今日は、現在、国立西洋美術館で開催されている「シャセリオ-展」について触れたいと思います。
シャセリオ-展は、2月28日から5月28日の期間で開催されており、新聞の記事を読み、是非、見に行きたいと考えていました。
新聞の記事、それは2月23日の読売新聞の夕刊、「19世紀美術埋もれた系譜」(喜多崎 親 成城大教授)で紹介されていました。また、3月15日の毎日新聞の夕刊には、「ロマン主義の異彩シャセリオ- 一閃の光芒にも似た衝撃力」(高階修爾 大原美術館館長)と題し、1856年10月、37歳で亡くなったシャセリオ-の葬儀について書かれたドラクロワの日記に、若いモローもいたと記されていることをあげ、「この時ドラクロワは58歳、ギュスターヴ・モローは30歳。シャセリオ-の死をはさんで、ロマン派の巨匠と後の世紀末象徴主義の大家の生涯が交わるこの出来事は、19世紀フランス絵画の隠れた水脈を照らし出す一瞬の燈火ともいうべきものであろう。」と書かれていました。
この記事を読み、これまでよく知らなかったシャセリオ-について知りたい思っていたところ、先週、ようやく見に行くことが出来ました。
国立西洋美術館の前には、このような看板が掲げられていました。
ここに描かれた絵は、「カバリュス嬢の肖像」という絵で、今回のシャセリオ-展の象徴ともいうべき絵で、会場に行かなくとも、多くの方がこの絵を目にしていると思います。
また、チケット売り場の絵の前には、この絵が掲げられていました。
この絵は、シャセリオ-の若い頃の自画像です。
最初に、購入した図録と、絵はがきについて掲載します。
シャセリオ-は、1819年生まれ、11歳の時、その才能を認められ、新古典派のアングルのアトリエに入門し、修行したあと、ドラクロワに傾倒し、ロマン派に加わり、独自の画風を確立し、華々しい活躍をみせたもの、37歳の若さでなくなっています。
さて、作品を見て、私の印象に残った作品を、図録により、少し触れてみたいと思います。
「女性半身像」1840ー41年
これは、悲しむ女性を描いたスケッチ画ですが、シャセリオ-は、繰り返し悲運の女性を描いたとされているようです。
このスケッチに見られる表情が、その内面も深く描いているように思われ、大変印象に残りました。
「アレクシ・ド・トクヴィル」1850年
法律家、政治家、歴史家として著名なアレクシ・ド・トクヴィル
を描いた絵です。トクヴィルとシャセリオ-大変親しく、家族ぐるみの付き合いをしていたそうです。
この絵を見ると、トクヴィルの知性に溢れた表情、手の力強さがとても印象的です。男性を描いた絵で、これだけ印象に残る絵は、あまりないと思いました。
「アポロンとダフネ」1845年
太陽と詩の神アポロンの求愛を逃れるため、河の神の娘のダフネが月桂樹に姿を変える場面を描いた絵です。
ダフネの足は、すでに木の根にかわり、もうその意識もない状態です。
悲しく、美しい絵であり、その色彩や構図も、舞台を見ているかのように鮮やかで動きがある絵と思いました。
神話好きの私にとって、大変魅力的な絵でした。
また、この絵と同じモチーフのギュスターヴ・モローの絵も展示してあり、印象深かったです。
カバリュス嬢の肖像
当時、パリで最も美しいと言われたマリー=テレーズ・カバリュスをモデルにして描いた絵です。
西洋の美人画とも言うべきこの絵は、間違いなく、今回の作品の中で目玉となる絵と思います。その美しさもあると思いますが、少し憂いを感じさせるような表情からも、シャセリオ-が心をも描こうとしていたことを感じさせる絵ではないかと思います。
そのほか、「泉のほとりで眠るニンフ」1850年も素晴らしかったです。
以上、19世紀に異彩を放ったシャセリオ-を、大変満喫することが出来ました。