実家で再会した、懐かしのギター達。
シリーズその3。

僕だって世間並みに、ストラトキャスターの一本位は持っているのだ。
日本製だが、僕が現在所有している、唯一のフェンダーギターである。

まだ20代の若者だった頃。
オリジナル曲を演奏するバンドを組んで、ライヴハウスに出演し始めた当初は、これがメインの一本であった。

丁度ギターの改造にも夢中になっていた時期で、ピックアップを交換したり、色々な配線を試してみたり・・・そういった事を楽しむのに、ストラトキャスターというギターは、その構造や市販パーツの豊富さからして、格好の素材でもあった。
もしかしたら当時は、ギターを弾いている時間よりも、半田ごてを握っている時間の方が長かったやも知れぬ。

現状、ピックアップなどの電気部品は純正品に戻してあるが、糸巻きやブリッジは改造品のままである。
こちらの方が、俄然使い勝手が良い。

変なシールも貼ったが、これは改造のうちには入らない。

1980年代前期に製造された楽器である。
「JV」という頭文字を持つ製造番号が、それを示している。
この種の製造番号を有する個体は現在、随分と中古価格が高騰している様だ。
知った事ではないが。

入手したのは、大学生の時だ。
八百屋で買った・・・と言うと誤解を招きそうだが、あながち嘘ではない。

話を端折らずに、分かり易く説明すると、当時僕は、下宿の近所の八百屋の息子やら薬局の倅やらと一緒にバンドをやっていて、このギターは、その八百屋の息子氏から格安で買い受けたものなのだ。

丁度、一万円紙幣の肖像が聖徳太子から福澤諭吉に切り替わった頃で、そのいずれであったかは記憶にないが、兎に角それを一枚、彼に手渡す事によって、このギターは僕の物になったのである。
今週末の「うさみみスタウト」は、日曜日に名古屋でライヴです。
聴き応え満点の顔ぶれでお送りする、福井大輔氏の主催イベント。

近隣の方、若しくは当日近くに居られる方。
お時間ありましたら是非、お立ち寄り下さい。

1月19日(日曜日)
「Meeting of the A "NEXT" Vol.29」
名古屋本郷「アルマジロ」にて
17:30開場/18:00開演
チャージ:1500円+オーダー
出演:うさみみスタウト/霈音ユリ/のぶロック(ソロ)/福井大輔
実家で眠っていた、懐かしい楽器その2。
ヤマハのSGだ。

1980年代前半に、一世を風靡した機種である。
懐かしく思われる御仁も多かろう。

正月に帰省した折、随分と久し振りに弾いたが、コンディションは上々で、ネックもビシッと真っ直ぐのまま。
ボリュームコントロールに少々ガリが出ていたが、長期間放置していた割に、不具合といえばせいぜいその程度である。
流石は日本製の高級品だ。
細部の工作精度も素晴らしい。
当時の日本の楽器メーカーの、意地を感じる造りである。

身の程弁えず奮発して買ったものだから、学生時代は、これが不動のメインギターであった。
遠目の写真では綺麗に見えるが、あちこち傷だらけである。
一番ギターを練習した時期でもあったし、学祭バンドなどでかなり酷使したから、無理もあるまい。
大学を卒業して、ライヴハウスなどに出演する様になってからは、何故かあまり使わなくなってしまった。

いざ弾いてみると、中々に感動的な弾き心地である。
ネックのシェイプなど絶妙で、驚く程弾き易い。
ボディの抱え心地も悪くないし、出音も伸びやかで、和音の分離も良い。
今現在、欲しい音色では決してないのだけれど、エレキギターとしての完成度は、本当に素晴らしいものである。
こんなに良い楽器を、何故使わなくなってしまったのか。
当時の自分に小一時間、問い質してやりたい気分になった。

だが、しかし。

程なくして僕は、その問いに対する明確な答えを、思い出す事となった。

椅子に座って暫く弾いていると、ギターを載せた右脚が、段々と痺れてくる。
そう。
このギターは、凄まじく重いのだ。

座って弾けば、脚が痺れる。
立って弾けば、ストラップを掛けた肩が凝る腕が痺れる。
これはいけない。
ギターは、意地と根性で弾くものではない。

それでもこの日は、再会の懐かしさもあってか、夢中になって弾き続けてしまい、気がつけば朝方になっていた。
すっかり感覚の無くなった右脚も心地良い、1月2日の早朝であった由。

たまに里帰りなどすると、実家では思い出深い楽器達が、僕を待っていてくれる。


中でもやはり、最も思い出深いのは、生涯で一番最初に所有した、この一本であろう。

今を去ること、40年前。
中学生の時に、初めて手にしたモーリスである。
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安手の合板ギターだが、それだけに丈夫に出来ていて、今なお元気の良い音色を奏でてくれる。
帰省時に最も手に取る事の多い、実家ギターのエースだ。
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このギターにまつわる思い出で、一番忘れ難いのは、ギターを始めてまだひと月も経たない内に、クラスの合唱の伴奏を担当する羽目になってしまった事。
 
確か学級対抗戦の形式で、学年ナンバーワンのクラスを決定する、コンクール的な催しであったかと。
選曲はクラス毎に自由とされていて、我が級友達の選んだ楽曲は、中村雅俊の「青春貴族」。
昔の人気青春ドラマの、挿入歌である。
 
何故、伴奏者に僕が指名されたのか、その経緯は記憶に定かではない。
級友の中には、ピアノの弾ける女子も居た筈なのだが・・・もしかしたら、悪友達の罠に嵌められたのかもしれない。
 
渡されたのは、曲の入ったカセットテープ一本のみ。
譜面など何処にも無いから、期日までに耳コピーをするしかない。
ところがいかんせん、こちとらギターを始めてまだ数週間の身である。
かのFコードも、まだ克服出来ていなかった頃と思う。
兎にも角にも、知っている限りのコードをそれらしく繋ぎ合わせて、一応の形にはした。
勿論けっして上手な演奏ではなかったとは思うが、本番でもどうにかこうにか、事なきを得たものと記憶している。
 
これが僕の、ギタープレイヤーとしての初舞台であった。
場所は中学校の体育館。
ステージ上に並んだクラスメイト達と、客席を埋め尽くした他のクラスの同級生達の、沢山の視線に囲まれて、それはもう凄まじく緊張した事だけは、とてもよく憶えている。
 
その時に演奏した、懐かしい楽曲が収録されたCDを、実は最近入手した。
ここ数日、遠い目をしながら、聴き耽っている次第である。
 
先日長居にて、2度目の競演をさせていただいたシンガーソングライター嬢。
弱冠二十歳ながら、素晴らしい才の持ち主である。

彼女の愛器が、これまで観た事の無い風情のもので、尚且つその音色も大変個性的であった為、お願いして詳しく見せていただいた。

よくよく見れば、ヘッドは可愛らしいワンちゃんである。

指板上のポジションマークは、その足跡。

きわめつけ。
ブリッジは何と、好物の骨を象ったものである。
素晴らしくキュートなデザインだ。

聞けば、このギター。
実の姉君の手による、ハンドメイド品だとか。
勿論きちんと、その筋の専門学校で学ばれて、ギター製作の技能を習得しておられる由。
揃いも揃って、なんと才能豊かな姉妹であろうか。

彼女の演奏活動は、地元の新聞紙上でも取り上げられる程注目されていて、自ら出席する成人式でも、演奏を披露する事になっていると伺った。
だから昨日は、このギター独特のカラリとした音色が、彼の地に華々しく響き渡った筈だ。

ご成人の儀、心よりお祝い申し上げる次第である。