今日は、私の地元、町田市立国際版画美術館で現在開催されている「開館30周年記念展 浮世絵モダーン 深水の美人!巴水の風景!そして・・・」に行ってきました。(会期 4月21日(土)~6月17日(日))

 

この展示は、『浮世絵版画の超克を目指して大正初期に登場した「新版画」を中心とする、創作性の高い伝統木版を「浮世絵モダーン」とネーミングして紹介』するとのことです。

そして、「女性」「風景」「役者」「花鳥」「自由なる創作」の全5章の構成となっており、出品目録を見ると、なんと303点となっています。

第1章の女性部門でだけでも、72点、そのうち伊東深水の版画は19点となっています。

 

まず、最初に購入した図録、絵はがき、チケットです。

 

国際版画美術館の入り口です。

 

館内は、原則写真撮影不可ですが、撮影OKとなっている作品も多く、撮影した作品を中心に何点か紹介したいと思います。

今回、特に目をひく作品は此方ではないでしょうか。

 

「髪を梳ける女」 1920年 橋口五葉 

 

5月1日付け朝日新聞の夕刊の美術館博物館の記事で、この展示の記事が掲載されており、この作品も紹介されています。

そこでは、「背景に雲母(きら)刷りを施すなど浮世絵の手法を取り入れる一方で、滑らかな身体描写は西洋的。波打つように流れる髪には、アールヌーボの様式も見られます。」とあります。

橋口五葉(1881~1921)は、浮世絵研究に熱心だったものの、志半ばで急逝し、残っている作品は15点前後とされているそうです。

そのうち8点が展示されており、それだけでも見応えがありました。

 

此方の作品も撮影可でした。

「浴場の女」 1915年 橋口五葉

 

 

「化粧の女」 1918年 橋口五葉

 

現在、美人画がブームになっていますが、江戸時代の美人画からいきなり現代の美人画が生まれたのではなく、こうした作品が、正に分岐点の一つとして存在したことを知り、感動を覚えました。

 

もう少し時代が下り、こうした作品が紹介されています。

 

「近代時世粧ノ内一 ほろ酔い」 1930年 小早川清

 

「近代時世粧ノ内六 口紅」 1931年 小早川清

 

小早川清は、1899年福岡市博多に生まれ、19歳の頃、上京し鏑木清方門下になったとのこと。1924年に第5回帝展に初入賞、その後、出品を続け、第14回帝展では特選を受賞しているとのことです。

これらの作品は、「強い色彩を用いた作風、目力の強いエキゾチックな顔立ちが特徴」となっています。

 

そして、次のような作品が、「自由なる創作」部門で紹介されています。

「ダンサー(レヴュー)」 1932年 小早川清

 

「舞踏」 1934年 小早川清

 

さて、伊藤深水の作品は、写真撮影可のものはなかったのですが、図録から1点此方の作品を紹介したいと思います。

 

「対鏡」 1916年 伊藤深水

 

この作品は、「深水自身の解説によると、深い紅と黒髪に間にのぞく襟足の美しさを主眼とした」とのことであり、

「この赤と黒、女性の白い肌、といった色彩のコントラストは、深水のこの作品以来新版画の美人画に通底する色彩」(高橋松亭の作品解説)との解説が図録でされています。

 

この解説を読み、頭に思い浮かべたのは、この作品です。

「きおくの園に、」丁子紅子

 

日本女性の美しい黒髪、白い肌、そしてそれを生かす赤が、伝統的な表現として、現代に引き継がれている。

そんなことを実感できました。

 

以上、女性の作品の部分だけの紹介になりましたが、その他の作品も興味深く、大変楽しめた展示でした。