今、小倉智昭さんのコラムが話題になっているそうです。

 

 

ネットでは有料記事なので、私は紙面で読ませていただきました。

 

この中で印象的な部分・・・

体が動くうちに海外旅行をすればよかった。

ワインのおいしいお店に行っても自由に飲めない。

若いうちにやれることがあったらやったほうがいい。

老後にやろうと思っていても、老後になるとできないことがあまりにも多すぎる。

 

・・・本当にそう思います。

 

 

私もありがたいことに還暦手前。

歳をとるというのはこういうふうになるんだ、ということを日々実感しているところ。

頭ではわかっているつもりでも、実際にそうならないと本当にはわからないもんです。

 

 

 

私は43歳で癌になって、47歳でステージ4になって。

そりゃあ、いろいろ諦めて覚悟しました。

 

どうして病気に自分の人生を奪われなきゃいけないんだと悔しい想いにもなったし、

 

これでおしまいなんだと思ってしまったこともあります。

 

 

 

でも、冷静になって考えてみると、

選択肢は私にある。

 

 

 

できるだけ長く生きるというより、

私はできるだけ元気でいたい。

長さより濃さ、密度。

 

そのために体調を維持できる治療を選択しました。

 

 

 

そして、

やりたいことは今やらないとできなくなる

だから、周囲になんと言われようと私は私のやりたいようにやる

と決めました。

 

 

 

その決断の1つに、

標準治療を抜けて自由診療の世界に入っていきましたが、

誰かに何かを言われた覚えがないんです。

 

それは、実際に私の周囲の人が思いやって私の決断をうけいれてくれたんだとずっと思ってきたけど、最近はネガティブな話は拒絶していたのかもしれないなと思うようにもなりました。

 

全く誰にも何にも言われないということはさすがになかっただろうと今では思います(笑)。

 

 

 

 

その他にも、仕事を続けたこと。

 

これはたしか、お姑さんには「辞めたら?」と言われたような覚えもありますが、私のためというより、孫や息子のためという言い方だったので反発したような気がします。

 

仕事をすることは私にとって社会とつながること、

社会に必要な人間だと自己確認するための活動だったということ。

 

幸い、友人はもちろん夫や娘は応援してくれていたし、会社側からもぜひ復帰してくれと言っていただけたのがありがたかったです。

 

 

 

一方で、仕事を続けながらも、

子供は小さいし、病気持ちだしで、周囲には迷惑をかけたかもなぁと思います。

 

残業当たり前の業界で、時短選択せずにフルタイム定時帰りを維持したり、

代休・有休消化率が非常に低い会社の中で、完全100%消化する等、

令和の今なら当たり前かもしれませんが、その当時はきっと現場では非難轟轟だったろうなと思うのです。

 

それでも、私に他の人と変わりなく、機会を与えてくれたし。

 

癌患者になりたての頃は腫れ物に触るような扱いで降格もされたし現場からはずされたりもしたけど、今思うと、私のような若くて重病人になった社員がいなかったので会社側もどう扱っていいのかわからなかったんだと思います。

 

また一方、会社側も慣れてきたのか、会社員時代後半は、ある意味「がん患者」差別を全くされず、逆にどうして病人の私に無理難題を押し付けるんだと泣いていたけど(笑)。

 

 

 

 

さらに、やりたいことはやろう!行きたい場所には行こう!と決めて。

 

海外旅行に行きまくったし、友達と会食・飲み会にも行きまくった。

「子供がまだ小さいのに大丈夫?」を聞かれることはよくあったけど、

子供が小さい頃は夫にまかせる限界(二泊三日)で海外に。

子供が小学5年生あたりになったら自分でなんとかできるようになっているので、一週間弱なら平気。

多少の近場なら娘と一緒に海外に飛んでいっちゃうくらいのノリでした。

 

今の時代だったら、娘と二人で数か月の海外留学してたかもなぁと考えたりもします。

 

 

 

 

少しでも元気でいたい。

少しでも元気で長くいたい。

 

そう願いつつ、

 

ステージ4だし、

転移は繰り返されるし、

肝臓にも転移しちゃったし、

 

私が老後を迎えることなんてないんだろうな~と腹の底では思っていました。

 

 

 

 

だが!

 

 

 

なんとなんと、ここまで生き延び。

 

もうすぐ還暦。

 

もうすぐ老後やんけ。

(今でも老後(笑))

 

 

 

身体もいろいろガタが出て、

長い階段の先にある神社とか、

高い山の上まで歩いていかなきゃいけなさそうな世界遺産とか、

長距離で何度も飛行機を乗り換えて移動しなくてはいけなさそうな秘境観光地とか、

 

 

 

もはや行く気力も筋力も体力も、それらを鍛える気もないんです。

 

 

 

じゃあ、後悔があるかというと、

癌になってから行きたいとこに行こうと動いたからこそ、

そこそこやりきった感はあって。

 

癌のおかげと言っちゃ少し悔しいけど、振り切っていくことができたと思ってます。

 

きっと元気のままだったら、

仕事中心で育児中心で老後資金中心で、

『やりたいことは老後に』と気持ちを溜め込んでいたと思うから。

 

 

 

本当に、やりたいことはやりたいときにやらないと。

 

どこまで生きるかなんて誰にもわからないんだし。

 

やり残して、できなくなったときにそうと気付くのは悲しくないですか?

 

 

 

残念なのは、老後を迎えると思っていなかったので老後資金が少ない。。。

能天気な夫は「なんとかなるっしょ!」と明るいけど、

不安症な私は「なんともならないよ~」と暗くなる。

 

 

 

でもきっとなんとかなる!

そう思って、今日も私はどこに旅行に行くかを考える。

それが今の楽しみ。