今日は、現在、コート・ギャラリー国立で開催されている菅澤薫展「歪な巣」に行ってきました。(会期 2019.3.14(木)~3.26(火))

会場は、JR国立駅南口から徒歩数分のところにあります。

菅澤薫さんは、二紀展を中心に活躍されている若手作家であり、私は、昨年2月に銀座のギャラリーアートもりもとでの個展で、初めてお目に掛かり、その後、グループ展や二紀展で作品を拝見してきました。

菅澤 薫 展「想いの欠片」(於 ギャラリーアートもりもと)に行ってきました!

 

コート・ギャラリー国立が作成したチラシによると、今回の個展を次のように紹介しています。

「コート・ギャラリー国立では、菅澤薫の個展「歪な巣」を開催いたします。日常生活にあるモチーフの中にどこか不穏な空気が漂う作品を描く菅澤薫。同画廊初の個展となる今展では、人間に潜む欲と歪な心をテーマに、大作を中心とした約22点の新旧作を展示します。」としています。

 

まず、会場のこの写真を紹介します。

会場でお目に掛かった菅澤さんに教えていただいたのですが、この位置に立って、柱の右側と左側で作品を分けてみたとのことです。

 

まず、右側の硝子面の作品です。

「眩暈」 という作品

水面、そして水が大きく歪んでいます。

眩暈(めまい)とつけられた作品には、眩暈に感じる、水面や空間のゆがみを表現しているとのお話を伺いました。

そして、この絵の背景の硝子には、シャワーカーテンを吊し、外からの光を巧みに会場に入れています。

 

そして、その奥にある作品です。

「光の通り道」 という作品

水面の上を光が走る表現が菅澤さんらしい作品です。

シャワーカーテンを通して入る光と、隣の「眩暈」という作品の対比、調和で見ると、この作品の良さがさらに引き立つのではないでしょうか。

 

そして、これらの作品の反対側にある作品は、菅澤さんのこだわりの作品と思います。

「匂いの痕跡」という作品

この作品を見ると、洗濯ものの匂いの記憶がそう思わせるのでしょうか、それとも、菅澤さんの作品がいつの間にか私の記憶の中に忍び込んだのでしょうか、何か懐かしささえ感じてしまいます。

 

そして、この作品を良く見てみると、・・・

遠くから見ると気づかないのですが、近くで見ると、作品の中に、ストッキングが溶け込んでいます。

 

そして、もう一度この写真をご覧下さい。

これらの作品が、床に反射して、揺らいでいるのが分かると思います。

この光と揺らぎの世界が、作品と会場の全体で、特別な空間を創っています。

 

次に、会場入口の正面に掲げられた作品です。

「春あつめ」という作品

とても可愛らしく、春を感じさせる明るい作品ですが、菅澤さん独自の悪戯と言いましょうか、傘と洗濯もので菅澤ワールドを創りだしています。

 

そして、その横に掲げられた作品

「部屋と洗濯ものと私」 という作品

今回の作品展のテーマは、「歪な巣」としています。

この作品は、その斜めの構図から、まっすぐ掲げても、斜めに見えてしまうとの話が菅澤さんからありました。

確かに、歪さを感じる作品ですが、私には、斜めの構図の中でも、描かれた女性にむしろ安定感を感じます・・・。

菅澤さんの作品には、不安と揺らぎ、歪みがある一方、落ち着いた安定感があり、そのバランスが巧みで魅力なのかも知れません。

 

そして、この2つの作品を並べてみると・・・・・

光の効果と床の反射も含めてみると、菅澤さんがこの会場をとても研究し、作品を配置したんだなと思いました。

 

以上、大作を中心に紹介しましたが、会場には20点を超える作品が掲示してありますので、是非とも会場に足を運んでいただければと思います。

菅澤さんは、この3月、筑波大学大学院博士後期課程を修了し、新たな道を歩き始めるとのことです。もちろん絵を描き続けるとのことですので、今後も楽しみですし、頑張って欲しいと思います。

 

最後に、この会場がある国立は、私が学生時代を過ごした街です。

懐かしく思いながら、駅の周りを散策しました。

 

今日は以上です。