横浜中華街の画廊art Truthでは、今日1月10日(水)から21日(日)まで、「woodcut colletion 5 -木よりいづるものたち-」と名打って、粟千紗都さん、小田沙馥枝さん、鈴木ひろみさん、中島尚子さんの4名の版画作家による木版画作品展が開催されています。

 

今日、私は仕事帰りにart Truthに寄ったところ、店主のにしうみさん、そして、中島尚子さんと、粟千紗都さんが在廊されていました。

中島尚子さんは、昨年の3月に初めてお目にかかり、今回は2回目。そして、粟千紗都さんは初対面でした。

 

4名の方々の作品を、何点か紹介していこうと思います。

まず、中島尚子さんです。

 

「バラープレイガール」という作品

プレイガールという一重咲きのピンクの薔薇を描いた作品です。中島さんのお話では、バラ好きのお母さんが育てているバラを描いたとのことです。

バラの花びら一枚一枚、そして雄しべ一本、一本を、丁寧にそして繊細に描いており、また、淡いピンクの色彩により、優しい情感溢れた作品に仕上がっています。

薔薇好きの私にとって、この優しい色彩は、大変新鮮であり、とても魅了された作品です。

 

「カマキリ」という作品

ゴーヤの花の裏に潜んだ、小さなカマキリを描いた作品です。

中島さんが、このカマキリを見つけたときの姿が目に浮かびます。

こんな所にカマキリが!小さいくせにしっかり獲物を狙うポーズをとって一人前のカマキリみたい!と思いながら、花の裏側を覗き込んで、夢中になって脳裏にその姿を焼き付けようとしている姿・・・。

前回の作品展の作品もそうでしたが、動物や昆虫、花々の一瞬一瞬の姿をいきいきと描き出す中島さんらしい作品です。

 

「犬ー茶太郎」

柴犬、茶太郎です。

昨年は、猫を描いていましたが、今年は犬に挑戦したとのことです。犬を描いた小品が数点展示してありましたが、私は、この茶太郎が犬の気持ちまで捕らえた作品に思えて、最も気に入った作品でした。

 

昨年の作品展の感想を書いた私のブログはこちらになります。

中島尚子個展「美しもの日誌」(於 art Truth)”生き物を愛する純粋な心”が感じられます!

 

次は、粟千沙都さんの作品です。

「永い夢の記憶」という作品

三日月が、明るく照らす夜。昼と見間違えるほど光が溢れています。

明るいオレンジ色は、夢の中で見た家でしょうか?懐かしく、でも不思議な印象がします。

心地よい、夢の記憶。

色彩と造形が魅力的な作品です。

 

「愛しい悪魔」という作品

「愛しい悪魔」です。何とも可愛らしい悪魔?です。

そして、鮮やかな色彩が魅力です。

これフクロウですかと私は、粟さんに尋ねました。

ええ、そうです。でも、愛しい悪魔と名付けました。

その返事に私は、妙に納得しました。

 

「月夜の密会」という作品

こちらも、明るい月夜のジャングルです。

まん丸としたトカゲと蝶が描かれています。淡い輝くような色彩の世界が心地よい作品と思います。

 

 

小田沙馥枝さんの作品です。

冬の池(スケート)という作品

背景には、白く雪が積もった山谷が連なり、その下には、木が一列に並んで茂っています。

広い平原に丸い池があり、氷が張り、3人の男の子がスケートをしています。

寒い冬の景色ですが、暖かさと楽しさが溢れた作品です。

小田沙馥枝さんの作品は、これまで何度か拝見していますが、必ずそこには、物語があり、夢があり、暖かさがあると思います。

 

なお、一昨年の5月の作品展の感想を書いた私のブログはこちらになります。

「小田 沙馥枝 版画展」 漂う風に乗って、その先へ… 於 art Truth

 

「1月、山小屋」という作品

1月の山小屋の風景を描いた作品です。

黒だけの版画ですが、この作品を見ていると、気落ちがワクワクしてきます。

山から顔を見せているお日様を、こんなにさりげなく画いてしまう小田さんを凄いと思います。

 

鈴木ひろみさんの作品です。

「Sorrow・・・」という作品

「Sorrow」は悲しみを意味していますが、私には寂しさという意味合いより、「哀愁」を感じます。

木版画の木目、そして色合いが、作品の情感を増幅させているように思います。

 

「Silent」という作品

此方の作品も、木版の木目や色彩が、独特な情感を醸し出しています。

 

前回の鈴木ひろみさんの作品展では、人物の作品の印象は有りませんでしたが、情感溢れる作品展でした。

鈴木ひろみ木版画展「夜と朝と昼と、その間」(於 art Truth) 心地よいノスタルジーの世界

 

以上、同じ木版画とはいえ、4人の作家さんの作風は全く異なっており、それぞれの異なる世界を楽しむことができた作品展でした。