今日は、大変楽しみにしていた第43回現代童画展を見に、上野の東京都美術館に行っててきました。

 

まず、最初に購入した作品集と作品の写真です。

 

数多くの作品が展示してありましたが、私の主観により、気に入った作品を何点か紹介したいと思います。

まず、圧巻だったのは、写真を購入した小澤清人氏の作品です。

 

「虞美人草」及び「裸婦習作」小澤清人

「虞美人草」という作品は、右の「裸婦習作」の作品の女性に、全身に蛇の入れ墨を施した作品です。

幼いとき、銭湯に行くとかならず全身に入れ墨を施した男性がいることが普通のことでした。実は、私の家のすぐ近くにやくざの親分の家があり、やくざ者は身近な存在でした。

当時、女性の入れ墨姿は見たことはありませんでしたが、穏やかな女性の表情と見事な入れ墨に、身近な存在だった入れ墨の記憶を思い起こしました。

女性の姿は、昨年、黒田清輝展で見た「智・感・情」の3人の裸婦像も思い起こしますが、この作品は、一定以上の年配者の子どもの頃の

記憶の中に浮き沈みをする入れ墨の神秘の記憶を思い起こす、まさに童画に相応しい作品ではないでしょうか。

 

「花大砲-野の風-、花大砲-潮の風-」有賀忍

大砲からたくさんの花が飛び出しています。人々や喜んで花を集めています。

こんな時代だから、この作品の価値があると思わず思ってしまう作品です。

フランスの童話に、チトという少年が何にでも花を咲かせる才能を持っていて、最後は、戦争に使う大砲にも花を咲かせる童話があるそうです。(モーリス・ドリュオン作)

この絵が、その童話の話をもとにしたかどうかわ分かりませんが、この作品も、夢に溢れる童画と感じてしまいます。この作品のモチーフについて是非とも有賀先生に伺ってみたいところですが、いずれにしても、さすが、あの「こんなこいるかな」の有賀先生!と思ってしまう作品です。

 

「テニスの日」糸井邦夫

糸井先生の絵の視点は、遠くから俯瞰しながら、スマッシュをするプレイヤーを大胆に前面に描いています。

ぶつかりそうな色合い、そして構図も、見事に統一されており、糸井マジックと言えそうな作品です。

 

こうした作品を拝見すると、若い方々よりベテランの方々が大胆に活躍していると感嘆してしまいます。

 

「きおくの園に、」丁子紅子

今年の丁子紅子さんの作品も、このように見事な作品です。

丁子さんの作品は、赤い唇、赤いひも、燃え立つ赤い羽毛(?)が印象的ですが、この作品は着ているものも赤く燃え上がっており、また、長い黒髪にこれほど動きがあるのは、これまでの作品とは異なる激しい作品と、まず、そういう印象を受けました。

 

実は、その後で、丁子さんとお話しをすることができ、今回の作品は、特に『無意識』をこめたとのお話しを伺いました。

笑顔で話された彼女の話をかみしめながら、この作品を、鑑賞する方それぞれが、それぞれの心で鑑賞出来るということが大切だと思っています。

 

「静けさは闇にとける」戸井田しづこ

戸井田さんの作品です。戸井田さんの描く女性も、実は様々な表情をしているのですが、この作品の女性、そして表情は、彼女が最も素直に描く女性のはずであり、そして私が好きな作品です。

ただ、全体に白く、遠くに浮かんでおり、深い夢の中に浮かぶ姿の印象がします。

 

「浦島今様 一」佐藤美絵

 

確か佐藤美絵さんは、切り絵の手法で絵を描かれているとのことです。

黒の枠どり、色使いが印象的であり、そして、何よりも日本の原風景を見事に描き出す、その作品にはいつも感動してしまいます。

2匹の鯨が泳ぐ様が描かれていますが、浦島伝説をイメージして、この作品を見ると、創造が膨らみます。

 

「ボートあそび」コムロレイコ

クマの親子が、ボートで遊ぶ作品です。

コムロレイコさん独特の色使いで描かれた動物たちの世界が、いつも楽しく、印象的です。

 

「星たちが横たわるこの場所で」そめやじゅん

そめやさんの、いわば心象風景と思われる独特な世界です。

残念ながら、写真では、微妙な光を捕らえられていませんが、この闇と淡い光の中で、優しさを感じることが出来る作品に仕上がっていると感じました。

 

「ママはおでかけ」さえサエコ

さえサエコさんの、ピンヒールの作品です。

ピンヒールから得ることが出来る夢、踊るその姿に女心と楽しさを感じることが出来る、思わず、微笑んでしまう作品です。

 

今日は、この程度にします。

まだ、紹介したい作品がありますので、今回も、昨年と同様、続編を書こうと思っています。