左側が、以前から持っているもの。
右側が、近年入手したもの。
一見同じCDだが、実は中身が、かなり違うのだ。

このタイトルは、1978年に2枚組のLPレコードとして発売された、アリスのライヴアルバムである。
物凄いヒット作であったと記憶している。
当時中学生だった僕は、友人がカセットテープに録音してくれたものを、それこそ飽きる程聴いたものだ。
楽曲はもとより、曲間のMCまで諳んじる程に。

1980年代に、音楽メディアの中枢がレコードからCDへと移行すると、このタイトルもCD化された。
左側のCDは、その時に発売されたものである。
LPレコードで2枚組であったものが、何故CDだと1枚で済むのか・・・甚だ疑問ではあったが、聴いて納得そしてがっかり。
楽曲が4曲カットされ、そしてあろう事か、曲間のMCに至っては、その殆どが割愛されてしまっていたのだ。
MC抜きで聴くアリスのライヴの、何と味気ない事よ。

何故、斯様に無粋な真似をしでかしたものか、全く以て理解に苦しむが、思えばこの折の「がっかり感」が、僕にライヴに於けるMCの重要性を、再認識させる契機となったものやも知れぬ。
それは最早、単なる楽曲の紹介ではなく、その曲の重要な「枕」であるのだと、つくづく思い知った次第にて。

さて。
薄々お察しの事とは思うが、右側のCDは後に発売された所謂「完全版」である。
パッケージの中身は案の定、2枚組だ。
若き日に聴き馴染んだ楽曲そして「枕」の数々も、全て完全に網羅されている。

今あらためてそれらを聴きながら「それにしても」と、しみじみ思うのだ。
MCの時の間の取り方までも、今の自分は、この頃の谷村氏の影響下にあるのだなぁ、と。
やはり何事につけ、思春期に於ける刷り込み効果というのは、絶大なものであるらしい。