それでは私の好みで申し訳ありませんが、何点か紹介させていただきたいと思います。

「錦秋」 那波多目功一(敬称を省略させていただきます)

私が、院展で拝見するのを楽しみにしている那波多目功一氏の作品です。

那波多目氏が描く四季折々の花々などの作品は、優雅で幻想的であり、その作品を前にすると、心が落ち着き、あらわれるような気持になります。

この柿の作品は、その色合いからだけでも、日本の秋の美しさを見事に描いていると感じることができるのではないでしょうか。

 

「ゼウス 風に立つ」 西田俊英

西田俊英氏の作品にこれまでもよく登場しているボルゾイ犬のゼウスを描いた作品です。

風に向かい立つゼウスの精悍で凛とした姿は、西田氏の作品の中でも私が好きな題材です。

西田氏の作品は、4年前に、このそごう美術館で開催された個展を拝見した以降、再興院展や春の院展で拝見するのを楽しみにしています。

西田俊英展 忘るるな夢 (於 そごう美術館)に行ってきました。

 

「野分」 齋藤満栄

肌寒い風に吹きさらされる野の草、野分を描いた作品です。

この草は、20年ほど前に写生したハトムギの写生をもとに制作されたのことです(日本美術院HP解説)。

齋藤満栄氏の作品は、4年前の再興第100回院展において文部科学大臣賞を受賞した「鉄線」や、その後の金魚の作品が、私にとって大変印象的で、絵を鑑賞する楽しさを知ることができた作家のお一人です。

再興第100回院展 齋藤満栄氏「鉄線」をもう少し語りたい。

再興第100回院展 斎藤満栄氏の「鉄線」について更に語りたい。

 

今ご紹介した3名の方は、皆さん、同人の方々ですが、ほかの同人の方々の作品は、どれも素晴らしく、その中から、私の好きな作品を紹介します。

「願解如来真実義(ガンゲニョライシンジツギ)」 村上裕二

 

「沿線の道」 小田野尚之

 

「令和の春」 大矢紀

 

そして、いつも女性を描き、私のブログでもたびたび取り上げている同人の宮北千織さんの作品です。

「想」 宮北千織

この作品は、遊戯坐といって足をくまずゆったりと座る美しい姿に惹かれ、その姿で瞑想する人物を描きたいということで制作された作品です(日本美術院HP解説)。宮北千織さんが描く女性像は、控えめな色調の中に、優しさと気品が溢れ、現代の美人画・女性画の一つの完成した形ではないかと、僭越ながら思っています。

 

今回、展示された作品の中には、数点女性を描いた作品がありましたが、そのなかで、次のお二人の作品が私には印象に残りました。

「春の胸」 守みどり 無鑑査

 

「瞬く夢」 小針あすか

 

あと、数点紹介します。

「幽思」 山口伸 招待

山田伸氏は、招待と紹介されていましたが、私が拝見するのは初めての方です。

この幾重にも折り重なった草木のなかに、橙に輝く様子は奥深さとそして熱が感じられ、大変印象に残った作品でした。

 

最後に、受賞作3点を紹介させていただきます。

「国来、国来」 川崎麻央 春季展賞 郁夫賞

 

「花トバ」 西岡悠妃 春季展賞

 

「融点」 吉村佳洋 外務大臣賞

 

以上、大変雑駁でしたが、春の院展出展の作品を拝見することができ、現代の日本画を存分に味わえることができた展示でした。