監督:トッド・フィリップス
主演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、ブレンダン・グリーソン
 
「バットマン」に悪役として登場するジョーカーの誕生秘話を描き、第76回ベネチア国際映画祭で金獅子賞、第92回アカデミー賞で主演男優賞を受賞するなど高い評価を得たサスペンスエンターテインメント「ジョーカー」の続編。トッド・フィリップス監督と主演のホアキン・フェニックスが再タッグを組み、ジョーカーが出会う謎の女リー役でレディー・ガガが新たに参加した。
 
理不尽な世の中で社会への反逆者、民衆の代弁者として祭り上げられたジョーカー。そんな彼の前にリーという謎めいた女性が現れる。ジョーカーの狂気はリーへ、そして群衆へと伝播し、拡散していく。孤独で心優しかった男が悪のカリスマとなって暴走し、世界を巻き込む新たな事件が起こる。
 
トッド・フィリップス監督のほか、脚本のスコット・シルバー、撮影のローレンス・シャー、前作でアカデミー作曲賞を受賞した音楽のヒドゥル・グドナドッティルらメインスタッフも続投。第81回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。タイトルの「フォリ・ア・ドゥ(Folie à deux)」は、フランス語で「2人狂い」という意味で、ひとりの妄想がもうひとりに感染し、2人ないし複数人で妄想を共有することがある感応精神病のこと。(映画.com)
 
ジョーカー フォリ・ア・ドゥ
Joker: Folie a Deux
2024/アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
 

 

観客の期待<<<監督の意向 

 

続編と聞いて期待感を感じたものの、
やはりどこかで「思ってたのと違ったら、、、、」という懸念を感じていた。
 
その懸念の半分は当たってしまったが、
みんなが言うほど悪くはないと思った。
 
だけど、前作に熱狂したファンが期待していた続編ではないという事は間違いないと思う。
 

 

  グッと来た点

 

①ホアキン・フェニックス
 
やっぱすごいわホアキン。
 
肉体改造はもちろんだけど、
表情、声、そこから出るオーラ。
全てが別格
 
アーサーとジョーカーで全然雰囲気も変わるし、
ジョーカーサイドで声を張り上げた時の迫力。
これもすごい。
 
あと、看守にボコボコにされる時に階段から転げ落ちたり、
壁に頭を打ちつけたりするのだが、
これがめちゃめちゃ痛々しい。
 
全てがさすがだった。
 
 
②ブレンダン・グリーソン
 
2年前に観た「イニシェリン島の精霊」以来のブレンダン先輩。
 
少し久しぶりだったから、
あれ?指が全部ある!?
 
と、イニシェリンとこんがらがってしまったが、
憎たらしくも、どこか憎めない看守ぶりを好演。
 
個人的にはベストなキャスティングだった。
 
 
③ドラマパートの不穏さと音楽
 
歌を除いたドラマだけに目を向けると、
前作からの不穏さはゴリゴリに継承している。
 
蔑まされた者の怒りと憎しみが、
鍋の底でグツグツ煮えたぎっているような感覚。
 
この不穏さに寄り添う重厚なBGMは、
前作から続けて使われている物もあって、
この雰囲気こそジョーカーだなと感じた。
 
 
④画面全体が持つパワー
 
トッド・フィリップスの画、
やっぱ好きだわぁ。
 
荒廃した街のトーンとか、
ジョーカーを舐めるカメラワークとか、
光の使い方とか。
 
アーサーが置かれている状況の表現が終始カッコ良かった。
 

 

  惜しい点

 

①歌の使い方
 
ミュージカルっぽくなってしまった事は許容出来るのだが、
この作品の価値を下げてしまったのはその使い方だと思った。
 
ジョーカーの妄想で歌唱パートになるのだが、
「それいいから早く続きを見せてくれ!」
これだった。
 
現実世界とはちがうセットでアーサーとリーが歌い出すと、
「またかよ、、、」
と、テンションが落ちる。
 
福本伸行のカイジシリーズでいうと、
「限定じゃんけん」のスピード感のあるヒリヒリした心理戦がジョーカー1だとしたら、
2は「和也編」。
悪い福本が出てしまったパターン
 
現実の話が進まない割に、回想や独り言が多く、
少し進むだけで単行本一冊使うあの感じ。
 
作品の雰囲気とか、
相変わらずめちゃめちゃいいのにもったいなかった
 
 
②それやるならもっと早くやれたやんけ
 
終盤も終盤。
 
裁判所が爆破され、
ジョーカーはそこから抜け出し街を駆け回る。
 
ちなみにこのシーンはとてもかっこ良かった
 
だが、爆破やれるんならもっと早い段階で爆破して、
ジョーカーが街に放たれ、
群衆を巻き込む大騒動に発展した方がテンション上がった。
 
最初から最後までアーサーは自由を奪われたままだったので、
どうしてもジョーカーの行動範囲が狭く、
前作と比較しても展開の弱さを感じてしまった
 
 

  感想

 

リー役のガガ様は仕事をしっかりやり切っていた。
 
ガガ様が出ても世界観は維持されていて、
ホアキンに迫るパフォーマンスを出していた。
 
ただ、リーを出してしまった事で、
アーサーの恋物語になってしまって、
もっと広げられたはずのスケールが前作よりも小さくなってしまった
 
ラストでは頭がおかしくなった囚人に刺され、
アーサーはあっさり殺されて終わる。
 
観客が望んでいたであろう「名もなき者の反逆」は起こらず、
アーサーの怒りは妄想のまま、
全てが不発に終わった。
 
これはこれで作品としては面白かったが、
もっとよく出来たはずというのが拭えない
 
ジョーカーという作品を生み出し、大ヒットし、
その続編を作ることになったのであれば、
今巻き起こっている賛否は仕方ないことだと思う。
 
もし、トッド監督がこの状況を意図して作っていたとしたら、
監督が1番のジョーカーだ。
 
前作に比べて明らかにトーンダウンしているし、
物足りないのは間違いないので、
期待値をしっかり下げて鑑賞するのがオススメかな。
 
続編って難しいね。
(やっぱターミネーター2はすげぇわ)