マルク・シャガール。ロシア出身のフランスの画家であり、1887年に生まれ、1985年に亡くなっています。最初の妻ベラを一途に愛し、ベラへの愛や結婚をテーマとして多くの作品を残していることから、『愛の画家』とも呼ばれています。

シャガールは、誰でも知っている、あまりにも有名な画家です。私が、初めて、シャガール展を見に行ったのは、大学の時、大変親しかった友人と二人で見に行ったのが最初です。

その友人は、関西出身であり、私とはだいぶタイプが違う人物だったのですが、不思議と馬が合い、よく二人で行動していました。

彼は、本人曰く、ガールフレンドを探すために、大学の美術部に入っていたのですが、絵にも多少は興味があったと思います。ちなみに、私は、高校の時、授業で美術を専攻し、高校までは油絵を描いていました。

私と、二人でシャガール展を見終わった後、開口一番彼が言ったのが、「鳥がたくさんいたな!」だったかと記憶しています。

残念ながら、そのときの図録やチケットなど、何も残っておらず、正確な日時も、今となってみると、すぐには分かりません。

その後、シャガール展として見たのは、2002年4月から7月に東京都美術館で開催された「マルク・シャガール展」です。

そのときの図録と、チケットは、次の写真です。

シャガールの魅力は、何と言っても、その色彩ではないでしょうか。

正直、大学時代の友人が言ったように鳥がたくさん描かれていますが、鳥だけでなく、牛、馬、山羊、様々な動物が描かれています。それと、ユダヤ教をテーマとした絵、花嫁と花婿、天使などなど描かれています。その絵の意味するテーマを考えようとする前に、その色彩の暖かさに、まず、魅了されてしまいます。その色彩から、人間愛を感じてしまいます。

それが、何と言っても、シャガールの魅力と私は思います。

次の絵をご覧ください。

「誕生日」という作品です。愛するベラが自分の誕生日を祝ってくれる絵なのでしょう。喜びのあまり、シャガールは宙に浮いています。

シャガールの絵に数多く出てくる、花嫁と花婿を主題にした絵です。1938・39年とあります。

おそらく、これもベラとの愛をテーマにしているのでしょう。

しかし、ユダヤ人であるシャガールは、第二次世界大戦中、ナチスから逃げ、亡命していたアメリカで、最愛の妻ベラを1944年に亡くします。そのときのシャガールの悲しみは、どれだけ深かったのでしょうか。

彼は、悲しみや苦しみのテーマでさえ、明るい色彩の中で、描きあげている、そこに、彼の特異性があるのかもしれません。

さて、私の大学の友人ですが、その後、美術部で美人の彼女を見つけ、結婚しました。

そして、最近彼から来る年賀状は、一人娘が産んだ孫の写真がのっています。

若めのおじいちゃんかもしれませんが、それでも、そんな年賀状を見ると、それなりに時間が経過したことを感ぜずにはいられません。