監督:瑠東東一郎

主演:岸優太、竜星涼、矢本悠馬、森本慎太郎、りんたろー、恒松祐里、吉岡里帆、高良健吾、尾上松也、田中圭

 

秋田書店「週刊少年チャンピオン」にて連載された小沢としおの同名コミックを実写映画化し、問題児だらけのクラスに転入した男子高校生の熱い友情と成長を描いた青春アクションコメディ。
4つの女子高に囲まれた私立武華男子高校に、「彼女を作りたい」という理由だけで転校してきた高校1年生の門松勝太。しかし彼が入ったクラスは、校舎から隔離され教師たちも怯える問題児集団・1年G組だった。勝太は荒れ果てた教室やクセの強いクラスメイトたちに驚きながらも、恋に友情にと楽しい日々を過ごす。しかしそんな彼らに、都市伝説と化している不良グループ・Gメンが死闘の末に潰したはずの凶悪組織・天王会の魔の手が迫っていた。
人気グループ「King & Prince」のメンバーとして活躍した岸優太が映画初主演を務め、竜星涼、矢本悠馬、森本慎太郎、お笑いコンビ「EXIT」のりんたろー。、恒松祐里、吉岡里帆、高良健吾、尾上松也、田中圭らが共演。「おっさんずラブ」シリーズの瑠東東一郎が監督を務めた。(映画.com)

 

2023年製作/120分/G/日本
配給:東映

 

 

元気の処方箋 

 

あまりにもレビューが高いので、

どれほどのものかを確かめたく鑑賞。

 

結果、おおよそ満足を得て劇場を後にした。

 

 

ところで、デートムービーにとって大事な要素は何だろう。

 

余りにも難解すぎると趣味が分かれて片方が飽き飽きしちゃうし、

恋愛の色が濃すぎると泣き所で感性が問われる。

 

そこでいうと、これくらいバカでエロでアクションが満載の方が、

「あー楽しかったねー」「あの場面が面白かったね」なんて盛り上がれるので、

そういう意味でこの作品は、

デートムービーとして最適解の1本だと思った。

 

 

  良かった点

 

①展開が早い

 

これは大事な要素。

 

破天荒な学校に転校してきて、

悪い奴らに狙われて、

さらにもっと悪い奴が出て来てそいつを倒すというシンプルな話なので、

サクサク進まないと「そんなところで時間割かなくていいよ」ってなりがちになる。

 

だが、この作品はその心配は無用だ。

 

物語はサクサク進むのでオール青信号状態

ちゃんと物語を追うことが出来る程度の、

法定スピードより15キロオーバーくらいで進んでくれるので、

飽きることなく鑑賞できた。

 

 

②アクションが豊富で結構ガチ

 

これが意外だった。

 

こういう作品はアクションがへぼくなりがちだが、

結構ちゃんとアクションしていて、

つい先日みた「春に散る」よりも「あれ?拳あたってない?」と思えるシーンが多かった。

 

しかも、主演のメンバーが自らガチでやっているので、

迫力と爽快感を堪能できた。

 

 

③笑いに対するアプローチ

 

個人的にオーバーリアクションで叫び倒すような笑いには乗らないタイプなので、

明らかにそれで笑いをとろうとするシーンについては反応は出来なかった。

 

だが、それ以外にもちょいちょい普通のトーンで突っ込みを入れたり、

ボソッと面白いことを言うシーンがある。

 

なんだか友達との普通の会話を聞いているようで、

こっちの方でニヤニヤしてしまった。

 

中でも岸優太の反応と突っ込み、さらに表情もうまく、

僕自身が笑わされたシーンの多くは彼の反応によるものだった。

 

また、カメラの切り替えがうまいと思った。

 

ボケとツッコミを一つの画面で完結させるのではなく、

素早い画面切り替えを多用している。

 

誰かがボケたり、おかしな行動をしたら画面が変わってツッコミが一言。

 

このスピード切り替えの演出が、

笑いの誘発に大いに貢献していたと思う。

 

 

④個性が際立つキャスティング

 

原作が漫画なので必然的に個性的なキャラクターが多くなるのだが、

それぞれの俳優がその役のポジションを理解し、

非常に分かりやすく違和感なしで観ていられた。

 

中でも吉岡里帆の振り切れ方が素晴らしく

これを機に色々なオファーが来そうな印象を受けた。

 

 

 

  惜しい点

 

①アクション、エロはもっとあっていい

 

作品のメインターゲットがどの層なのかによるので、

これが高校生がターゲットという事だとしたら、

きっとこの位の演出で正解なのかもしれない。

 

ただ、個人的にはもうちょっと欲が出てしまった。

 

せっかくここまで作りこんでいるなら、

アクションはさらにバッキバキにしてよかったし、

エロも言葉や雰囲気だけではなく、

もうちょっと踏み込んで深みを見せて欲しかった。

 

完全に好みの問題だ。

 

 

②八神(田中圭)の駐車シーン

 

これも大分好みの問題。

 

八神は運転が下手のなので、

駐車の際に塀を壊すのだが、

塀にぶつかったシーンを別アングルから2度繰り返す。

 

しかも、同じようなシーンが後半にもう一回来る。

 

これは1アングルだけでリプレイはいらなかった。

 

 

  感想

 

レビューは高かったものの、

個人的な期待値はそれほど高くなかったので、

「なるほど!だからレビューが高いのか」レビューに対する学びを深めることが出来た。

 

実際面白かったし、これならレビューが高いのも納得だが、

他の作品を圧倒的に凌駕するほどのものではなかった

 

ただ、非常にセンスが高く、

かなり色々計算されて作られている事は容易に想像できた。

 

 

とくに会話の「間」。

 

さきほどの笑いの項目でもふれたが、

「間」のテンポが悪いと面白い会話も一気に熱が冷める。

 

しかし、この作品ではどこを切り取っても同じスタンスで編集が行われているので、

「間」に対してのこだわりは強く感じた。

 

 

 

映画「Gメン」は観る人を元気にさせる作品であることは間違いない。

 

ちょっと気持ちが落ち込んだ時にこの作品を鑑賞し、

凹んだ気持ちがバカバカしく思っていただけると良いのだと思う。